遊ぶ力を伸ばすおもちゃと奪うおもちゃ【保育士おとーちゃんコラム6】

2019/05/19 18:00
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子育てアドバイザーとして、全国のママや保育士に絶大な支持を受ける保育士おとーちゃん・須賀義一氏の、子育てがラクになる秘訣やヒントがつまったコラム連載第6回目。今回は、おもちゃの与え方を教えていただきました。おもちゃには「遊ぶチカラ」を伸ばすおもちゃと、奪うおもちゃがあるようです。
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遊ぶ赤ちゃんのイメージ

 

子どもにどんなおもちゃを与えればいいですかとよく相談されます。特に低年齢の子ほど悩んでしまうようです。世の中にはたくさんのおもちゃがあります。木のおもちゃからキャラクター遊具、電池で動いたり、音や光のでるものなどなど。今回はおもちゃを選ぶときのポイントや遊びの原点についてお伝えします。

 

おもちゃが「遊ぶチカラ」を伸ばすことも奪うこともある

保育士は、子どもには「遊ぶチカラ」というものがあると考えます。そしてこのチカラは、環境や配慮によって大きくもなれば、小さくもなると理解しています。子どもの個性によって、興味を示すおもちゃや遊びはさまざまですが、低年齢のときほどこの遊ぶチカラを奪わずに伸ばしていってあげたいものです。

 

そうなんです。実は与えるおもちゃによってはその遊ぶチカラを奪ってしまうこともあるのです。ここに気をつけることで、子どもの将来的な姿が変わってくるかもしれません。

 

おもちゃを選ぶときのポイント

おもちゃを選ぶときのポイントになるのは、刺激の強さです。濃い味に慣れたら、薄味のものをあまりおいしいと感じられなくなりますよね。おもちゃもそれと同じで、小さい頃から刺激の強いものに慣れてしまうと、あまり刺激を発しないたぐいのおもちゃを楽しめなくなることがあります。

 

そして、刺激というのは慣れによって、だんだんとおもしろさを感じられなくなってくるので、それまで遊んでいたものもだんだんそこに楽しみが見いだせなくなってしまいます。

 

つまり、絶えず刺激を欲するように、いつのまにか子どもがなっていってしまいかねません。

 

いま、赤ちゃん向けや乳幼児向けでも、電気的に音や光を発するおもちゃが普通にたくさん売られています。一見、これらは子どもの興味をひきやすいので、よく遊ぶことから一般にはよいおもちゃなのだと思われることもあるようです。しかし、これらは短期的には興味をひいても、遊ぶチカラという観点からはむしろそれを奪ってしまいかねないものともなり得ます。絶えず、より強い目新しい刺激がないと遊ばなくなってしまうことがあるからです。

 

赤ちゃんにあげる離乳食でも最初は薄味ですよね。おもちゃも同様に、シンプルなものから提供していく方がよいと考えられます。

 

赤ちゃんの遊びには意味がある!?発達との関係

遊びには実は大きな意味があります。それは個々の子どもの発達段階と呼応しているということです。子どもは発達が進み、それまでできないことができるようになると、そこにおもしろさを感じます。

 

例えば、それまで歩けなかった子が歩けるようになると、歩くこと自体が楽しくなります。楽しいので、それを盛んにします。すると、その獲得された能力は経験の機会が多くなることで、より発達が進むようになります。そのとき、その発達段階に合ったおもちゃがあると、その獲得された機能を使うことはさらに楽しくなります。すると、楽しみながらより発達することになりますね。

 

このメカニズムが実は遊びの原点です。

 

発達段階に合ったおもちゃとは

・モノを握れるようになった子→ガラガラ、にぎにぎなど

ガラガラをつかんでいるイメージ

 

・歩けるようになった子→引き車、手押し車など

手押し車を押す子どものイメージ

 

・指先でモノをつまめるようになった子→ストロー落とし、ペグ(棒)さしなど

ペグ(棒)さしのイメージ

 

・イメージを持って見立てることができるようになった子→ミニカー、お人形、ごっこあそびなど

ごっこ遊びのイメージ

 

