【ファイナンシャルプランナー監修】分娩費用と入院費用はいくら? 出産にかかる金額の相場と内訳

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ファイナンシャルプランナー大野高志

1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計 代表取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。

分娩費用・入院費用イメージ

 

出産を控えたママにとって、赤ちゃんに会える日が待ち遠しい反面、どのくらい費用がかかるのかご心配なママもいるのではないでしょうか? ここでは、赤ちゃんを迎えるためにかかる金額とその内訳を解説します。

 

 

分娩費用と入院費用の相場

厚生労働省の調査(第136回社会保障審議会医療保険部会の資料)によると、令和元年度(2019年度)における正常分娩分の平均的な出産費用の全国平均は524,182円でした。この金額は正常分娩に係る直接支払制度専用請求書を集計したもので、室料差額、産科医療補償制度掛金、その他の項目を含む出産費用の合計です。

既にご存知の方も多いかもしれませんが、加入している健康保険から「出産育児一時金」として42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合は40.8万円)が支給されるため、これを差し引いた額が実際の自己負担額となります。
 
つまり、仮に出産費用が524,182円だとすると、自己負担額は104,182円です。
(出産費)524,182円 ー(出産育児一時金)420,000円 =(自己負担額)104,182円
 
となりますが、この金額はあくまで平均額です。出産する施設や出産方法、入院期間などによっても変わります。出産費用は産院を選ぶ際にあらかじめ確認しておくと安心です。

 

 

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出産費用の内訳

出産費用の内訳は次の通りです。
 

●分娩に関する費用
分娩料の平均は、2019年度で266,470円でした。分娩料とはお産の行為そのものにかかる費用です。分娩方法によって費用が大きく異なります。
 
●入院に関する費用
入院に関係する項目として「入院料」と「室料差額」があります。


・入院料
入院日数と分娩場所する医療機関によって費用に差が出やすい項目です。入院料の平均は、2019年度で115,047円でした。

 

・室料差額
室料差額とは、基本の入院料にプラスして発生する室料を指します。バス・トイレ付きや個室など、一般の部屋より充実した部屋を利用する場合には室料差額が加算されます。
 
 
●赤ちゃんとママの処置にかかる費用
分娩と入院そのものにかかる費用とは別に、検査や処置の費用もかかります。

 

・新生児管理保育料
生まれた赤ちゃんに対する健康管理・保育にかかる費用です。

 

・検査・薬剤料
ママに対する検査代と薬代です。ママは退院までの間に何度か検査を受け、必要に応じて薬が処方されます。

 

・処置・手当料
医学的処置や乳房ケア、産褥指導などの費用です。乳房ケアとは授乳がスムーズにおこなえるように施される手当やマッサージなどです。
 
・産科医療補償制度
分娩に関連して重度脳性麻痺となった赤ちゃんとご家族の経済的負担を補償するとともに、脳性麻痺発症の原因分析をおこない、再発防止に役立つ情報を提供する制度です。


●その他の費用
文書料や産後に提供されるお祝い膳など、上記以外にかかる費用です。

 

 

 

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分娩の方法によって金額が変わる! 種類別費用

出産費用は分娩方法によっても変わります。
 

●自然分娩

自然分娩は麻酔や陣痛促進剤などを使用せずにおこなう出産方法です。基本的に健康保険は適用されず、自費診療扱いです。医療機関によって費用は異なりますが、40万~60万円であることが多いです。
 
●帝王切開

帝王切開はメスを使っておなかと子宮を切開し、子宮から直接赤ちゃんを取り出す出産方法です。健康保険が適用される医療行為となり、予定帝王切開の場合3割負担で2022年度の場合60,240円です。しかし、緊急帝王切開や予定帝王切開でも多胎やその他のリスクを伴う場合は、金額が加算されます。帝王切開での出産となれば入院日数も増えますので、その分室料が追加されて出産費用が多くなります。
 
●無痛分娩

無痛分娩とは、麻酔を使用して痛みを取り除く、あるいは軽減しておこなう分娩です。無痛分娩の場合は麻酔を投与した後、自然分娩同様に出産します。医療機関によって費用にもバラつきがありますが、自然分娩の金額に麻酔代として10万円~20万円程度プラスされるケースが多いようです。そのほかに子宮の入口を広げる処置や陣痛促進剤を使うなどの医療行為が増える場合が多いので、その分の費用もプラスされます。

 

 

 

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民間の医療保険の適用について

民間の医療保険に加入している人は、給付が受けられるか事前に確認をすると良いでしょう。


●自然分娩への医療保険の適用
自然分娩は適用されないのが一般的です。ただし、民間の医療保険によっては会陰切開や吸引分娩・鉗子分娩の際に入院給付金・手術給付金が支払われることがあります。 

 

●帝王切開への医療保険の適用
医療行為である帝王切開の手術費用が給付対象になるケースがほとんどです。

 

●無痛分娩への医療保険の適用
無痛分娩費用は一般的に給付対象ではありませんが、自然分娩と同様に、会陰切開など一部の費用が給付対象になるケースもあります。

 

