【助産師監修】不妊治療とは?不妊治療検査、治療の流れや内容、費用について

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師太田 篤之 先生
産婦人科 | おおたレディースクリニック院長

順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。

不妊治療イメージ

 

妊娠を望んでいるにもかかわらず、一定期間以上妊娠しないことを「不妊」と言います。通常、子どもを考えても妊娠しない期間が1年以上経っていると不妊症と診断されます。ここでは、不妊治療の流れや費用などについてご紹介します。

 

 

不妊の要因

不妊の要因はひとつでなく複数の場合もあり、主な要因は下記のようなものがあります。
 
■女性
・卵巣機能不全による月経障害や排卵障害

・卵管が狭くなっていたり、くっついている

・子宮筋腫や子宮の奇形、子宮内膜症、内分泌ホルモンの異常

などが挙げられます。
 
■男性
・精子の数が少ない「乏精子症」

・精液中に精子がない「無精子症」

・精子の運動能力が低い「精子無力症」

・精子の通り道である精路が閉鎖している

・勃起不全や射精障害などで正常な性交ができない

・内分泌ホルモンの異常

などが挙げられます。

 

 

不妊検査のタイミング

不妊治療では、不妊の原因を探るために月経周期のそれぞれのタイミングで次のような検査をおこないます。

 

・卵胞期
月経開始3日目ごろから血液検査と尿検査をおこない、性腺刺激ホルモン、エストラジオール、プロラクチンの数値を確認します。また、超音波検査で前胞状卵胞の数の計測、造影検査で卵管がふさがっていないか確認します。
 
・排卵期
超音波検査で卵胞の確認と子宮内膜の厚さを測定します。また、子宮から粘液を採取して、卵巣の機能や排卵の時期を調べます。血液検査では、黄体形成ホルモン、エストラジオール、プロゲステロンの数値を確認します。性交後には、頸管粘液の中に精子が進入できるかどうかを検査するフーナーテストをおこないます。
 
・黄体期
排卵の確認と子宮内膜の厚さを調べるために超音波検査をおこないます。また、血液検査でプロゲステロンの数値を確認します。
 
このほか、内診や超音波などで腟や子宮の状態を診察します。また必要に応じて子宮頸がんやクラミジア、甲状腺機能の検査をおこなうことがあります。症状や本人の希望に応じて必要と考えられる検査が異なりますので、まずは相談することをおすすめします。
 
男性の場合は、マスターベーションで採取した精液中に含まれる精子を調べます。精子の総数だけではなく、運動している精子の数も重要です。精液中の精子が極端に少ない、あるいはまったく存在しない場合には、精索静脈瘤や先天性疾患などの可能性がありますので、考えられる原因にあわせて超音波検査や血液検査などをおこないます。また、性交に支障をきたしていないかを調べるために、精巣のサイズや厚さなどを診察します。より詳しい状況を知るために、精巣や射精管の状態をMRIで調べる場合もあります。

 

 

不妊治療の流れ・治療の内容

不妊治療の流れは不妊の原因に合わせた治療から始め、そこから1つずつステップアップしていくことが基本です。まずはタイミング法という方法で妊娠を試みます。次にタイミング法に併せて排卵誘発法をおこないます。妊娠が得られない場合は人工授精をおこなう……というように、ステップアップしていきます。

 

・タイミング法

超音波検査や尿検査などで予測した排卵日に合わせて性交をし、妊娠を目指すのがタイミング法です。
 

排卵予定日の数日前に経腟超音波検査をおこない、卵巣にある卵胞のサイズを測定します。卵胞が直径20mm程度になると排卵が起こるとされているので、現在のサイズから排卵日を予測します。また、尿検査でエストロゲンを調べることで、排卵日をより高い精度で予測することもできます。卵管内の卵子の寿命はおよそ8~12時間までとされています。


・排卵誘発法
薬で卵巣を刺激して排卵を誘発させる方法です。排卵障害がなければまずタイミング法で妊娠を試みますが、妊娠が成立しなかった場合にはステップアップして排卵誘発法をおこなうことになります。