・イメージを持って構成することができるようになった子→積み木、ブロックなど

積み木で遊ぶイメージ

 


子どもの困る行動、実は発達のサインかも

しばしば、こんな子育ての悩みを聴きます。

 

「食事のとき、テーブルから食器や食べ物を落とそうとします。止めても面白がるばかりでやめてくれません」(1歳)

 

「なんでもモノを投げようとします。何度注意してもやめてくれなくて困っています」(1~2歳)

 

「固いモノでいろんなところを叩いてばかりで困ります」(2歳)

 

こういった子どもの姿に直面すると、大人はそこを注意したり、止めたりすることでなんとかやめさせようとするケースが多いです。しかし、それで解決したということにはなかなかならずに、怒ってばかりになってしまったり、何度も注意することでイライラしたり、へとへとになってしまったりします。

 

実は、これらは発達段階が進んだことによる自然な姿かもしれません。

 

モノをつかんだり、押して動かすことができるようになった子は、それをすることで落ちるということに楽しみを見いだします。その対象が食器や食べ物ということになるので、大人としては困惑してしまいますが、遊びとしてその発達の機能、楽しさを十分に満たすことができれば、何度も注意するという場面を回避できるかもしれません。

 

どうやって満たすの?どんな遊びを取り入れたらいい?

例えば、丸や四角、三角の穴が空いている箱に対応する積み木を入れて遊ぶ「型落とし」というおもちゃがあります。

型落としのおもちゃで遊ぶイメージ

 

もっとシンプルに、空いたミルク缶にボールや積み木を落とすといったものでもいいでしょう。この段階の子に、こういったおもちゃを提供すると、楽しみながらその獲得した能力を発揮することができ、同時にその能力を存分に使いたいという欲求も満たされます。そこでその気持ちが満たされれば、多少なりとも食事のときにわざと食器を落とすといったようなことを減らせるかもしれません。

 

モノを投げたくなるという発達段階も同様です。お手玉やボール、またそれらを投げて遊べる場所などを用意してみます。遊びとしてその能力、欲求を満たしてあげることで、その獲得されたチカラを使って楽しく遊べ、同時にその能力をより伸ばすことができます。

 

意外と知られていませんが、2歳前後には叩くという能力が獲得されて、それが楽しくなってしまう時期があります。このとき、叩くおもちゃがあると実によく遊びます。しかし、そういったモノがないと、周りにあるもので手当たりしだいに叩く姿がでてしまうことになるので、大人としては困ってしまうということが起こりやすいです。

 

これら例で挙げたものに限らず、子どもの遊びというのは、実はこのようにほぼ全てが発達に即して発展していきます。

 

室内での遊びにしても、戸外での遊びにしても同様です。それまで「できなかったことができるようになった」というのは、子どもにとって新鮮な経験であり、楽しみとなります。こういうことが子ども自身の成長の喜びというものかと思います。

 

まとめ

刺激により子どもをおもしろがらせてしまうおもちゃというのは、こうした遊びの原点とはまた別の所にあるものです。しかし、いまはそうした刺激を発するものがおもちゃに限らずあふれています。それらが絶対に良くないというわけではありませんが、そればかりになってしまうのも考え物です。また、なかなかそれらを避けて生活することはできないでしょう。

 

だからこそ小さいときに与えるものを、大人がよく考えていくことは大事なことかと思います。

 

著者

保育士 須賀義一

子育てアドバイザー・保育士


子育てアドバイザー/保育士。大学時代はドイツ哲学を専攻。人間に携わる仕事を志し保育士になる。子育てのポイントや育児相談。保育士としての知識、主夫として子育てした経験を綴ったブログ『保育士おとーちゃんの子育て日記』が人気を博す。著書に『保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」』『保育士おとーちゃんの「心がラクになる子育て」』(PHP研究所)がある。現在は子育て講演や座談会、保育研修・監修、コラム執筆などをしている。個別の育児相談や講演依頼はブログ内リンク先のホームページより受付。


ブログ:「保育士おとーちゃんの子育て日記」



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