【助産師監修】妊娠中期(16週~27週)に現れる症状と気を付けること

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監修者プロファイル

助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

妊娠中期イメージ

 

妊娠中期に入ると、だんだんお腹が出てきて外見も妊婦らしい体つきに変化してきます。安定期と呼ばれるこの時期は、ほかにどのような症状の変化や胎児の成長がみられるのでしょうか?

ここでは胎児の変化のほかにも、気を付けておきたいことや起こりやすい異常について紹介していきます。

 

 

妊娠中期はどんな時期?

妊娠中期は、妊娠16~27週にあたる時期で妊娠5~7カ月にあたります。一般的に妊娠5カ月を過ぎると、妊娠初期に比べて流産のリスクが低くなることから「安定期」と呼ばれています。

 

つらかったつわりの症状も落ち着く頃で、気持ち的にも余裕が出てくる頃です。友人や親戚などには、安定期を迎えたタイミングで妊娠報告をする人が多くなっています。
 

 

 

妊娠中期の胎児の変化

妊娠中期に入ると、おなかの中の赤ちゃんの性別が超音波でわかるようになります。

 

妊娠5カ月(妊娠16~19週)の胎児の変化

・頭殿長:約15cm(19週の終わり頃)
・体重:約250g(19週の終わり頃)
・皮下脂肪がつきはじめる
・全身にうぶ毛が生えはじめる
・髪の毛が生え、爪が生えはじめる
・皮脂腺から分泌がはじまる

 

おなかの赤ちゃんに筋肉がついてくるため、おなかの中で動くようになります。超音波検査で呼吸をするような動きや飲み込むような動きも観察できるようになり、タイミングが合えば口を動かしたり口元に手をもってきたりする様子をみることもできるようになります。


また、この頃には聴覚機能もほぼ完成しており、音に反応するようにもなります。

 

妊娠6カ月(妊娠20~23週)の胎児の変化

・身長:約29cm(23週の終わり頃)
・体重:約560g(23週の終わり頃)

・生まれてから自分で呼吸するために必要な肺サーファクタントが作られはじめる

・胎脂が全身にみられるようになる

 

妊娠7カ月(妊娠24~27週)の胎児の変化

・身長:約35㎝(27週の終わり頃)
・体重:約1,000g(27週の終わり頃)
・これまで透明だった皮膚は紅色に色づきはじめ、しわなどが見られるようになる
・目をあけるようになりまばたきがみられる

 

26週頃には肺がほぼ完成しますが、生まれて肺で呼吸するための機能が整うのはもう少し先になります。脳の機能も発達し、動きを自分でコントロールできるようになるため、胎動がより活発になり始める時期です。
 

 

 

妊娠中期の症状と母体の変化

妊娠前は鶏の卵ほどの大きさだった子宮は、妊娠中期に入ると成人の頭ほどの大きさになります。

 

妊娠5カ月(妊娠16~19週)症状と母体の変化

個人差はありますが、つわりの症状は落ち着くころです。子宮が大きくなりはじめることで胃や肺が圧迫されるようになります。そのため、胃もたれや動悸、息切れがでることもあります。

 

妊娠6カ月(妊娠20~23週)症状と母体の変化

個人差が大きいですが、胎動を感じ始める人が多いのが妊娠6カ月頃です。胎児が大きく成長するにしたがって胎盤を通じて渡される栄養素も多くなり、胎盤性ホルモンが多く分泌されるようになります。その結果、インスリン抵抗性が高くなるため、妊娠糖尿病を発症するリスクが高くなってくる時期です。

 

外見上は、お腹が前にせり出してくるため妊婦さんらしい体つきになってきます。それに伴い、腰にも負担が出てくるため腰痛や背中の痛みが出てくる人が多いようです。

 

妊娠7カ月(妊娠24~27週)症状と母体の変化

お腹はより大きくなるため、寝る時に仰向けの姿勢が辛くなりはじめます。また早い人だと、妊娠線もでき始める時期でもあります。また、むくみが強くなったり、乳首が黒くなるなどの変化が起こります。