 

排卵していない場合にはタイミング法では妊娠成立が期待できないため、排卵誘発法が選択されます。(※人工授精や体外受精の際に排卵誘発法をおこなう場合もあります)
排卵誘発剤には、内服と注射の2種類があります。
 
・人工授精

子宮内に精子を注入して受精する場に到達する精子の数を多くすることで妊娠の確率を上げる方法です。


精液に含まれる運動している精子を排卵2日前~排卵日のいずれかのタイミングで子宮の中に注入します。排卵日を予測しておこないますが、妊娠率を上げるために排卵誘発法と併用する場合があります。
 
・体外受精
タイミング法や人工授精で妊娠を得られない場合におこないます。

 

排卵誘発法で卵巣を刺激してから卵巣内の卵胞から卵子を採取します。そして、卵子と精子を体外で受精させて、順調に発育した良好な胚(はい)を子宮に移植します。
 
・顕微授精
体外受精をおこなっても受精しなかった場合や、精子の濃度や運動率が低く受精できないと判断された場合には、顕微授精をおこないます。

 

顕微鏡で観察して、細いガラス針で精子を吸引し、それを卵子に刺して注入します。体外受精と同様に、受精卵を培養したあとに胚移植をおこないます。

 

 

不妊治療にかかる費用

不妊治療の費用はクリニックによって異なります。検査のなかには保険適応ではないものもあり、不妊治療のなかでも人工授精や体外受精などをおこなう場合には、総額100万円以上もの費用がかかることもあります。
 
精子の採取や採卵、各検査など1つずつに料金が細かく設定される場合もあるので、予算を医師に伝えて必要な検査を提案してもらうとよいでしょう。また、自治体によっては不妊治療の費用の一部を助成してもらえる場合がありますので、確認してみると良いでしょう。

 

 

まとめ

不妊治療は、最初から人工授精や体外受精をおこなう訳ではなく、まずはタイミング法から始めて1つずつステップアップしていきます。必要と考えられる場合は、男性ともに検査を受け、一緒に不妊治療を始めることが大切です。
 

 

参考:

・病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科(メディックメディア)

一般社団法人日本生殖医学会|一般のみなさまへ <http://www.jsrm.or.jp/public/>

 

 

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◆不妊治療に関するQ&A

 

 

◆不妊治療の体験談(妊娠に至った例)

1人目は23歳のときに自然妊娠。離乳して生理が再開し、夫が7つ年上で実家の仕事をゆくゆくは継ぐこともあり、まだ時間と体力のあるうちに次を、と考えました。

 

基礎体温や排卵検査薬などを使いトライしましたが、なかなか授からず。そうこうしているうちに2年が過ぎたので自力では難しいと思い、産婦人科を受診。いろいろ検査した結果、高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群が判明。その他、卵管造影検査をしてみると両卵管狭窄、と次々と異常が! 自覚症状がなかったのでここまでだとは……。自力じゃとても妊娠なんて無理な状態でした。

 

その後、ホルモンを整える薬と卵管を通す処置、基礎体温と毎月の卵巣の超音波検査、フーナーテスト、タイミング指示で1年程経過したころ無事2人目を授かることができました。

 

高校生の頃から母乳のような分泌物が出たり、最初の妊娠で初期流産を経験していたので、もしかしたらホルモン値異常などもともと要因があったのかもしれません。現在3人目を妊娠中ですが、今回も生理不順でまた治療に行かないといけないかなぁ~と思っていたところ、自然妊娠できました。

cowboyママ さん

処女で結婚、未完成婚だった私たち夫婦は人工授精を選択しました。しかし共働きで単身赴任だったため、排卵日に合わせて毎月トライというのが困難に。そんな時思いついたのがセルフ人工授精(シリンジ法)です。病院の先生に相談してさっそくチャレンジ。すると、2回目で妊娠しました。奇跡だと思いました。

