【助産師監修】母乳育児の終わらせ方(断乳と卒乳について)

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助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

【助産師監修】母乳育児の終わらせ方(断乳と卒乳について)

 

母乳栄養にはさまざまな利点があり、WHOは生後6カ月までは母乳だけで赤ちゃんを育てましょう、補完食(離乳食)を始めた後も2歳かそれ以上までは母乳育児を続けましょうと言っています。

 

母乳育児を続けているママにとって、「いつまで母乳をあげるか」「どのようにして母乳育児を終えるか」というのは、悩むところかもしれません。そこで今回は「断乳」と「卒乳」についてお話ししたいと思います。

 

 

断乳と卒乳の違い

日本において、これまでは「断乳」という言葉が一般的で、1歳前後に断乳するという指導方針が大多数でした。しかし、アメリカでおこなわれている母乳育児の流れを受け、日本においても徐々に「卒乳」という言葉が使われるようになりました。

 

「断乳」と「卒乳」の文字を見ても想像できるように、「断乳」は「乳」を「断」つこと、「卒乳」は「乳」を「卒」業することという意味があるように思えます。この流れを受け、「断乳」はママの意思で母乳育児をやめること、「卒乳」は子どもから母乳をやめることという認識が広まりました。その一方で、「自然卒乳」「計画的卒乳」などの言葉もあり、「卒乳」の意味を広くとらえた考え方もあります。

 

そんななか、「断乳」がよいのか、「卒乳」がよいのか、断乳するのであればどの時期がよいのか、方法は? など、専門家の間でも考え方がさまざまであるというのが現状です。

 

 

 

ママが母乳育児をやめようと考えるとき

ママが母乳育児をやめようと考えてしまうのには、さまざまな理由があります。


・乳首が痛い
・母乳不足感
・母乳分泌過多
・乳腺炎
・ママの職場復帰
・お薬の内服
・お子さんに歯が生えてきて、かまれると痛い
・次の子を妊娠したい、あるいは妊娠した
・お子さんが虫歯になることを心配して
・お子さんの栄養不足を心配して
・周囲の人の声 ex.「
まだ母乳あげているの?」など

 

これらの理由のほとんどは、適切な情報と支援があれば母乳育児を続けることが可能です。

 

母乳育児をやめたいというのがママの本心ではないかもしれません。そんなときは母乳相談室や産院の助産師に相談してみましょう。母乳育児を続けるにしても、終えるにしても、より良い方法を提案してくれると思います。

 

 

 

母乳育児の終え方

日本ラクテーション・コンサルタント協会編集『母乳育児支援スタンダード』では、子どもから自然に(母乳を)飲まなくなる方法だけではなく、親の働きかけで(母乳育児を)やめていくことも含めて「卒乳」と定義し、さまざまな卒乳の方法を述べています。

 

●部分的卒乳:昼間だけ、あるいは夜間の授乳をやめる方法。
夜間ゆっくり休みたい、ママが仕事に復帰するなどの理由で、授乳回数を減らし、お子さんの月齢によって代わりになる栄養や水分を与える方法です。

 

 

●急激な卒乳(いわゆる断乳):突然、母親側から授乳をやめる方法。
何らかの理由で、母乳育児をやめなければならない状況になったときに選択される方法です。しかし、突然母乳育児をやめることによって、お子さんの精神的なショックが大きくなることが考えられます。

 

また、ママもおっぱいが張ったり、乳腺炎になったりなどのトラブルが生じる可能性があります。そのため、乳房が軽くなる程度に母乳をしぼったり、冷やしたりなどのケアが必要になります。

 

病気の治療など、一刻も早く断乳しないといけないような状況では、母乳の分泌を抑えるお薬を内服することもあります。

 

 

●計画的卒乳:子どもの様子を見ながら母親から徐々に授乳をやめていく方法。
急激な卒乳に比べて、徐々に授乳回数を減らし、母乳をやめていくこの方法は、ママにもお子さんにも負担が少ない方法です。

 

おっぱいにお子さんの意識が向かないように工夫をしたり、前もってお子さんと話し合いをしてから始めたりして、卒乳を目指します。計画的卒乳と言われているとはいえ、計画通りに進まないことも。お子さんがなかなか母乳をやめられなかったり、途中でママの気が変わってしまうこともあるかもしれません。そのような場合は、いったん仕切りなおすことも大切です。

 


●自然卒乳:子どもが自然におっぱいを欲しがらなくなるまで授乳を続ける方法。
子どもがおっぱいを欲しがらなくなる時期は、やはり人それぞれです。おっぱい自体が好きなお子さんもいれば、ママとのスキンシップの時間が大好きというお子さんも。お子さんのこころとからだの準備ができたとき、自然とおっぱいをほしがらなくなるでしょう。

 

 

 

まとめ

母乳育児をいつまで続けるか、どのようにして母乳育児を終えるかは、ママの考え方や生活スタイル、赤ちゃんの状態などでも違うと思います。母乳育児期間の長短でママが周囲から評価されたり、ママ自身が自己嫌悪に陥ったりする必要はありません。早い時期にお子さん自身が「卒乳」を選択することもあります。ママとお子さんにとってよいと思える方法をママ自身が選択し、その日を迎えられるとよいですね。

 

 

 

 

 

◆母乳育児に関するQ&A

 

 

◆卒乳の体験談

息子は完全母乳で育ちましたが、生後10カ月のときに私が第二子を授かり、つわりや睡眠不足で夜の授乳がつらくなったため、断乳することを決めました。

 

断乳決行日は息子が1歳の誕生日を迎える月で、夫に会社から帰ってきて寝かしつけに協力してもらえるよう金、土、日曜日で設定をしました。約1カ月前から昼間の授乳回数を減らしていき、なるべく離乳食とおやつだけで日中は乗り切るようにしていきました。そして断乳決行日の1週間前ぐらいから寝かしつけの授乳をやめ、他の寝かしつけの方法を試しました。絵本や背中トントンは息子には全然ダメで、最終的に部屋を暗くして添い寝をしながらテレビで子ども向け教育番組を見ると20~30分ほどで寝てくれるようになりました。

 

そして断乳決行日、日中と寝かしつけはもう授乳がなくても大丈夫だったので、あとは夜間だけです。初日の金曜の夜は、やはり授乳していた時間に2回ほど泣きましたが、抱っこはせず気長に添い寝をしていたところ30分ほど泣きながら寝返りを繰り返しそのまままた寝てしまいました。2回目に泣いたときも同様でした。2日目の土曜の夜も夜泣きを覚悟していましたが、初日ほど泣くこともなく起きてもすぐまた寝入ってくれました。3日目の日曜日以降も、ほぼ泣くことなく朝までぐっすり寝れるようになり、無事に断乳することができました。

 

約1カ月かけて徐々に授乳回数を減らしていったからか、断乳後は少しおっぱいが張った程度で特に痛みもなく、自分で数回搾乳しただけで落ち着きました。おっぱいが大好きだった息子が断乳できたことに驚きと、息子の成長を感じました。私も朝までぐっすり寝れるようになり慢性的な疲労感や睡眠不足が解消されたので、以前よりも昼間息子と余裕を持って楽しく過ごせるようになりました。

もなか さん

 

 

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