【ファイナンシャルプランナー監修】帝王切開の費用はどのくらい? 医療保険や高額療養費制度の利用について

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ファイナンシャルプランナー大野高志

1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計 代表取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。

【ファイナンシャルプランナー監修】帝王切開の費用はどのくらい? 医療保険や高額療養費制度の利用について

 

出産を控えた妊婦さんやそのご家族にとって、気になることの1つに出産にかかる費用があるのではないでしょうか。帝王切開と自然分娩では、どのような違いがあるのか、どのくらいの費用がかかるのか、その内訳を解説します。

 

 

自然分娩と帝王切開での費用の違い

自然分娩は麻酔や陣痛促進剤などを使用せずにおこなう出産方法です。原則、健康保険は適用されず、自費診療扱いです。一般的に入院期間は4〜7日間、出産費用は40万~60万円であるケースが多いです。

 

一方、帝王切開とは、分娩時に何らかの理由で自然分娩が困難であると判断された場合に、麻酔をかけて子宮を切開し、胎児を取り出す分娩の方法です。

 

帝王切開は、前回の出産が帝王切開だった場合、胎位異常(逆子など)、前置胎盤(胎盤が子宮の入り口の部分にある場合)、児頭骨盤不均衡(赤ちゃんの頭がお母さんの骨盤より大きい場合)、多胎妊娠、高齢出産、感染症など予定帝王切開になるケースと、分娩の停止、赤ちゃんが元気ではなくなった場合など緊急帝王切開になるケースがあります。

 

予定帝王切開の場合、医療行為に当たるため健康保険が適用されます。予定帝王切開の費用は、2022年度(令和4年度)の診療報酬点数によると、保険適用前の手術費用201,400円で、通常その3割の60,420円が自己負担となります。しかし、緊急帝王切開や予定帝王切開でも多胎やその他のリスクを伴う場合は、追加の金額が加算されます。帝王切開での出産となれば入院日数も7〜10日前後と、自然分娩よりも長くなることが多いので、その分室料が追加されて出産費用が増えます。入院中の差額ベッド代や食事、その他の自由診療分での医療行為分は健康保険が適用されません。

 

健康保険に加入していると、出産育児一時金として子ども一人あたり42万円(産科医療補償制度に加入していない施設では、40万8,000円)が支給されるため、これを差し引いた額が実際の自己負担額となります。出産育児一時金は、直接医療機関に振り込んでもらい不足分のみ差額を支払う直接支払制度(または受取代理制度)、もしくは、いったん産院に全額支払った後、ご自分の銀行口座に振り込んでもらう産後申請方式があります。

 

 

 

高額療養費制度について

高額療養費制度は、同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合に、自己負担限度額を超えた医療費があとで払い戻される制度です。同じ月にかかった医療費は同一世帯内で合算できます。自己負担限度額は、年齢や所得状況等により異なります。

 

払い戻しは、医療機関等から提出される診療報酬明細書(レセプト)の審査を経ておこないますので、払い戻しまで時間を要します。そのため、医療費の支払いに充てる資金として、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で貸付する「高額医療費貸付制度」があります。

 

また、産前産後休業中の方で、健康保険の加入を継続している場合には出産手当金も支給されます。なお、産前産後休業中に勤務先から支給される給与がある場合、出産手当金の日額以上支給されていると、出産手当金は支給されません。また、配偶者や親等の健康保険の扶養になっている場合や国民健康保険の加入者はほとんどの場合、対象とはなりません。

 

 

 

帝王切開は医療保険の対象になる?

帝王切開は、保険会社等の民間の医療保険に加入していると給付金が支給される場合があります。医療保険は対象となる病気やケガの入院・手術に対して、入院給付金や手術給付金が支給されますが、帝王切開も入院給付金・手術給付金の対象としているもの医療保険がほとんどです。終身保険などの生命保険に医療特約として付加することも可能です。

 

しかし、妊娠してから医療保険に加入した場合には、保険加入時に妊娠しているお子さんの出産に対しての入金・手術給付金は支給されないことがほとんどです(一部の保険会社・共済では給付金を支払われることものもあります)。そのため、出産を希望する場合には、事前に医療保険に加入をするか検討しましょう。掛け捨てタイプの医療保険・共済であれば、保険料も安く大きな負担にもならないものもあります。
 

 

 

まとめ

帝王切開での出産は施設によっても異なりますが、通常の分娩費用と比べると多くの費用が必要です。近年は産婦人科医の不足により出産可能な施設もどんどん数が少なくなり、出産にかかる費用を比べて医療機関を選ぶということも難しくなっています。
 
しかし、一度に多くの費用を支払うのは大変な方もいると思います。費用を事前に調べておき、手続きができれば退院時に支払う費用を抑えることが可能です。妊娠する前に、お金に関する知識も備えておくと安心ですね。

 

※本記事の内容は、2022年6月の更新時点での情報です。

 

 

 

 

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