 

sexすらできなかった私が本当に出産できるのか、正直怖かったけど、出産は案外スルッと終わり、振り返ってみると単身赴任で過ごしたつわりの時期が一番つらかったかもしれません。

bluetree さん

結婚する前から生理不順などあり、夫婦で検査したところ異常はなし。でもなかなか妊娠しなかったためタイミングを3年おこないました。当時まだ不妊治療専門病院が少なかったので、注射のため会社帰りに2時間かけて毎日通院していました。帰省しても会社でも妊娠しないことについて言われ、病院でもいろいろあり、軽いうつのような症状が出て結局何もかもを途中で放り投げてしまいました。

 

それから10年後に、近所に高額ですが評判のいい専門病院があることを知り通院することに。高齢なこともあり顕微授精をすすめられ、採卵4回、5回目の移植で39歳で初妊娠、40歳で出産しました。治療期間は1年半、1回の治療で数十万のお金が本当に羽が生えたみたいにとんでいき……正直怖かったです。

6U さん

2012年、27歳で結婚、半年後から子どもが欲しいと思いながら、数カ月できなかったところで個人病院に通い、タイミングをとりながら卵管造影などをしました。問題はないのに妊娠に至らず、数カ月で不妊専門の大学病院へ転院。その後、すぐに人工受精を開始、4回までを目標におこないましたが、2回目のあと、私が海外に出ており中断、帰国後また開始して計4回までおこないました。

 

それでもうまくいかなかったため、体外受精に移行しようと、体外受精が開始できるタイミングとなる2カ月後から休職することを決め、それまでの間の気休めにおこなった5回目の人工受精でまさかの妊娠。私も夫もなんで!?って感じでした。

 

今思うと、やはり仕事によるストレスから解放されたことと、体外受精で頑張ればいいから……と思ってのんびりしていたことがよかったのかと思っています。何をすれば結果が出るという保証のない不妊治療、それでもやはり心のゆとりをもつことがとても大事だったんだと今は思います。まだ安定期にも入れていない私ですが、今はこの命を大事に信じていきたいです。

kosuke  さん

結婚後1年、2人共20代で普通に夫婦生活を持っていたのになかなか妊娠せず、念の為夫婦で検査を受けることに。結果、私には特に問題なく、そこで夫の不妊、無精子症が判明しました。そして、自然妊娠は無理なので、妊娠を希望するなら、まず夫の精巣を切り開いてわずかにいるかもしれない精子を探して採取するというMD-TESSEという手術を受けるしか方法がないと言われました。

 

予期せぬ突然の申告で頭の中は真っ白でした。それからMD-TESSEの手術日が4カ月後に決まりましたが、その間は高額な医療費の捻出のことや、もし精子が採取できなかった場合、今後どうしていくかなど何度となく話し合いを重ね、責任を感じた夫は離婚の話も切り出してきたり、本当にどんよりした日々を送りました。

 

そしてとうとう迎えた手術日、待合室で待っていると、看護師さんが「元気な精子が見つかりましたよ!」と声をかけてくださり、涙が一気に溢れました。それと同時に、絶対に私が彼をパパにしてあげなきゃ、と強く思いました。

 

今度は体外受精のため着々と私の採卵手術の準備が始まり、つらい注射&薬の末、無事採卵手術を終え、良好胚も4つできました。ホルモン補充周期後、そのうちのひとつを移植し、1度目で妊娠しました。

 

夫の無精子症判明から妊娠まで7カ月、先生も看護師さんも本当に奇跡ですねと一緒に喜んでくださいました。良い病院や家族・周りの人たちの理解やサポートなしではここまで順調にこれなかったと思います。そして何より、苦難を乗り越え私たちのところに来てくれた赤ちゃんにも感謝でした。今妊娠9カ月、早ければ来月にはベイビーに会える予定です。

れれ さん

36歳で結婚し、夫の仕事の関係で子作りはしませんでした。そして38歳のとき、がんがみつかり手術をしました。運良くステージ1で切除のみでした。先生には1年は子どもは作らないでね、ということでした。

 

