【ファイナンシャルプランナー監修】妊娠・出産と医療保険

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ファイナンシャルプランナー大野高志

1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計 代表取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。

 

【ファイナンシャルプランナー監修】妊娠・出産と医療保険

 

妊娠・出産前に、民間保険会社の医療保険、あるいは生協や県民共済等の医療共済に加入しておいた方が良いと聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、医療保険や医療共済が、妊娠・出産時に活用される場合などについてご説明します。なお、以下の内容について、「医療保険」と記載のある場合は、特別な場合を除き、医療保険と医療共済に共通する事項としてお読みください。 

 

妊娠・出産と医療保険について

はじめに、妊娠や出産時にかかる費用と医療保険について確認しましょう。

 

妊娠や出産は病気ではないため、健康保険等の公的医療保険制度(以下、健康保険)の対象とはなりません。厚生労働省の調査(第136回社会保障審議会医療保険部会の資料)によると、令和3年度(2021年度)における正常分娩の平均的な出産費用の全国平均は538,263円でした。地域や医療機関にもよりますが、正常分娩の費用は40万円~60万円の間であることが多いようです。なお、健康保険からは出産育児一時金の50万円(産科医療補償制度未加入の医療機関の場合は48.8万円)が支給されるため、実際に自己負担しなければならない費用は数万円~10万円程度となることが多いです。

 

また、正常分娩の場合は、医療保険の入院・手術給付金の支給対象にもなりません。しかし、妊娠・出産時に健康上でのトラブルが発生して治療を受けた場合には健康保険の適用となります。また、医療保険の入院・手術給付金の支給対象となる場合も少なくありません。妊娠・出産中に起こる主な健康上のトラブルには、流産・切迫流産、早産・切迫早産、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、帝王切開などがあります。これらで、入院・手術での治療を行った場合には、多くの場合で医療保険の給付金が支払われます。 

 

 

医療保険の加入のタイミングについて

妊娠・出産における健康上のトラブルでの支給を目的として医療保険に加入したい場合には、最初の妊娠前、できれば妊活前に加入するといいでしょう。

 

その理由は、妊娠後に医療保険に加入すると、健康状態に問題のない場合でも、加入時に妊娠している子どもの出産についての健康上のトラブルや帝王切開などの異常分娩についての入院・手術には、保険給付金が支払われない条件が付いてしまうことがほとんどであるためです。

 

一部の医療保険では、妊娠後の加入でも経過週数によっては、異常分娩時に給付金が支払われるものもありますが、加入できる医療保険の選択肢を狭めてしまいます。そのためにも、妊娠前、できれば妊活前に医療保険に加入することを検討しましょう。


妊娠前に医療保険に加入しておけば、妊娠中の健康上のトラブルにも対応できます。多くの保険会社が設定している女性向けの医療保険や特約には、妊娠高血圧症候群などの女性特有の疾病による入院時に給付金が増えるものもあります。さらに、不妊治療をサポートするものや健康保険の適用範囲外の治療費用に給付金が支払われるものなどもあります。年齢や家計の状況によっては、追加の保険料が必要ですが、このようなタイプの医療保険や特約に加入するかを検討してみましょう。  

 

 

経済的に難しいと感じた人こそ加入の検討を

また「経済的に余裕がないので、医療保険の加入は難しい」と思った方こそ、最低限でも良いので、医療保険の加入を検討することをおすすめします。掛け捨てで、終身保障でないものを選ぶと、月額1000円代から2000円程度で加入できるものもあります。

 

妊娠・出産の健康上のトラブルが起き、入院・手術になると多くの場合、通常分娩より費用が掛かります。大きな金額の負担を緩和するためにも、加入できる範囲で医療保険の加入を検討してみましょう。

 

出産は特に健康上の問題がない場合でも費用は掛かりますが、妊娠・出産時の健康上のトラブルによってさらに追加の費用が掛かる可能性もあります。厚生労働省の調査によると、2020年9月の帝王切開の実施割合は、一般病院で27.4%、一般診療所で14.7%とあり、決して少なくない数字です。また、妊娠を機に持病が判明するケースも少なくありません。このようなことからもお子さんを希望する前に、出産費用と医療保険について考えてみてはいかがでしょうか。

 

※本記事の内容は、2023年6月の更新時点での情報です。

 

(監修/ファイナンシャルプランナー 大野高志さん)

 

 

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