【医師監修】ベビーマッサージの効果と方法は?

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医師松井 潔 先生
小児科 | 神奈川県立こども医療センター 産婦人科

愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等、同総合診療科部長を経て現在、同産婦人科にて非常勤。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。

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助産師古谷真紀

一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー。大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。

ベビーマッサージのイメージ

 

今回は、ベビーマッサージについてお話しします。

 

 

ベビーマッサージとは

ベビーマッサージは赤ちゃんに対しておこなうマッサージの総称です。ベビーマッサージは、世界各国でさまざまな方法で古くからおこなわれています。ベビーマッサージを教える者が保有する資格、施術方法の発祥地、施術方法などが異なり、ベビーマッサージといっても統一された手技や手順があるわけではありません。

 

現在、日本国内の医療分野では国家資格をもつ施術者によるリハビリテーションの1つとして導入していることもありますが、一般的に普及しているベビーマッサージは、赤ちゃんとのふれあいや遊びを目的にしているものが多いです。

 

親が日ごろおこなう抱っこ、おでこや頭をなでる、背中をトントンする、お風呂後にスキンケアをするという行動も、赤ちゃんにとって大切なふれあいや遊びであり、ベビーマッサージの一部と言えます。ベビーマッサージは必ずしも、どこかに行ったり誰かに教えてもらったりなど習わないといけないものではありません。

 

赤ちゃんにとって体を動かすこと、物や人に触れることは遊びとなりますが、その意欲をかき立てるきっかけは、親とのふれあいです。自分が動いたり、声を出したりするのに応じてくれる親がいることで、赤ちゃんはコミュニケーションの楽しさやおもしろさを経験していきます。親にとっては、忙しい日常にベビーマッサージを取り入れることで、赤ちゃんとゆったりと向き合う時間を過ごし、わが子に癒されるきっかけになることが期待できるでしょう。

 

 

ベビーマッサージがもたらす効果

コミュケーションの始まりである「触れること」が、呼吸・循環・消化・排泄の機能を安定させたり、リラックスする効果が得られたりなど、赤ちゃんからお年寄りまでプラスの効果があることは明らかになってきています。

 

海外の研究報告によると、小さく生まれた赤ちゃんや、病気や障害をもつ赤ちゃんに対するベビーマッサージの効果として、身長・体重・頭囲などの身体の成長を促した、睡眠時間が長くなった、泣く時間が短くなったなどが挙げられています。

 

このような報告をもとに、ベビーマッサージは「赤ちゃんの発達を促す」「寝つきを良くなる」「免疫力がアップする」など、まるで万能な方法のように説明されることもありますが、まだまだ科学的に裏付けされていない部分もあります。

 

ベビーマッサージは、赤ちゃんの筋肉や脳への刺激となり、心身ともに活性化する効果があることは確かなようですが、日常的なスキンシップにおいて触れるたびに科学や医学の判断を気にする必要はないでしょう。赤ちゃんとのふれあいを楽しむためにベビーマッサージをしてみてもいいかもしれません。

 

 

ベビーマッサージの方法

ベビーマッサージはさまざまな方法がありますが、今回は生後4カ月までの赤ちゃんを対象にした簡単な方法をご紹介します。

 

正期産で生まれた赤ちゃんは生後1カ月健診を終えたころ、予定日よりも早く生まれた赤ちゃんでは修正月齢(出産予定日を基準に数える方法)で数えて1カ月ころを開始の目安にしましょう。医療的なケアを受けている場合は、ベビーマッサージが赤ちゃんにとって適切なものなのか、通っている医療機関へ相談しましょう。

 

【注意事項】
・ベビーマッサージは親が赤ちゃんへおこなうものです。施術者が赤ちゃんにおこなうものではありません。
・親子がリラックスできる環境でおこないましょう。
・赤ちゃんは服を着たままでも裸の状態でもどちらでもかまいません。
・赤ちゃんが空腹のとき、満腹のとき、眠っているとき、泣き続けているときはマッサージをするのは避けましょう。
・マッサージは20分以内にしましょう。

 

足のマッサージ

・片手で赤ちゃんの足首を支えて、もう一方の手で赤ちゃんの足の付け根から足首まで
足の外側を軽くなでおろす。
・足首を支える手を替えて、次は足の内側を軽くなでおろす。

 

【医師監修】ベビーマッサージの効果と方法は?

※左右おこないましょう。

 

おしりのマッサージ

・片足のかかとをおなかに近づけるように、自然に足を曲げて、片手で軽く支える。
・もう一方の手で、おしりの仙骨部分に◯を描くようにさする。

【医師監修】ベビーマッサージの効果と方法は?

