【医師監修】妊娠中に美容院で ヘアカラー・パーマはしてもいい?

この記事の監修者
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医師太田 篤之 先生
産婦人科 | おおたレディースクリニック院長

順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。

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助産師古谷真紀

一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー。大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。

美容院

 

妊娠中に美容院の利用を検討している妊婦さんのために、美容院に行く前に知っておいてほしいことをお話しします。

 

 

妊娠中に美容院に行っても大丈夫?

妊娠経過が順調で利用当日の体調が良ければ、美容院に行っても大丈夫ですが、妊娠中は、においや香りに敏感になる、長時間同じ体勢で過ごすことをきつく感じる、こまめにトイレに行きたくなるなど、妊婦さんならではの体の変化が起こります。つわり症状が落ち着かない時期や出産予定日近くは体調の変化をきたしやすいので美容院に行くのは避けたほうが無難です。

 

また施術が長時間になるとおなかに負担がかかったり、足元から冷えておなかが張ってくることがあります。利用当日の困りごとを減らすために、美容院の予約をするときや利用当日には、妊娠中であることをスタッフへ伝えましょう。

 

 

妊娠中にヘアカラーやパーマは大丈夫?

美容院で使用する製品が赤ちゃんに何らかの影響を及ぼすのではないかと不安になる妊婦さんもいますが、ヘアケア製品は、医薬部外品あるいは化粧品に分類されていて、皮膚から吸収できるような成分は配合されていません。

 

妊娠経過が順調で利用当日の体調が良く、カラーリングやパーマをしてもかまいません。しかし、妊娠中は生理的な変化で皮膚が敏感になります。ヘアカラーリングやパーマに使用する薬剤が、頭皮や顔、首筋などに付着すると、赤みや痛みなど刺激性のかぶれが起こりやすい状態のため、どの妊婦さんにおいてもヘアカラーやパーマをしても大丈夫とは断言できません。そのため、美容院によって妊婦さんへカラーリングやパーマはしないように自主規制している店舗があります。

 

また、先程お話ししたように施術が長時間になるような場合は、おすすめできません。パーマをかけたいときはカットは別の日にするなどの工夫が必要です。

 

カラーリングに使用する製品には、染毛剤と染毛料があります。
・染毛剤:医薬部外品 ヘアカラー 白髪染めなど
・染毛料:化粧品 ヘアマニキュア カラートリートメントなど

 

毛髪の色を変える、白髪染めるという目的でおこなう一般的なヘアカラーリングは、染毛剤を使用します。染毛剤には、髪色を明るくするのに必要不可欠なパラフェニレンジアミン(以下ジアミン)という染料が含まれており、アレルギー性のかぶれを起こすことがあります。頭皮や顔、首筋などに薬剤による赤みやかゆみ、腫れなどの症状が起こります。アレルギーを起こした場合、妊娠中に使用できる治療薬はありますが、重症な場合は呼吸困難や意識障害などアナフィラキシーショックを引き起こし、母子ともに生命の危険が迫ることになります。

 

ジアミンに対するアレルギーは突然現れるため、妊娠前にカラーリング時にかぶれたり長期間カラーリングを繰り返している場合には、特に注意が必要です。

妊娠中に、毛髪の色を変えたいという場合には、ジアミンを含まない染毛料(ヘアマニキュア、カラートリートメント)を選んでくれる美容院もあります。また、事前にパッチテストをしたり、髪の根元や生え際を避けて薬剤を塗布するなどの対応をしてくれる美容院もあります。妊婦さんへの対応は美容院の方針によって異なりますので、まずは相談してみましょう。

 

市販のカラーリングに使用する製品にも同じようにジアミンは含まれていますので、妊娠中にカラーリングをしてくれる美容院がない、美容院へ行く時間がないという理由があっても市販の製品を使うことは避けたほうがいいでしょう。市販の製品を使用するときも、ジアミンが含まれていないヘアマニキュアやカラートリートメントを選びましょう。

 

【参考】

日本ヘアカラー工業会HP 
日本パーマネントウェーブ液工業組合HP 

 

 

妊娠中に美容院を利用するときに注意すること

妊娠中期(妊娠16週以降)は、あおむけになったときに、大きくなった子宮が体の右側にある下大静脈を圧迫して急激に低血圧を起こす仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)に注意が必要です。心臓に戻る血液が不足して、心臓から送り出す血液が不足することから、全身に血液によって運ばれる酸素が少なくなり、気分不快、意識が薄れるなどの症状を引き起こします。

 

美容院でシャンプーやトリートメントをおこなう際に、あおむけでこのような症状が現れたら、直ちに母体の左側を下にして横向きになりましょう。症状を予防するために、右側の脇腹部分にタオルやクッションを置いて、子宮による下大静脈への圧迫をやわらげましょう。

 

妊娠後期(妊娠28週以降)は、長時間同じ姿勢でいるとおなかの張りや腰痛が生じやすくなります。「きつい」「つらい」となる前に、リクライニングチェアの角度を変えたり、施術の途中で立ち上がるなど、無理のない姿勢で過ごすために、ひと休憩入れるようにしましょう。可能であれば、タオルやクッション、フットレストを活用しましょう。座ったまま足首をぐるぐる回すなど可能な範囲でストレッチするのもいいでしょう。

 

妊婦さんの体調の変化は外見ではわかりにくいので、トイレまでの動線を確認したり、施術の途中で姿勢を変えたい、少しでも体調の変化があれば休憩したいなど、妊婦さんの気持ちを美容師さんへ伝えることも大切です。妊娠中は何が起こるかわかりません。必ず母子健康手帳と保険証を携帯するようにしましょう。
 

 

産後はいつ美容院に行ける?

産後の心身の回復や、赤ちゃんへの授乳や睡眠などの生活リズム、パパや家族のサポートによって個々に異なりますが、産後3カ月を経過しても美容院へ行けないこともあります。産後、赤ちゃんとの生活に慣れてきたころに、授乳の合間の数時間を利用して美容院へ行くママも多いです。

 

美容院を利用する合間の赤ちゃんのお世話は、パパや家族がサポートしたり、自治体の一時保育や民間のベビーシッターを利用するママもいます。最近は託児付きの美容院もありますので、妊娠中から産後に利用できるサービスについて調べておくと安心です。

 

 

まとめ

妊娠経過が順調で、利用当日に体調が良ければ美容院を利用してかまいませんが、利用する週数やメニューによって妊婦さんの心構えも必要です。利用する際に気になることは美容師へ相談しましょう。もし美容院の利用後に体調の変化があれば産婦人科へ、皮膚のかぶれが起きたら皮膚科へ早めに受診しましょう。

 

 

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