【助産師監修】妊婦さんの旅行は何週まで?注意点・気をつけること

この記事の監修者
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助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

地図を見る夫婦


出産するとしばらく旅行に行けなかったり、夫婦だけの時間をとりづらかったりするということで、妊娠中の旅行を計画する一方、妊娠中に旅行へ行っても大丈夫なのか不安に思う人も多いのではないでしょうか? そこで、妊娠中の旅行についてお話ししたいと思います。

 

 

妊娠中に旅行してもいい?

最近では「マタ旅」という言葉も使われるようになり、妊娠中の旅行を楽しむプランもたくさんあって、妊娠中の旅行は問題ないように思えます。ですが、妊娠中の旅行を検討している場合は、あらかじめ医師に相談することをおすすめします。しかし、これまでの妊娠経過に問題がなくても、妊娠中の旅行に関して医師は、「自己責任で」と説明されるケースが多いのではないかと思います。


妊娠・出産は病気ではないですし、これまでの経過に問題ないとはいえ、やはり妊娠中は妊娠前とは違い、さまざまな体の変化が生じています。何が起こるかわからないのが妊娠中なのです。実際はなんの問題もなく旅行を楽しんだ妊婦さんのほうが多いかと思います。ですがなかには旅先で流・早産してしまったというケースも少なくありません。やはり妊娠中の旅行は慎重に検討する必要があると思われます。

 

 

妊娠中の旅行を計画するときに考慮すること

妊娠中の旅行は絶対ダメということではありません。妊娠中の旅行をする際に考慮しておきたいポイントを押さえ、計画していくことが大切です。


●時期
妊娠初期は、つわりがあったり体調も不安定なことが多いため、あまりおすすめできません。なかにはつわりがないという方もいますが、そのようなケースは妊娠していることを忘れて、普段通りに活動してしまう可能性もあります。


比較的、安全とされているのは、いわゆる「安定期」とよばれる、妊娠16週~27週ころと言われています。しかし、医学的には「安定期」という時期はありません。胎盤が完成することで、妊娠初期よりも流産のリスクは少なくはなりますが、ゼロではありません。「安定期」という言葉の響きが、妊婦さんに安心感をもたらしてしまうかもしれませんが、「安定期=安全」ではないということも心にとめておきましょう。
 

おなかが大きくなる妊娠後期は、妊娠週数がすすむにつれ、おなかも張りやすくなりますし、体に負担がかかる可能性があります。


いずれにせよ、妊娠中の体調は人によっても異なりますので、比較的安全とされる時期でも体調によっては控えたほうがよいこともあります。普段から自分の体調についてよく理解しておくようにしましょう。


●行き先
海外旅行を計画する方もいるかもしれませんが、言葉の問題や文化、医療設備・制度などの違いで戸惑うこともあるかもしれません。何かあったときのことを考慮して、行き先を決めましょう。旅先で何かあったとき、すぐ受診できる産婦人科がないということもあり得ます。すぐに戻ってこられる距離での旅行が安心です。


宿泊先もマタニティプランのあるところだと安心です。宿泊予約の際には必ず「妊娠している」ことを伝えるようにしましょう。


また、旅行中に体調を崩してしまったり、破水などが起こってしまったりすることも考えられます。旅行先での万が一に備え、旅行先にある産婦人科を事前に調べておくと安心です。海外へ行く場合、海外旅行保険に妊娠中のトラブルの補償があるかを確認しておくようにしましょう。

 

●移動手段
移動手段も車や電車、飛行機など、さまざまあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。飛行機の場合、妊娠時期によっては医師の診断書が必要な場合があります。搭乗の際も、万が一に備え、客室乗務員に妊娠していることを伝えておくと安心です。気を使わない移動手段としては車が一番かもしれませんが、車は渋滞すると身動きが取れなくなります。


移動時間が長く、同じ姿勢が長時間続くと、腰が痛くなったり深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)になる恐れもあります。同じ姿勢を避け、時々体を動かしたり水分補給をこころがけましょう。そして、2時間に1回は休憩を取りましょう。


快適な旅行にするためにも、体調や距離、利用する妊娠時期などを考慮した移動手段を選ぶようにしましょう。


●スケジュール
日帰り旅行はもちろん、宿泊の旅行でも余裕のあるスケジュールで行けるところがよいでしょう。ツアーであれば、一度に多くの観光名所などを巡ることができますが、タイトなスケジュールが続くようなプランだと無理をしがちです。ツアーを選ぶときは、集団行動がメインのプランよりも、自由行動が基本のプランを選び、マイペースで過ごせる旅行先を選びましょう。


せっかくの旅行だからとはいえ、やはり無理は禁物です。余裕をもったスケージュールであっても体調が悪くなることもあり得ます。疲れたらすぐ休むことも、ときには計画を変更することも必要です。

 

 

妊娠中の旅行で注意すること

妊娠中は、自分一人だけの体ではないため、少しでも安全に過ごしたいと考える妊婦さんが多いです。妊娠中の旅行を安全に過ごすためには、次のようなことに注意しましょう。


●人混みを避けましょう
人が多いところでは、接触による転倒やインフルエンザなどの感染症のリスクが高くなります。旅行先でも、なるべく混雑しているところは避けるようにしましょう。


●食事はなるべく加熱調理されたものを
食べ物の中には、食中毒を起こす細菌やウイルスを含んでいるものもあります。特に、生ものや加熱殺菌していないチーズなどは、妊娠中は避けたほうがよいとされているため、なるべく加熱調理されたものを食べるようにしましょう。また、おいしい料理でも食べ過ぎには注意です。海外へ旅行した場合は、生水や飲み物の氷、サラダなどにも避けるようにしましょう。


●温泉はOKだけど…
妊娠中の温泉入浴については、足元に十分気をつければ入っても問題ないと言われています。ただ、長風呂をすると疲れやすく、脱水症状を引き起こす可能性があります。湯温は42℃未満の温度が理想で、1日1~2回、1回あたり5分~10分くらいの入浴が目安にしましょう。

 

 

妊娠中の旅行の際に準備しておきたいもの

体調などが安定しているときに旅行へ出かけたとしても、妊娠中は突然体調を崩したり、トラブルが発生したりすることがあります。いざというときのために持っておいた方が安心な持ち物を見ていきましょう。


●必ず持参したいもの
妊娠中に必ず携帯しておきたいものは次の2つです。旅行だけでなく、日ごろから携帯しておくようにしましょう。
・保険証
・母子健康手帳


●持っておくと良いもの
万が一に備え、次のようなものも携帯しておくと役に立ちます。
・ナプキン
・タオル
・寒暖の調節ができるもの(ひざかけやカーディガン)
・パジャマ


妊娠中の旅行は荷物が多くなりがちですが、同行者に持ってもらったり、あらかじめ宅配便で送るなどしてなるべく負担にならないよう工夫しましょう。
 

 

まとめ

妊娠することで生活や体調が大きく変わり、ストレスを感じている妊婦さんが多く、気分をリフレッシュさせるために、妊娠中に旅行を予定する人もいるでしょう。ただ、妊娠中の旅行はいつでもOKというわけにはいきません。かかりつけ医に確認を取ったうえで、無理のないプランを考え、しっかりと事前準備をしてから比較的安定しているタイミングに行くようにしましょう。

 

 

 

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