※左右おこないましょう。

 

おなかのマッサージ

・手の力を抜いて、そっと赤ちゃんのおなかの上におく。
・おへその周りを時計回りで◯を描くように手を動かす。このとき、おなかを押すのではなく、手の重さだけで◯を描くようにするのがコツ。

 

【医師監修】ベビーマッサージの効果と方法は?

 

胸のマッサージ

・両手を赤ちゃんの胸の中央に置いて、肩と胸をさする。
・ハートを描くように手を動かす。

【医師監修】ベビーマッサージの効果と方法は?

 

顔のマッサージ

・赤ちゃんの顔にやさしく手を置く。
・指先をおでこの中央から外側に向かってそっとやさしくすべらせる。

【医師監修】ベビーマッサージの効果と方法は?

 

 

背中のマッサージ

・両手をカップのように軽く丸めて、力を抜いた手の重みだけで、背中の上から腰に向けてやさしくリズミカルにふれる。
・背中から腰に向けてやさしくなでるだけでもOK。

【医師監修】ベビーマッサージの効果と方法は?

※赤ちゃんがうつぶせを嫌がらないときにおこないましょう。

 

終わりのマッサージ

・おでこ→肩→腕→足→つま先まで、やさしくなでおろす。

【医師監修】ベビーマッサージの効果と方法は?

 

安全なベビーマッサージをするための注意点

ベビーマッサージは必ずしも誰かに習わないといけないものではありませんが、赤ちゃんを連れた外出や親同士の友だちづくりのために、ベビーマッサージの講座へ行こうと思っている方もいるでしょう。ベビーマッサージを習いに行く際には下記の3点に注意してください。

 

①ベビーマッサージは親が赤ちゃんにおこなうものです。
ベビーマッサージは親が赤ちゃんにおこなうもので、講師やセラピストなどベビーマッサージを教える者が赤ちゃんにおこなうものではありません。日本国内では、按摩マッサージ師の国家資格をもつ者以外はマッサージという言葉を使用できません。ベビーマッサージを普及する団体の認定資格を取得しても、施術としてのマッサージができるわけではありません。

 

②ベビーマッサージはオイルを使う必要はありません。
ベビーマッサージはスキンシップの1つなので、オイルなどを使用しなくても大丈夫です。お風呂後など保湿剤を使ってスキンケアをする際に、ベビーマッサージの手順を応用してもかまいません。赤ちゃんはにおいに敏感なため、アロマオイルやエッセンシャルオイルを使用することは避けましょう。もしオイルを使用する場合は、植物を原料にしたにおいのないベースオイル(キャリアオイル)を使用しましょう。化粧用オイルとして市販されているホホバオイルやスイートアーモンドオイルが適しています。

 

ベビーマッサージを普及する団体によっては、ごま油などの食用油でマッサージすることをすすめるところもあるようですが、それは間違った方法です。赤ちゃんの皮膚に赤みや炎症を起こしたり、アレルギー発症の原因となる危険性がありますので、絶対に食用油を使わないでください。

 

③ベビーマッサージを習うときは信頼できる人や団体で学びましょう。
ベビーマッサージについて調べると、タッチ〇〇、〇〇セラピー、ベビー〇〇、インファント〇〇、アロマベビー〇〇、アタッチメント〇〇など、さまざまな方法のベビーマッサージがあるように感じるかもしれません。

 

国内で普及しているベビーマッサージは、民間団体が独自にプログラムの開発や資格の認定等をおこない普及しているもので、定義や方法・手順・効果・資格など専門的な施術として統一されているわけではありません。

 

ベビーマッサージに関連する名称や方法、スキルなど、知名度が上げるためにwebやSNSで検索されやすい用語や名称、商標登録された呼称で普及していることがあります。さまざまな呼称があることで、結果的にベビーマッサージについて知りたいと思った親子にとっては安全な方法を選択しづらいのも事実です。

 

ベビーマッサージを習いたいと思ったときは、身近な人やweb上の口コミだけでなく、居住地の自治体が主催している講座などを参考にしましょう。高額な受講料を支払う、アロマオイルなど物品の購入を強要する、適切な医療から遠ざけようとする講師や団体が開催する講座やセミナーに気をつけましょう。

 

 

まとめ

ベビーマッサージは、親が赤ちゃんに対しておこなうマッサージの総称です。ベビーマッサージは、赤ちゃんの筋肉や脳への刺激となり、心身ともに活性化する効果があるので、日常的な親子のコミュニケーションの1つとして活用しましょう。


■参考■
Cochrane Review Summary: Massage for promoting mental and physical health in typically developing infants under the age of six months. Prim Health Care Res Dev. 2015 Jan;16(1):3-4

 

Touch Research Institute

 

 

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