医療保険によって給付の対象や金額が異なるため、詳しくは、ご加入の保険会社のコールセンターや担当者等に問い合わせをしましょう。

 

 

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そのほか分娩以外にかかる費用について

出産にともなうその他の費用として、以下のようなものもチェックしておきましょう。
 
●入院時にかかるそのほかの費用
施設から入院時に持参するよう指示される物品や、入院中の消耗品などで実費請求される物があります。代表的なものとして以下が挙げられます。

 

<入院時に持参する物品>(新品を購入した場合の価格目安)
・骨盤ベルト:2,000~7,000円程度
・産褥ショーツ(2~3枚一組):1,000~3,000円程度

 

そのほか、育児用ミルクや母乳パッドなどを実費請求されることもあります。

 

 

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分娩にはトータルいくらかかる? 準備しておくべき出産費用の金額は?

人によっては、出産育児一時金や民間の医療保険の保険金で自己負担がほとんどない場合もありますが、前述の通り、出産費用の平均額から出産育児一時金を差し引いた額は約10万5000円です。しかし、入院中におこなった処置や薬代などが増えるとその金額が加算されますので、自己負担分としては15万円を最低ラインと見込んでおくと安心と思います。
 
ただし、退院時にこの金額で支払うには、出産育児一時金を直接支払制度(または受取代理制度)で受け取ることを病院に申し込む必要があります。直接支払制度(または受取代理制度)を利用する場合は、事前に産院へ申し込むことを忘れないようにしましょう。

 

直接支払制度(または受取代理制度)を利用しない場合は、後日加入している健康保険から出産育児一時金を受け取ることになりますので、出産費用全額を退院時に支払います。退院前に費用の概算を医療機関の事務担当者に聞いてみましょう。
 
●予測不能なトラブルで50万円以上かかる場合も
自然分娩を希望していても、いざ分娩となるとお産がなかなか進まず、吸引分娩になったり緊急帝王切開になったりするというケースもあります。異常分娩になると処置や薬の使用などにかかる費用に加え、入院日数も増えることがあるので、その分出産費用も多くなります。

 

また、産院によっては、全室個室、豪華な食事・エステ付きというようなサービスをおこなっているところでは、出産費用が100万円を超えることもあります。


不測の事態については、言い出したらキリがないことではありますが、いざというときに備えて、出産費用は多めに準備しておくと安心です。

 

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まとめ

できる限り出産費用を安く済ませたい……。そう考える人もいらっしゃるかと思います。しかし、予定通りに進まないことがあるのが出産です。備えあれば憂いなしという言葉もあります。これを機に夫婦でお金のことについて話し合うのもよいでしょう。


資金は早め早めに準備して、安心してお産を迎えましょう。

 

※本記事の内容は、2022年6月の時点での情報です。

 

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◆出産の疑問・心配(出産)に関するQ&A

 

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◆出産準備の体験談

初めての出産で張り切って準備しましたが、成功・失敗いろいろです。実際買ったけどイマイチだったものは、赤ちゃん用洗濯ハンガー(干し方を気をつければ大人と一緒でいけます)、ママバック(でか過ぎた。ちょっとのおでかけなら今はリュックで、パパとでかけるときはパパに背負ってもらいます)。

 

逆に買ってよかったのは、お尻拭きウォーマーですね。寒いときに生まれたので、冷たいお尻拭きでギャン泣きされることもないですし、うんち汚れもよくとれるから、夏でも使っています。 赤ちゃん用品が割と手に入りやすいのなら、生まれてから必要に応じて買っても大丈夫ですよ。

ざべママ さん

安定期に入ったころからネットで調べたり、友人に聞いたりして準備品の下調べを始めました。すぐに使用するもの、チャイルドシート、下着、ガーゼ、清潔用品類以外は産後に購入しました。おむつもお祝いで頂いたりするので準備は1パックにしておいてよかったです! 仕事をしていたので産休に入った晴れ間の続く日に水通しをしました。準備も幸せですよね~

たいがまま さん

赤ちゃんが生まれてから買ったのですが、生後1カ月~4才まで対応のベビーカーを買いました。正解でした。第一子はもう4才になりますが、ようやく昼寝なしで出かけられるようになってきたものの、まだ疲れると出先で寝てしまうので、A型ベビーカーが重宝しています。3才までは外出のたびに昼の寝かしつけで使っていました。

 

買うときは、まさかこんな大きくなるまで頻繁にネンネで使うことは想定していませんでした。それに、下の子が生まれるとまた生まれたてから使わざるを得ないので、B型にしなくてよかったと思います。あと、生まれる前に買っていたら、間違ったもの買ってただろうなあと思います。

ようこ さん

必要なかったのがベビーベッドでした。幸い私自身が使っていたベッドをもらってきたので出費はありませんでしたが、まったく使っていません。そもそもベビーベッドには寝てくれないので、私の布団で添い寝です。お布団も慌てて買う必要がなかったぐらい。昼間に寝かせるマットレスがあれば充分です。

 

逆に重宝しているのがハイローチェア。寝かしつけた後、布団よりも着地成功率が高いですよ。

ひなママ さん

その他の出産準備の体験談

 

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