【医師監修】妊娠中の歯科治療とお口の健康(1/3)
赤ちゃんの歯はいつごろから作られる?
赤ちゃんの歯の成育は、お母さんが妊娠に気づきはじめた妊娠7週目くらいからはじまり、一生使う永久歯の芽は、妊娠3カ月目ごろにはすでにでき始めています。ママのお口のケアは、将来の赤ちゃんのお口の健康にも影響するのです。妊娠したことをきっかけに、赤ちゃんと家族のお口の健康についてよく考えてみましょう。
未来の赤ちゃんの歯のために
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、むし歯菌はいません。むし歯菌は、ママや家族がなめたスプーンで離乳食を食べさせたりするなど、唾液を介して赤ちゃんのお口にうつるのです。生まれてくる赤ちゃんのむし歯予防のために、まずは赤ちゃんと過ごす時間が多いママから歯の治療やお口のケアを始めてみてください。家族のみんなも赤ちゃんが生まれる前までにはお口の中をきれいにしておきましょう。それが、赤ちゃんのむし歯予防の理想的なスタートとなります。
妊娠中から歯を守るとこんなメリットが!
- ・生まれてくる赤ちゃんのお口にむし歯菌を感染させるリスクを減らすことができる
- ・むし歯治療で痛い思いをすることがなければ子どもを歯医者さん嫌いにしなくてすむ
- ・妊娠中のお口のケアでママの歯周病を予防できる
[Q] 妊娠中、麻酔が使えないと思うのですが、治療はできるのでしょうか?
歯科治療では局部麻酔を使います。通常の麻酔量で妊娠中のママやおなかの赤ちゃんへ影響することはまずないと言ってよいでしょう。ただし、妊娠後期に使用すると早産の可能性があるので医師に相談しましょう。また歯科治療で行う麻酔で気分が悪くなったなどの経験がある場合は必ず医師に伝えておきましょう。
[Q] 妊娠してから歯ぐきが以前より弱くなり、痛かったり出血したりするときがあります。歯みがきだけではダメですか?
妊娠すると歯ぐきが腫れやすくなります。つわりによる歯みがき不足も原因の一つですが、妊娠によるホルモンの変化が大きく影響しています。妊娠すると増える女性ホルモンは歯周病の原因菌やその他の菌の繁殖を促進するため、歯ぐきに炎症反応が起こりやすくなります。つわりなどでお口のケアがおろそかになると歯肉の状態がどんどん悪化しやすくなるという悪循環に。
歯肉炎は、日ごろのていねいなブラッシングで防ぐことができます。ヘッドが小さめの歯ブラシで、歯と歯ぐきの境目を重点的にブラッシングしましょう。フロスの使用も効果的です。出産後、ホルモンのバランスが落ち着くことで症状は改善しますが、ほうっておくと歯周病へと進行が進みやすくなるため出産後のケアもしっかりおこないましょう。
[Q] 出産すると歯がボロボロになるって本当でしょうか?
かつては「一子生むと一歯失う」などといわれましたが、おなかの赤ちゃんにカルシウムを取られるからむし歯になるわけではありません。ママがバランスのとれた栄養をとり、お口のケアをしっかり行うことで歯を守ることはできるのです。