【医師監修】40代の妊娠のリスクとは?事前に知っておきたい出産、子育て

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師太田 篤之 先生
産婦人科 | おおたレディースクリニック院長

順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。

40代の妊娠のイメージ

 

男女ともに、年齢を重ねるほど妊娠する力あるいは妊娠させる力が低下することが明らかになっています。近年、40代女性が妊娠することは珍しくないように感じますが、生理が続く間に、いつでも妊娠できるというわけではありません。今回は、40代での妊娠についてお話します。

 

 

40代女性の妊娠

我が国の人口動態統計によると、母親の年代別の出産数は、20代女性は減少傾向にあり、30~40代女性では増えています。そのなかでも、40代女性が出産する子どもの数は増えています。40代女性は第2子以降を出産するだけではなく、近年では40代に第1子を出産することも珍しいことではなくなりつつあります。(※1)

その一方で、人工中絶の割合は20歳未満と40代に多く、特に45~49才の中絶数は増加傾向にあり、子育てがひと段落した、あるいは避妊への意識が薄れた年齢層にも妊娠と中絶は起こり得ることがわかっています。(※2)
このことから、40代は妊娠できる確率は下がるものの、妊娠できるかどうかは個人差があるといえます。妊娠を希望するなら、まずは不妊の原因がないかをパートナーと一緒に検査して、原因がわかれば早めに治療を開始し、そして妊娠の準備をしましょう。妊娠を希望しないなら、きちんと避妊することが大切です。

 

 

40代の妊娠はハイリスク!?

生物学的に妊娠出産に適した年齢よりも遅めに妊娠や出産をする女性は増えていますが、さまざまなリスクを伴うと言われています。


母親の年齢が高いほど、自然に妊娠する可能性は低くなり、自然流産が起こる確率が高くなります。妊娠を希望して、高度生殖補助医療(体外受精や顕微授精など)を受けたとしても45歳を過ぎると妊娠する確率はほとんどありません。また、周産期死亡率(妊娠22週以降~生後1週間未満に赤ちゃんが亡くなる割合)や妊産婦死亡率(妊娠中から産後42日未満に母親が亡くなる割合)が高くなります。


そして、母親の年齢が35才を過ぎると、ダウン症など染色体異常をもつ子どもが生まれる頻度が上がります。妊娠中にも妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、前置胎盤などの合併症になる方が増加します。そのため、母親の年齢が高いほどハイリスクになるため、総合病院や大学病院など大きい医療機関で妊婦健診や出産をすることを医師から推奨されるケースが多いです。妊娠中の合併症や母親の持病の悪化などが起こりやすいため、結果的に帝王切開術による出産するケースが少なくありません。

 

 

40代で妊娠するときに大切なこと

初めての妊娠であれば、40代の妊娠や出産に関して、世の中にネガティブな情報が多いように感じるかもしれません。妊娠や出産に関して正しい情報や知識をしっかり受け止めること、妊娠や出産だけがゴールにならないように産後の生活や子育てについてもパートナーと話し合うことが大切です。


第2子以降の妊娠の場合、自分や家族の人生設計を多少変更もしくは調整する必要があるかもしれません。また、前回の妊娠や出産したときと比べると、体力の衰えを感じるかもしれません。上のお子さんの子育てと新たな生命を授かった生活の両立に苦労もあるかもしれませんが、上のお子さんがお兄ちゃんお姉ちゃんとして成長するきっかけになりますし、妊娠出産子育てを身近な出来事として知る良い機会にもなります。


もし、前回の妊娠からだいぶ年月が経っている場合は、体力の衰えだけでなく、妊娠出産子育てに関する常識が変化していることに驚くかもしれません。そういう時は、ぜひ産婦人科医や助産師、保健師、保育士、小児科医を頼りましょう。

 

40代という世代は、仕事や親の介護など重要な役割とのバランスが問われる年代でもあります。女性だけに心身の負担がかからないように、パートナーや家族、周囲の人の協力は必要不可欠です。また、さまざまな事情で、子どもをひとりで育てるという女性もいることでしょう。もし、子育てや介護について、お困りのことがあれば、ひとりで悩まず、居住地の役所にいる保健師へ相談しましょう。

 

 

40代の妊娠、出産、子育てのいいところ

20~30代に比べて、妊娠に伴う合併症が起こる可能性は高くなりますが、生活習慣病の起こりやすい年代に妊娠することは、食事や運動、睡眠など健康的な生活習慣を見直すきっかけとなっています。


いろいろな人生経験を積み重ねた状況で、妊娠や出産、子育てを新たな経験として受け入れることで楽しむことができ、精神的に余裕をもって過ごせるという母親もいます。
出産年齢の高齢化に伴い、両親が高齢であるために頼れない、従来の風習である里帰りができないというケースが増えていますが、近年では自治体や病院、助産院を中心に、宿泊型や日帰り型で行う産後ケアが普及しつつあります。職種によって多少異なりますが、若い世代よりも経済的に安定しているため、身近に料金を支払って利用できるサービスの選択肢があることは心強いことでしょう。

 

 

まとめ

40代の妊娠や出産の数は増えていますが、妊娠率が上昇し、流産率が低下するわけではありません。妊娠や出産は、年代に関係なく異常は起こり得えますし、個人差もあります。高齢出産だから必ず困難をきたすというわけではありませんが、年齢が上がれば上がるほど、リスクは増すということは認識する必要があると思います。

 

 

参考:

※1 厚生労働省平成30年 我が国の人口動態 平成28年までの動向 <https://www.mhlw.go.jp/english/database/db-hw/dl/81-1a2en.pdf>

※2 日本家族計画協会 <http://www.jfpa.or.jp/sp/paper/main/000559.html>

 

 

 

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