妊婦健診とは? 健診の頻度と内容、費用について

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監修者プロファイル

助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

妊婦健診イメージ

 

妊娠中はホルモンバランスの変化などで体調にさまざまな変化が起こりやすくなります。また、自分だけでなくおなかの赤ちゃんを成長させていくためにも、普段以上に健康に気をつけなければなりません。そのような妊娠期をサポートしてくれるのが妊婦健診です。妊婦健診は、母体や胎児の健康管理だけでなく、必要な保健指導なども受けられるため、安心してお産を迎えるためにも定期的に受けるのが望ましいとされています。今回は、妊婦健診の目的や受診回数、健診の内容や費用などについて解説します。

 

 

妊婦健診とは?

妊婦健診は、正しくは「妊婦健康診査」といい、母子保護法という法律に基づきおこなわれるもので、すべての妊婦さんが受けることが推奨されています。

 

妊婦健診では、妊娠が正常に経過しているか確認し、母子の異常の早期発見、合併症の予防、お産の時期の予測、マイナートラブルへの対応やいろいろな保健指導がおこなわれます。

 

 

妊婦健診を受ける場所や受診回数

妊婦健診は、産科がある病院や診療所、助産所で受けられます。助産所で妊婦健診を受ける場合、血液検査やがん検診、感染症の検査などは、助産所ではおこなえないため、医療機関を受診する必要があります。妊婦健診の標準的な回数は14回ですが、妊娠時期によって健診の間隔や回数が異なります。

 

一般的な妊婦健診の間隔は以下のようになっています。

 

・妊娠初期~妊娠23週(妊娠6カ月):4週間に1回
・妊娠24~35週(妊娠7~9カ月):2週間に1回
・妊娠36週以降(妊娠10カ月):1週間に1回

 

多胎妊娠や母体合併症など、ハイリスクの場合や出産予定日を過ぎてもお産にならない場合は、健診の間隔が短くなることもあります。

 

 

妊婦健診の内容

健康状態を把握するため、妊娠週数に応じた診察や検査、保健指導がおこなわれます。

 

●毎回おこなわれる検査
・血圧
・尿検査(蛋白、糖)
・体重
・足のむくみ
・子宮底長(恥骨結合上縁から子宮底までの高さ)
・腹囲

※妊娠16週未満の場合、足のむくみと子宮底長は省略されることがあります。

 

血圧や尿蛋白、足のむくみは「妊娠高血圧症候群」、尿糖からは「妊娠糖尿病」の有無をチェックできます。子宮底長や腹囲は、羊水量や胎児の大きさの目安の1つとして計測されますが、腹囲に関しては有用性に疑問があるという理由から計測されないことも多いです。

 

●妊娠初期におこなう検査
・血液検査:血糖値、貧血、炎症所見の有無、血液型、不規則抗体、感染症などを検査します

・子宮頸がん検診

 

●妊娠後期におこなう検査
・血液検査:貧血の有無など

・腟分泌物細菌検査:腟の常在菌であるB群溶血性レンサ球菌(GBS)は、胎児に感染すると神経的な後遺症などを残すGBS感染症を発症すると言われています。感染経路は、分娩時の産道感染であることから、妊娠33週から37週ごろの期間に培養検査をおこないます。

・NST(ノン・ストレス・テスト):胎児の状態をチェックするため、必要に応じておこなわれる検査です。一般的には出産間近の妊娠38週から42週くらいにおこなわれ、一過性の頻脈が確認できれば胎児の状態はよいと判断されます。

 

●適宜おこなう検査
・超音波検査:子宮頸管長や胎児の発育状況、異常の早期発見のために適宜おこなわれます。目的に応じて経腟超音波でおこなわれる場合と経腹超音波でおこなわれる場合があります。妊娠前期・中期・後期にかならず1回、胎児の発育の評価をします。

・随時血糖もしくは50gグルコースチャレンジテスト(経口ブドウ糖糖負荷テスト)
:妊娠前は問題がない場合でも、妊婦糖尿病になることがあるため、耐糖能異常の有無をチェックします。

 

 

妊婦健診の費用と補助券の利用について

母体の健康や胎児の成長を確認できる妊婦健診ですが、定期的に受診するとなると費用が気になるという人も多いのではないでしょうか。一般的なケースを見ていきましょう。

 

●妊婦健診の費用
妊娠届を出すことで、公費の補助制度が受けられます。母子健康手帳とともに補助券がもらえます。


妊婦健診の基本の6項目(血圧、尿検査、体重、足のむくみ、子宮底長、腹囲)は公費負担、つまり無料で受けられるケースがほとんどです。しかし、血液検査や特殊な検査の費用に関しては地域差があります。全額自己負担となる人もいれば、助成制度によって無料や一部負担で受けられるのが現状です。

 

里帰り出産の場合、お住まいの地域外で妊婦健診をおこなうと補助券が使えないケースがほとんどです。ですが、申請することで助成金を受けられる自治体が多いです。ただ、助成限度額が決められているケースがほとんどのため、限度額をオーバーしている場合は一部自己負担となります。

 

助成制度を利用しない場合、妊婦健診は保険適用外のため、健康保険証を提示しても医療費の一部免除はしてもらえず、全額自己負担となります。施設によって異なりますが、初回は体重や血圧などの測定に加え、尿検査や超音波検査をおこなうため、8,000円~10,000円前後が多いです。2回目以降は、6,000円~8,000円程度ですが、妊娠初期は受ける検査が多いため10,000円を超えるケースもあります。

 

●補助券の種類
受診券は、毎回の検査項目が記されたタイプと、毎回の検査項目は医療機関にゆだねられている補助額が記されたタイプの2つがあります。

 

毎回の検査項目が記された補助券を使う際、補助券に記されていない検査をおこなった場合はその検査分は全額自己負担です。補助額が記されている補助券も、費用がオーバーしている場合は自己負担となります。

 

 

まとめ

妊娠・出産は病気ではないとよく言われますが、妊娠中はさまざまな変化が起こり、母子に影響を及ぼす可能性があります。母子の健康の確認と異常の早期発見のためにも妊婦健診は必要な健診と言えます。助成制度には市区町村によって差があり、検査を自己負担で受けなければならないケースもありますが、無事に出産を迎えるためにも助成制度をうまく活用しながら定期的に妊婦健診を受けましょう。


 

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