【助産師監修】産後太りは骨盤が原因?体の中心 骨盤のこと(1)

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助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

何かと話題の「骨盤矯正」。ダイエットに効くと言われていますが、本当のところはどうなんでしょう? ベビーカレンダー編集部では託児室付きの整体院にお邪魔して実際に体験させていただきました! 今まで骨盤のことが何もわかっていなかったことを実感。

 

 

【助産師監修】産後太りは骨盤が原因?体の中心 骨盤のこと(1)どうして産後に骨盤がゆがみやすくなるの?

骨盤はひとつの骨でできているのではなく、3つの骨が繋がって形になっています。もともと女性の骨盤は出産に備えて開きやすい構造になっていますが、出産時には赤ちゃんが産道を通るため、ホルモンの分泌によって3つの骨の結合が緩んだ状態になります。ですから出産後は、骨盤の位置が非常に不安定な状態です。この状態のなかで、ママは授乳やおむつ替え、抱っこなど、首や肩から腰まで背中全体に大きな負担がかかる姿勢をとらなくてなりません。こうしてアンバランスな状態で骨盤が安定してしまい「ゆがんでいる」状態になってしまうわけです。

 

 

産後に太るのは骨盤の歪みが原因?

一概に断言はできません。ただ、骨盤が歪んでしまうことによって内臓の血流が悪くなり、悪い影響を受けることが原因の1つになっているのはあるでしょう。 実際には骨盤の左右のずれというのは本当に小さなもので、5mm〜10mmくらいの方がほとんどです。しかし狭い骨盤の中には、子宮や卵巣・腸等を収納しています(小腸は男性より女性の方が長い)。それだけ密度が高いところなので、ちょっとのズレでも内臓の動きが悪くなってしまい、その結果代謝が悪くなり、同じだけ動いてもカロリーの消費が低下して体重が増えてしまうということは十分ありえます。

 

 

太ること以外に体に影響はありますか?

骨盤の中には非常に太い動脈と静脈が流れています。それが圧迫されることによって、血のめぐりが悪くなり、なかなか足に血が届かない・届いた血が帰って来ない・体温も足の先へ届かない、ということで、むくみや冷え性の原因になります。代謝が悪くなれば便秘も起こりやすくなります。生理痛や偏頭痛などは、ストレスや内臓の不調から起こる場合があるので、一概に骨盤矯正だけで改善されるとは言えませんが、診察の結果、骨盤に問題ありということになれば、それに対処する治療をおこないます。

 

 

【助産師監修】産後太りは骨盤が原因?体の中心 骨盤のこと(1)骨盤矯正で本当に痩せるの?

骨盤を治したから必ず3kg痩せます、というものではありません。
逆に、痩せるためには骨盤も矯正したほうがいい、と考えていただいたほうがよいでしょう。骨盤を直したことによって、内臓が正しい位置に戻り、代謝が上がり、なおかつエクササイズ等をやっていただいたことによって痩せる、ということです。 たとえば、やってすぐにウェストが何cm痩せたという話も、理論上わからなくはないのですが、恐らくそれは一過性のもので、やはり継続して治療をおこなわないと元に戻ってしまうと思われます。もちろんこちらに見える患者さんでも施術したことによって「サイズダウンしました!」という方がたくさんいらっしゃいます。でもそれは、こちらでの治療プラス患者さんが日ごろの生活習慣を見直した上での努力の結果でしょう。

 

 

通う頻度や1回の時間はどのくらい?

個人差はありますが、まずは週2回くらいのペースで1回50分ほど。そのあと骨盤の位置が安定してきたら週1回、更に安定してきたら2週間に1回、月に1回と通っていただき、だいたい全部で10回くらいが目安となります。その後もメンテナンスのために、定期的にお見えになる方もいらっしゃいます。

 

 

【助産師監修】産後太りは骨盤が原因?体の中心 骨盤のこと(1)何度も通わないとダメなの?

産後、アンバランスな状態で安定してしまうと、体はそれが正常な位置だと勘違いしてしまいます。ですから一度矯正して戻したとしても、体は記憶されたアンバランスな状態に再び戻ろうとします。整った姿勢を体に覚えてもらうためは、ある程度の回数を通っていただくことが必要となります。その間には、戻した筋肉のバランスを整えるためにご自宅でできるエクササイズもお教えしますし、正しい姿勢、生活習慣などのご提案もさせていただきます。骨盤矯正に通っていれば間違いないというわけではなく、自宅でも体操をしたり、正しい姿勢を保つなどの努力は大切になってきます。それはたとえば、歯医者さんで虫歯を治療したら終わりというのではなく、その後、自分で正しい歯磨きをするなどの習慣が大事なのと同じです。

 

 

骨盤矯正を始める時期は遅いと効果が出にくい?

それはあまり関係ないですね。もちろん個人差はありますが、たとえば産後から10年経っているからと言って平均的な回数の倍かかるかといったら、そういうことはないです。骨盤の周りの筋肉を十分にほぐしてやるのに時間がかかるということはあるかもしれませんが、それさえきちんとやればそれほど回数に差が出るとは思えません。もちろん早いほうがいいに越したことはありませんが、諦めないで実行する価値はありますよ。

 

 

市販されている骨盤矯正ベルトや椅子などの効果は?

ベルトはつけて悪いものではありませんが、 頼ってしまうのはよくありません。四六時中つけっぱなしでいると、体がそれに頼ってしまい、正しい筋肉の使い方ができなくなってしまいます。たとえば長時間乗り物に乗るようなときに、腰に負担の掛かる姿勢を取らなければならず、痛くならないようにサポート的に使用するのなら良いと思います。寝ているときにまで使用するというのは、あまり良くないでしょう。骨盤矯正用とうたわれている椅子やクッションなどもありますが、ただ座ればいいというものではありません。むしろ正しい姿勢で使用することの方が大切だと思います。

 

 

 

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