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子育てに正解があるとしたら...【保育士おとーちゃんコラム7】

子育てアドバイザーとして、全国のママや保育士に絶大な支持を受ける保育士おとーちゃん・須賀義一氏の、子育てがラクになる秘訣やヒントがつまったコラム連載第7回目。子育てにはプレッシャーや不安がつきものですよね。今回はそんな子育てを少しでもラクにするために、大切な心構えを教えて頂きました。子育てに正解があるとしたらどんなことなのでしょうか?

親子のイメージ

 

ベビーカレンダーの読者の方には、出産前の方や子どもが生まれて間もない方も多いことでしょう。そこでこれからの子育てをムリのないものにするために知っておいて欲しいことがあります。それは、子育てにまつわる話の中には、「こうすべきだ」「こうしなければならない」「こうしないと良くない」といった自分にとってプレッシャーになるものが少なくないことです。今回は子育てに起こりがちな、子育ての正解探し、そしてその対処法についてお話しします。

 

子育てのよくあるプレッシャー、悩み

お姑さんとママと赤ちゃんのイメージ

 

先に述べたように、子育てにまつわる話の中には、「こうすべきだ」「こうしなければならない」「こうしないと良くない」といった自分にとってプレッシャーになるものが少なくありません。

 

例えば、こんなケースがあります。自身の親や義理の親から、

 

「子どもを母乳で育てなければよくない。あなたも子どものためを思うのならばちゃんと母乳で育てなさい」

 

このように言われ、それがプレッシャーになり子育てが気持ちよくおくれなくなってしまうといった悩みがしばしばあります。

 

子どもを育てるときは、なにかと不安になってしまうもの。ましてや、それが第一子であったり、赤ちゃんの子育て中だったりすると余計にそれはつのります。また、子育て経験の少ない人からすれば、自身の親や義理の親は子育ての先輩でもあります。そう思ってしまうと、それが難しい要求であってもそれを努力することが正しいのだという心理になってしまいます。

 

そのアドバイスしてくれる人たちにしても、ほとんどの人が良かれと思って言っているので、それはちょっと自分には厳しいと思っても、なかなかむげに突っぱねることもしにくいですね。

 

子育てに正解はないというのは本当?!

よく、「子育てに正解はない」と言われます。

 

まったくその通りなのですが、子どものことを思うとついつい「子育ての正解を謳うもの」に気持ちがとらわれてしまいます。

 

もし、僕が子育ての正解めいたことをひとつだけ挙げるとしたら、それは「子育てする人にムリがないこと」だと思います。いくら子どものためになるという触れ込みであっても、それをする人に大きな負担がかかることであったり、自身の人生設計や自己実現をあきらめなければできないようなことであれば、それはちょっと考え物です。日本の子育てには、子育てを自己犠牲、とくに母親の自己犠牲として要求してくる傾向が強くあります。

 

子どもは身近な大人の心のあり方から、日々大きな影響を受けて成長しています。ですから、大人がしんどい思いをして頑張る「良い(とされる)子育て」よりも、大人も子どももムリのないボチボチの子育てを意識しておくことが大事ではないかと思います。

 

「〇〇させねばならない」と考えるのは要注意

前回のこのコラムでは、子どもの遊びについて述べました。子どもの遊びは、発達段階に即して形成されていくので、ただ刺激に振り回されてしまうものよりも、その発達段階に適したものがよいというお話しでした。

 

こういった子育てのことを伝えると、人によっては「それは確かにそうだから、それをさせねばならない」という気持ちになって、そこを子どもに施すことに一生懸命になりすぎてしまう人がいます。

 

例えば、木の積み木で遊ぶことが大切ですよという話をしたとすると、なにがなんでも子どもに積み木で遊ばせなければという気持ちになってしまう人がいます。その子が、積み木遊びを楽しめる子であればさして問題はないですが、子どもにはもちろん個性があるのでなかには積み木を少しも好まないという子もいるものです。

 

こうしたとき、親の気持ちとしては「積み木遊びをさせなければ」という気持ちから、その子に余裕のない関わりになってしまったり、我が子がそれをしないことから不安になってしまったりします。普通ならなんでもないことでも、育児疲れのためになんだか脅迫観念的になってしまったりということも起こり得ます。

 

こうした子育てする人に特有の気持ちが、「正解探し」になってしまう気持ちです。

 

これは、積み木遊びといったことだけでなく、さまざまな成長の姿・到達点で出てきます。周囲の子と我が子を見比べて、我が子の成長が遅れているように感じられることもあります。

 

この「正解探し」の心理は、子育てする人の不安感から強まります。親ですから、子どものことで悩んでしまうのは当然のこと。それが悪いわけではありません。しかし、過剰になってしまうと、そこから子どもも不安になりさまざまな大変さを生んでしまったり、子育てする大人自身もよりしんどい方へ行ってしまいます。

 

子育てが不安なとき・正解探しになってしまうときの対処法

こういうときは、誰かとお話することが安定化の鍵になるようです。子育ての悩みを話せる人がいるのであれば、それを聴いてもらうということでもいいですが、別に必ずしも子育ての話でなくとも構いません。人の心は、誰かと屈託のない話をするだけでも、安定する方向に向かうようにできているもののようです。

 

ただ、そうした他者との関係も少なくなりがちなのも、現代の子育ての特徴です。SNSなどで、自身の子育ての悩みやその時々の思いを表明するツールとして使い、それで乗り切っているという方がいるのも、また現代的な子育てのあり方だと感じます。

 

おすすめは「ふーん、できたらやってみるわ」のスタンス!

赤ちゃんのイメージ

 

子どもの成長の姿には、個性があり大変大きな幅を持っています。同時に、子どもには「成長の力」があります。多少ゆっくりであったとしても、子ども自身が時間の経過や、さまざまな経験を経て成長していきます。子どもが成長するのに、必ずしも「私が○○しなければならない」ということはないのです。

 

極端なことを言えば、あなたが寝ていたとしても子どもは育ちます。子どもには自分で育っていく成長の力があるからです。しかし、世の人々はしばしば「あなたが○○しないと、子どものために良くありませんよ」という文脈で語りかけてきます。それが純粋に善意でなされているだけのことも少なくないのですが、必ずしもそれが良いアドバイスとは限りません。

 

子育てに不安感が強かったり、子育てに一生懸命だったりする人ほど、こうしたことを言われやすいですし、また真に受けてしまいがちです。

 

子育てのことはなんでも素直に「はい、頑張ります!」と受け取ってしまうのではなく、「ふーん、そうなのね。じゃあ、できそうだったらやってみるわ」くらいの気持ちでいるとバランスがとれるのではないかと思います。

 

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    この記事の著者
    著者プロファイル

    保育士須賀義一
    子育てアドバイザー・保育士

    子育てアドバイザー/保育士。大学時代はドイツ哲学を専攻。人間に携わる仕事を志し保育士になる。子育てのポイントや育児相談。保育士としての知識、主夫として子育てした経験を綴ったブログ『保育士おとーちゃんの子育て日記』が人気を博す。著書に『保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」』『保育士おとーちゃんの「心がラクになる子育て」』(PHP研究所)がある。現在は子育て講演や座談会、保育研修・監修、コラム執筆などをしている。個別の育児相談や講演依頼はブログ内リンク先のホームページより受付。

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