【看護師監修】妊婦さんは鰻(うなぎ)を食べられる?

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看護師しらいし ゆみか

2008年より看護師として総合病院勤務。診療科としては主に小児科、整形外科、泌尿器科を経験。その後、派遣でクリニックや健診、ツアーナース、保健室業務、保育園、看護学校臨時教員などさまざまな働き方をし、現在はフリーランス看護師として働きながら医療系ライターとしても活動中。

妊婦 鰻イメージ

妊娠中は、体重管理や塩分の摂取量など、食事面で気をつけなければならないことが多いですが、胎児や母体への影響から食べるのを控えた方がよい食材も多くなります。妊娠中は食べるのを控えたい食材としては「鰻(うなぎ)」が代表的です。ここでは、鰻に含まれる栄養素や控えた方がよい理由、どれくらいの量なら大丈夫なのかなどについて解説します。

 

 

妊娠中に鰻を食べてもよいか

夏バテの予防効果もある栄養素の高い鰻を食べたくなる妊婦さんも多いですが、過剰摂取することでお腹の中の赤ちゃんや母体に影響が出る可能性があるため、少量であれば問題ないとされていますが、妊娠中はできるだけ食べないようにするのがよいと言われています。

 

鰻には次のような栄養素が含まれています。

■鰻に含まれる栄養素(可食部100gあたりの摂取量)

妊娠中に控えた方がよいとされている鰻は、ビタミン群や不足しがちなミネラルが豊富です。

・DHAやEPAを含む脂質(19.3g)
・カルシウム(130mg)
・ナトリウム(74mg)
・亜鉛(1.4mg)
・ビタミンA(4800μg)
・ビタミンB1(0.37mg)
・ビタミンB2(0.48mg)
・ビタミンE(7.5mg)
・ビタミンD(18μg)
・葉酸(14μg)

 

参考:文部科学省『日本食品標準成分表』

 

参考:文部科学省 『食品成分データベース ビタミン』

 

 

妊娠中に鰻を控えた方がよい理由

妊娠中は食べないようにするのがよいと言われている鰻ですが、控えるべき理由は次の理由からです。

 

■ビタミンAの過剰摂取がよくない

ビタミンAには、動物性食品に多い「レチノール」と植物性食品に多い「β-カロテン」などの種類があります。ビタミンAが欠乏すると、乳幼児の場合、失明の可能性があります。

成人の場合も、暗順応障害が生じて夜盲症になったり、皮膚の乾燥や角質化したりする変化が生じるといわれているため、欠乏しない程度に摂取することが大切です。

ただ、鰻に含まれるビタミンAは、動物性食品に多い「レチノール」という種類です。レチノールは、妊娠中に過剰に摂取すると先天異常のリスクが高くなるため、摂取量には注意が必要となります。
元々、健康やお肌のためにと、ビタミン系のサプリメントの内服をしている人も注意です。

特に、妊娠12週未満のビタミンAの過剰摂取は、ビタミンAを過剰に摂取していない妊婦さんと比べると、水頭症や口蓋裂といった胎児奇形を起こす可能性が約3.5倍になるという報告があります。したがって、妊娠初期は特に控えた方がよいでしょう。

 

<鰻のレチノール量の目安>(100gあたり)
・鰻の蒲焼き    1,500μgRE
※REはレチノール当量

 

参考:

食品安全委員会 『ビタミンAの過剰摂取による影響』

<https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-vitamin-a.pdf>

ベビーカレンダー『妊娠期の栄養素について』

<https://baby-calendar.jp/pregnancy-food-guide>
 

 

ビタミンAが含まれる食品とは?

ビタミンAの過剰摂取は胎児に悪影響があるため、摂取量には注意した方がよいことはわかりましたが、実際どのような食品にビタミンAは含まれているのでしょうか。

 

鰻以外でビタミンAが豊富な食品は以下になります。

■「レチノール」の多い動物性食品(100gあたりのレチノールの量)
・鶏レバー(生)        14,000μg
・豚レバー(生)        13,000μg
・あんこう肝(生)    8,300μg
・養殖鮎(内臓、焼き)    6,000μg
・ほたるいか(ゆで)    1,900μg
・プロセスチーズ        240μg

 

■「β-カロテン」の多い植物性食品(100gあたりのカロテンの量)
・にんじん(根、皮むき、ゆで)    7,500μg
・ほうれん草(葉、ゆで)        5,400μg
・しゅんぎく(葉、ゆで)        5,300μg
・西洋かぼちゃ(ゆで)        3,900μg
・こまつな(葉、ゆで)        3,100μg
・ブロッコリー(ゆで)        770μg
・トマト(生)            540μg

 

 

 

ビタミンAの摂取してもよい量はどれくらい?

厚生労働省は、ほとんどの人が過剰摂取によって健康被害や胎児への影響を起こす可能性がない摂取量の基準を設定しています。

 

<一般女性のビタミンAの食事摂取基準>
・18歳~29歳:推奨量650μgRE

(推奨平均必要量450μgRE、耐容上限量2,700μgRE)
・30歳~49歳:推奨量700μgRE

(推奨平均必要量500μgRE、耐容上限量2,700μgRE)

 

<妊娠中の女性のビタミンAの食事摂取基準>
・18歳~29歳:推奨量が730μgRE

(推奨平均必要量510μgRE、耐容上限量2,700μgRE)
・30歳~49歳:推奨量が780μgRE

(推奨平均必要量560μgRE、耐容上限量2,700μgRE)

 

妊娠中の摂取基準には、妊娠初期と中期の付加量は+0のため、一般女性の年齢に応じた推奨量となっていますが、妊娠後期は付加量が設定されています。付加量は、推奨量が一般女性の必要量+80μgRE、推奨平均必要量が一般女性の必要量+60μgREです。

 

鰻の場合は蒲焼きで100g以下なら毎日食べても大丈夫と考えられています。

鶏レバーなら10.6g、豚レバーなら11.5g以下が毎日の摂取量の目安です。

ただ、妊娠初期は胎児への影響が心配されるため、大丈夫と考えられている量であっても鰻やレバーの摂取は控えた方がよいかもしれません。


参考:食品安全委員会 『ビタミンAの過剰摂取による影響』

 

 

まとめ

栄養素が豊富な鰻ですが、鰻に含まれるビタミンAは過剰に摂取すると胎児に影響する可能性があります。また、食べ過ぎで摂取カロリーが多くなると妊娠高血圧症のリスクも高まることがあるため、妊娠中に鰻を食べるときは摂取量に十分注意しましょう。

ただ、鰻以外にもビタミンAが豊富な食品はあります。鰻を食べるときは、ビタミンAが多い食品を食べた日を避けることも大切です。

過度に神経質になる必要はありませんが、気にしてしまう人は妊娠初期から中期は鰻などのビタミンAが多い食品の摂取を避けるのがよいかもしれません。

 

 

 

 

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