 

 

 

妊娠中期に起こる可能性のある異常

・後期流産
妊娠5カ月に入ると安定期に入ったと安心する人も多いでしょうが、まだ切迫流産のリスクがゼロになったという訳ではありません。

 

妊娠12~22週までは後期流産のリスクも残っています。後期流産になると、胎児も大きくなっているため通常の分娩と変わらない方法での処置が必要になり、死産として取り扱われます。

 

比較的自由に動ける時期ですが、出血、下腹部痛、おなかの張りがあるなどの異変を感じた場合はすぐに病院で相談しましょう。

 

・妊娠高血圧症候群
妊娠20週以降~分娩後12週までの間に高血圧、あるいは高血圧と蛋白尿を伴う場合、「妊娠性高血圧症候群」と診断されます。

 

全妊娠の約3~7%の割合で発症すると言われていますが、母児にさまざまな影響を及ぼす恐れがあるので注意が必要です。

 

・妊娠糖尿病
妊娠中によって軽度の糖代謝異常をきたすと、「妊娠糖尿病」と診断されます。家族に糖尿病の方がいる場合や、肥満・過度の体重増加、35歳以上の方で発症リスクが高くなるといわれています。妊娠糖尿病では、胎児が巨大児になるリスクがあるため食事療やインスリンの注射などによって治療がおこなわれます。

 

・胎児発育不全(FGR)
おなかの中の赤ちゃんの成長が妊娠週数に対して遅く、基準値を超えた場合、「胎児発育不全(FGR)」と診断されます。

 

初期の診断が胎児の染色体異常や先天奇形が原因なのに対し、中期以降は胎盤梗塞や前置胎盤、臍帯付着異常などが原因となっています。全妊娠のうち約8~10%の割合で発症します。

 

・切迫早産
妊娠22~37週未満で早産のリスクが高くなると「切迫早産」と診断されます。この時期は、胎外でも赤ちゃんが生存できる可能性はありますが、妊娠数週が長いほど生存率は高くなるため、妊娠を継続するための治療がおこなわれます。切迫早産と診断されたら、医師の指示に従いできる限り安静にすることが大切です。

 

・前置胎盤
大量出血などが起こり、胎児だけではなく母体にも危険性が高いのが前置胎盤です。前置胎盤の診断を受けたら、入院管理とともに帝王切開で出産するスケジュールなどが決められます。

 

 

 

妊娠中期に気を付けることは?

妊娠中期に入ると、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群など、さまざまな合併症のリスクが高まります。

 

これらの合併症のリスク因子のひとつに肥満や急激な体重増加があります。つわりがおさまり、食欲がではじめる時期ですが体重は1週間に500g以上増えないように注意しておきましょう。

 

また、運動は分娩における体力強化や体重管理・ストレス解消のためにいいといわれています。始める前は医師に相談し、激しい運動や体調が悪い時の運動は控えるようにしましょう。

 

妊娠線予防などもこの時期から始めておくといいでしょう。

 

仕事はいつまでできる?

体調に問題がなければ仕事を続けることが可能です。ただ、立ち仕事や肉体労働などに従事している場合は特に、立ちくらみやめまい、貧血症状のほか、お腹のはりなどには注意しておくようにしましょう。


これらの症状が頻繁に出るという場合や妊婦の身体に影響する仕事に従事している場合は「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用すると良いでしょう。

 

 

 

まとめ

妊娠中期に入るとお腹も大きくなり見た目にも目立つようになります。胎児の性別も分かり、胎動も感じられるようになるためよりママとしての自覚を強く持つようになるはずです。

つわりなどの症状が落ち着く半面、食べ過ぎによる体重増加には注意し、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などに注意して、健康なマタニティライフをおくるようにしましょう。

 

参考

・メディックメディア:病気がみえるVol.10 産科 第3版


 

 
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