【医師監修】新米パパの「父親」の自覚と役割

【医師監修】新米パパの「父親」の自覚と役割ママへのアンケートでも、パパへのアンケートでも、お互いに愛情を持って、よりよい関係を築いていきたい、と願っている方が大多数でした。
しかし、長年連れ添った夫婦が子育てが終わると同時に、あるいは夫の退職を機に、離婚をしてしまったり、あるいは子育てに母親が1人で悩んだ結果、悲しい事件がおこったりすることも、実際にあるようです。
恋人から夫婦へ、そして子育てを通して母と父へと変化する夫婦関係。よりよい二人の関係のために、そして安定した家族関係と子どもの幸福のために、「父親」そして「男性」について、よりいっそう理解を深めるため、臨床心理を専門とし、父親研究を長年されている専門家の先生に、お話をうかがいました。

 

 

【医師監修】新米パパの「父親」の自覚と役割父親と母親の「子ども」に対する心理の違い

母親は、胎内に子どもを宿したときから出産を経て、さらに乳児期には赤ん坊の泣く声を聞けば自然に乳房の温度が上がるなど、生物学基盤をもって子どもと直接つながり、反応します。「パパはどうして子どもが泣いていると、“おい、泣いてるぞ!”と言って放っておけるの?!」というお母さんたちからの疑問の声もありますが、父親には遺伝学的な繋がりはあっても、こうした『自然に』女性が獲得するような反応や繋がりはありません。
逆に、“赤ん坊が泣く声=母親へのアタッチメント行動”に対しては、母親が自然になだめたり、あやしたりしたくなるのと反対に、多くの男性(苛立つ・うるさい・怒る21.5%、困る9.5%)が狼狽したりイライラしてしまったりすることも多いのです。ですから、父親が赤ん坊と接するためには妻の助けを求めている場合がある、ということも理解しておきましょう。

 

父親としての意識は まず胎動を知らされたときから

最初のきっかけは妊娠中、特に中~後期です。妊娠したことを妻から知らされた時点より、むしろ「おなかの赤ちゃんが動いた」ことを知り、触れることによって実感し、嬉しいなどの情緒的な気持ちが生まれ、ここから父親としての意識が芽生えてくるのです。この父親意識は、乳児期(9~12カ月児)の父親を調査すると、妊娠期に持った子どもへの肯定的な気持ちは乳児期にも持続することがわかっています。
 

【医師監修】新米パパの「父親」の自覚と役割立会い分娩は 子どもへのかかわりを積極的にさせる

私が兼務している愛育病院(東京都・広尾)では、夫立会い分娩を、希望する方に行っています。そこで『立会い分娩』を経験した父親の、子どもの生後一年間についての意識や行動を調べたところ、立会いをしていない父親に比べて次のような特徴があるという結果が出ています。

 

(1)子どもとの遊びや世話をすることが多い
(2)子どもと身体的接触や運動遊びも多い
(3)育児の疲労感をもっても、子どもにそれを否定的感情として向けることが少ない
(4)母親と親密でコミュニケーションも良い

 

「父親である」実感を持つための、経験や場面を体験するほど、父親意識を強く持つことができるともいえます。もちろん、胎動を知らせることにしても、立会い分娩にしても、無理やり参加させても意味がなく、安定した夫婦関係が基本にあり、ふだんから夫婦がお互いに理解しあい情緒的なものを含んだコミュニケーションをとる努力が重要となってくるでしょう。
 

 

育児に積極的でない父親は 問題をかかえている場合が多い

「育児に積極的である」と回答した父親

 ●育児・家事参加率 40%
 ●父親自身の自己評価「冷静・のんびり・日々楽しい・心身快調」
 ●子どもの様子「活発・楽しそう・心身状態良好」
 ●育児について
  「子どもが楽しく幸せであるように・子どもを理解したい」

 

「育児に消極的である」と回答した父親

 ●育児・家事参加率 29%
 ●父親自身の自己評価「疲労・意欲が無い・熟睡できない・心身不調」
 ●子どもの様子「指しゃぶり・おねしょ・小食・恐がり・内気・完全癖」
 ●育児について「子どもを理解できない・話が合わない」

 

調査結果を見ると、育児に消極的な父親は自分自身が心身不調であったり、「悩みを相談する人がいない」と回答するなど、人との関係が不得手である傾向があります。また、父親としての役割観にも子どもに積極的な父親と比較して違いがあり、
「いざというときだけ、指導的役割を果たし、最終決断を下す」 「格別なことをしないで自分は自分でやっていく」
といった、一方的・支配的な父親観や、母と子や家庭とかかわりをもたず無関心で、自己中心的であり、従って家庭の中で「父親の役割」を果たすことが困難なのではないか、と思われます。
また、こうした父親は「男性としての自分を否定的にイメージする」など、心理的に問題をかかえている場合や、体調に問題をかかえているなどの場合も多いようです。従って、乳幼児検診や育児相談等の場に、母親支援と同様に、父親の支援・援助が必要です。父親を一方的に悪役にせず、父親を相談の場に誘うなどし、もし現れない場合でも、母親を通して支援・援助をしていくことが重要です。
 

母親の育児不安と 父親の家事育児参加の関係

母親の育児不安は、単純に家事育児に夫が参加すれば軽くなる、というものではありません(最近は、育児・家事参加は当然と受け止められ、現実に協力している率も高くなっています)。家事育児への参加と同時に、母親の育児負担感をもっとも軽減するために求められている父親の役割は「母親の相談相手となり、最大の理解者となりささえとなり精神的支援・援助をすること」と言えるでしょう。
また、母親が感じているもっとも大きなストレスは「1人になる時間がない」ということです。母親としてだけでなく1人の女性として、社会人として認められた、と実感する機会を持つことは、育児不安を軽減してくれます。今後は、父親・母親ともに育児と仕事の両立を考えていく必要もあるでしょう。

 

 

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