39歳になり、夫婦で検査をしましたが、どこも問題はありませんでした。人工授精を4回してみて駄目だったので、体外受精に移りました。人工授精のときも、少し注射や薬はありましたが、下半身がパンパンにむくむことも多かったので、たまたま友人に聞いた投薬の少ない病院を教えてもらい、通い始めました。毎月採卵でき、通院も少なくて楽でしたし、薬も少なくて私にとって、気楽にできました。

 

結局、人工授精を半年、体外受精を1年半おこないました。私の場合、採卵で取れた卵子は、2回に1回は、中身がありませんでした。顕微授精をおこない、受精卵を戻すたびに着床したのですが、その先が続かず初期流産ばかりでした。3度初期流産し、4回目に妊娠、43歳で出産となりました。やはり、40歳ごろから、体の変化も感じていましたし、卵も劣化しているのだなぁとつくづく感じました。

 

私が妊娠するためにしてみたことは、筋トレに通い体を鍛えてみました。軽いジョギングも週3回ぐらいしました。また、鍼灸が好きでしたので週2回ぐらい全身にしてもらい、リラックスできました。食事はバランスのいい食事に、何にでも生姜をすって食事にかけて食べました。そして、同じく不妊治療をしている友人と話をしたりしてストレスなく日々暮らしてみました。

 

知り合いから聞いた子宝の神社に夫と行ってみました。全国からきている方も多いようでびっくりしました。神頼みもしてみてもいいと思い、いろいろとしてみました。お参りのあとの初めての体外受精で、出産に繋がるものとなり、神社のご利益もあったのかと有り難く思っています。

 

紅緒 さん

子どもが欲しいと思いながらも、1年経っても妊娠しなかったので産婦人科を受診しました。卵管造影検査をすることになり、痛いと聞いていましたが覚悟を決めて検査しました。実際のところ検査はやはりとても痛く、私が痛くて体をねじったせいか造影がうまくいかず再度することに。でもこの痛みはもう嫌で、結局検査をあきらめました。もう子どもはできなくてもいいや……と諦めていたら、数カ月後妊娠していました。どうやら造影検査時に卵管にアルカリ水を注入するらしく、妊娠しやすい状態になっていたようで、思い切って検査を受けてよかったなと思いました。

なちゅらる さん

体力がある20代に子どもを産みたかったのですが、基礎体温をつけてみても排卵検査薬を使ってみても授かることができず婦人科を受診しました。私も夫も何の問題もありませんでしたが、卵管造影検査後のタイミング指導で妊娠に至りました。詰まりが取れて妊娠しやすくなると聞いていたときは嘘かと思いましたが、無事妊娠に至りました。病院で検査すると原因があるのかや実際に排卵しているかどうかとかがわかるので行ってよかったと思っています。

コリラックマ♪ さん

結婚して3年目から基礎体温をつけ出しましたが、なかなか子宝に恵まれず、産婦人科を受診しました。夫婦共に特に問題はないとのことで、タイミング療法の指導のもと、すぐに妊娠できたのには驚きました。自分でココ!と決めてた日はどうも違っていたみたいです……。

ゆうこ さん

5年前、結婚して3年ほどタイミングで頑張りましたがなかなか恵まれず、産婦人科を受診。検査の結果、夫の精子の運動率、数にやや問題があることが判明。なのですぐに人工授精に踏み切ると、1回目で妊娠にいたりました。治療自体より自分たちで頑張っていた何年間のほうが大変でした。言い合いになったり。やはり専門の機関で診てもらうのが一番いいなと感じます。現在息子は4歳。毎日元気に幼稚園に通っています。苦しんだ何年間かがあったから命の大切さ、子どもを授かることの奇跡をありがたく思っています。

はっちん さん

結婚して3年半、基礎体温を1年間付けましたが妊娠せず……。33歳となり、早く子どもが欲しかったので意を決して産婦人科に行きました。女性ホルモンが足りないということでホルモン剤を飲み始めて10カ月、排卵日を医師から教えてもらい毎月頑張った結果、無事に双子を妊娠、出産しました。

サッキー さん

 

その他の体験談

 

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