植松紀子先生インタビュー(3/4)

---第1次自立期の子どもの心についてお話いただきましたが、その次にはどんな心の揺れが待っているのでしょう。

1歳半から3歳ごろまでに「第1次自立期」を経験し、人間としての基礎が出来上がりますよね。その次の大きな波は、8〜10歳ごろの「第2次自立期」です。小学校3〜5年生くらいの学年に当たります。

この時期になると、まだ世の中について中途半端にしか知らないくせに、何でも分かったような口を利きたがります。「だから何だっていうの?」なんて大人を馬鹿にした口調も増えてくるので、カチンとくることも多くなるでしょう。

でもこうした生意気な言動も、子どもが初めて、自分自身で人生の方向性を考え始めているから起こるんです。「自分はどう生きたらいいんだろう」と真剣に考え始めるからこそ、不安定になって親に当たったりするんですね。

その次の大きな波は、中学1年生の終わりから中学2年生ごろの「第3次自立期」です。このころはホルモン分泌が盛んになるため、体の変化とリンクして心が揺れるのです。また、この時期には対人関係での変化も現れます。いままでは色々な同性の友だちと遊んでいたのが、親友と一対一で付き合うことを望み始めます。自分の気持ちを受け止めてくれる親友ができないと、不安で孤独になるのです。

このように「自立期」を迎えたびに、子どもを「扱いにくい」と感じると思います。親の言うことを聞かなかったり、生意気な態度にムカッとくることも多いでしょう。でも、「この時期特有の心の揺れのせいなんだ」とあらかじめ分かっていれば、落ち着いて見守ることができるのではないでしょうか?

 

植松紀子先生インタビュー(3/4)

 

 

---つまり、子どもの心の揺れをしっかり受け止めることが大切なんですね。

そうです。心が揺れる時期には、「自分はどう生きていったらいいのか」「どんな自分になったらいいのか」ということを模索しているわけです。だから、子どもが抱く思いをしっかり聞いてあげることが大切なんですね。「また生意気言って」なんて茶化したり、受け流してはいけません。

できれば、第2次自立期の終わりである10歳ごろに、本当に好きなものに出会えていればラッキーです。その好きなことに関連して、「自分はこうやって生きていこうかな?」というビジョンが見えてきたら、それを真剣に受け止めてあげてください。本当にやりたい仕事についている人に、「その仕事を選んだのはいつ?」と聞くと、ほとんどが「10歳ごろになんとなく決めていた」と答えるでしょう。それほど、この時期のビジョンは大切なのです。

そして、中学2年生前後の第3次自立期に、もう一度揺れながらも、将来のビジョンについてじっくり考えます。「やっぱりこれで行こう!」と確信できたら、中学3年生に、具体的な進路を検討します。そして進学、就職と道を進んでいくのです。

したがって、親はなるべく小さいうちから、「あなたは社会の一員で、社会の役に立つために生まれてきたんだよ」「誰でも、社会に役に立つ“力”を持っているんだよ」と教えてあげることが大切です。こういうことが理解できれば、「何をやって社会に役に立っていこうかな?」と自分で考え始めます。たとえば、小学校3年生ごろから『13歳のハローワーク』(幻冬舎)などの仕事選びの本を一緒に読んで、「こんな仕事もあるんだね」なんて話し合っていくといいと思いますよ。

 

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