他人をうらやむ気持ちをどう受け止めるべきでしょうか?
5歳の娘は、最近、お友だちの洋服や持ち物を見ては、「いいなー、○○ちゃんは持ってるのになー」と言います。また、お友だちがどこかに出かけたという話を聞いて、うらやましがったりしています。
私が子どものころは、他の子や他人のお宅をうらやましがると「うちは、うち」と怒られてきました。とはいえ、「うらやましい」という気持ちは、自然に発生するものではないかと思うのです。
他人をうらやむ行為自体を叱るべきなのか、「うらやましい」という気持ちを理解しつつ、「今、自分の持っている物で満足しなさい」という形で言い聞かせる方がいいのか、どちらがいいのかと迷っています。
昔も今も、自分にないものを人が持っていると、うらやましく思うものです。大人もそうです。たとえば、異国との争いや戦争が起こるのも、その国の人が自分の国にないものを持ち、うらやむ気持ちが募るからではないでしょうか?
「欲しい気持ち分かるけれど、うちはうち」と言われて育ってきたあなたは、「他人をうらやんでも仕方がない。私は私、うちにはうちのやり方があるんだ」と思い、それを納得して大人になったのだと思います。
5歳は、人と自分を比較し、自分にないものを親に「欲しい」と訴えることができる年齢です。そのため、親は子どもに与えてあげられない罪悪感を、たびたび持つことでしょう。罪悪感など持つ必要はないのですが、「うちの子だけ持っていないのかも」「持っていないと、他の子と対等に遊べないのかも」と心配してしまうのかもしれません。
他人をうらやむ気持ちを、叱る必要はありません。「気持ちは分かるよ。でも、人は人、うちはうち」と言い切ってあげましょう。ただし、「自分の持っているもので満足しなさい」という言葉かけでは、子どもは納得しないでしょう。なぜなら「満足」という言葉は抽象概念であり、5歳の子には理解できないからです。抽象概念を母国語ではっきりと理解し、イメージできるのは8歳ごろからです。
ですから、「うちはうち」「人は人」というように、「他人と自分は同じではない」と言われた方が、5歳の子には理解しやすいと思います。