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【養親学級レポート】-子どもを育てられないママと授からなかった夫婦の出会い<特別養子縁組>

“特別養子縁組”…赤ちゃんを育てることができないママと、子どもを授からなかった夫婦との奇跡の出会いの制度に関してお伝えします。

 

“特別養子縁組”という制度をみなさんはご存知ですか?昭和62年に成立した、法的に実親子同様になる養子縁組制度です。

 

事情があって育てられないママと、子どもが欲しくても授かれないママ(夫婦)をつなぐ画期的な制度です。※子どもは6歳まで、養親の年齢は26歳以上という条件がありますが、2019年に法改正が為され子どもの年齢が15歳まで引き上げられます。

 

私も取材するまで詳しくわかっていなかったことがわかっていくにつれて、ぜひたくさんの方に知っていただきたいと強く思い、この制度や取り組みについて少しご紹介します。

 

育て親にあたる養親(ようしん)研修の場を覗いてみましょう

東京の代々木駅前の弊社イベントスペースにて、2019年6月25日(火)の朝10時前に、6組の夫婦が集まり、これから赤ちゃんを迎える夫婦のための養親教室がおこなわれました。その一部をご紹介いたします。

 

養親学級

▲最初は緊張気味の参加者

 

スタートの10時には、目を輝かせている6組の夫婦があつまり、司会の一般社団法人アクロスジャパンの山岸さんの「おはようございます!」という声で教室がスタートしました。

 

アクロスジャパンは厚生労働省および東京都から養子縁組民間あっせん機関助成事業者として認定されている許可団体です。 アクロスジャパンの特徴は、産婦人科や弁護士などとの強い協働により、専門家が制度や仕組みの説明をおこない、丁寧にサポート、フォローしている点とのことで、今回の講師も現役の助産師の方が2名、認定カウンセラー1名、代表の小川多鶴さんからの構成で、大変楽しく、実践的なお話でした。

 

養親学級

▲代表の小川多鶴さんは、2006年よりアメリカ、カリフォルニア州に在するハーグ認定団体で、養子縁組コーディーネーター、理事を経て、2009年に帰国、アクロスジャパンを設立。ソーシャルワーカー、オンラインセラピストでもあり、自身も養子縁組にて息子を迎えています。

 

養親学級

 

養親学級

 

養親学級

 

赤ちゃんの育児のコツや特徴、家屋の準備、抱っこの仕方、沐浴、スリングの使い方などの実践を学んでいきました。実際に妊娠、出産される夫婦だと妊娠期間の8カ月間に徐々に準備をしていくことを、短期間で身につけるために真剣な眼差しで話を聞いていました。

 

養親学級

▲現役助産師さんの声に聞き入る参加者

 

講師の山岸さんからは、「とにかく赤ちゃんとの時間を楽しんでください。基本的なお世話をし、夜泣きへの対応もし、赤ちゃんとの相互交流もしながら、ご夫婦が楽しみ、親になっていくことが一番大切なことです。 実際には、養親で赤ちゃんを受け入れたママにも、子育てがしんどくなったり、産後うつが起こることだってあります。産後うつって、出産におけるホルモンの影響だけではないのですよ。迷いなくヘルプサインを出しながら、心から子育てを楽しんでくださいね。」というメッセージが印象的でした。普段から助産師として活動する経験を、うまく、わかりやすく、そして優しく参加者の方に説明していました。参加者がお帰りの際には、みなさん自信がついた笑顔に変わっていたように見えました。

 

養親になるための「養子縁組」には2通りの方法があるんです

さて、今回の養親学級は、「特別養子縁組」といって、法律にのっとって手続きをする方法です。赤ちゃんが生まれた後、赤ちゃんは一旦、実親さんの戸籍謄本に載りますが、家庭裁判所にて家事審判が確定した後、養親夫婦の戸籍に移管されます。この時点で養親夫婦にとって、赤ちゃんは実親子とまったく同じ法制度に守られ養育されていき、同時に実親と赤ちゃんの親子関係が断絶されます。 一方、もう一つは「普通養子縁組」です。赤ちゃんは養親との間に法律上の親子関係は成立しますが、実親との親子関係が解消されるわけではなく、普通養子縁組によって養子となった赤ちゃんは、2組の親を持つことになります。婿養子や、相続対策のための孫を養子にするケースがこれにあたります。

 

▲特別養子縁組の件数は増えている

 

特別養子縁組は、近年は年間500件を超えてきており、平成30年(2018年)の法律改正により、正式に民間あっせん機関による紹介が実施されましたので、今後はさらに増加傾向をたどるでしょう。 
その法律により認定された民間あっせん機関は、2019年現在、日本全国に19団体しかありません。

 

1 北海道 医療社団法人弘和会 森産科婦人科病院 
2 茨城県 特定非営利活動法人 NPO Babyぽけっと 
3 埼玉県 医療法人きずな会 さめじまボンディングクリニック 
4 埼玉県 一般社団法人 命をつなぐゆりかご 
5 東京都 認定特定非営利活動法人 環の会 
6 東京都 一般社団法人 アクロスジャパン 
7 東京都 社会福祉法人 日本国際社会事業団 
8 東京都 特定非営利活動法人 フローレンス 
9 東京都 一般社団法人 ベアホープ 
10 滋賀県 医療法人青葉会 神野レディスクリニック 
11 奈良県 特定非営利活動法人 みぎわ 
12 和歌山県 特定非営利活動法人 ストークサポート 
13 山口県 医療法人社団諍友会 田中病院 
14 札幌市 医療法人明日葉会 札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル 
15 神戸市 公益社団法人 家庭養護促進協会神戸事務所 
16 岡山市 一般社団法人 岡山県ベビー救済協会 
17 広島市 医療法人 河野産婦人科クリニック 
18 熊本市 医療法人聖粒会 慈恵病院 
19 熊本市 医療法人社団愛育会 福田病院 地域連携室 特別養子縁組部門

 

特別養子縁組についての詳細条件等は厚生労働省の「特別養子縁組制度について」をご覧ください。

 

 

不妊治療の先として検討してもらいたい

アクロスジャパンの小川さんより、「やはり赤ちゃんは、家庭という場所で育つことが大変重要だと考えています。養親となる方には、不妊治療を継続するうえでの選択肢の一つとして、ぜひ特別養子縁組という制度についても知っていただき、検討していただくこともおすすめしたいのです。 今は、養親も育休で会社を休めるよう制度改定もされました。特別養子縁組制度をもっともっといろいろな方に知っていただき、特別養子縁組制度を利用した、幸せな家庭を作るきっかけのお手伝いができれば。」とのことでした。

 

一方、赤ちゃんを育てられないママも相談を!

ここのところ虐待のニュースが耐えませんが、様々な理由で赤ちゃんを育てられなくなるママもこの制度については、ぜひ知っておいてもらいたいのです。 特別養子縁組は、何らかの事情があって、どうしても赤ちゃんを育てることができなくなったママにとっても救いの制度なんです。 厚生労働省のポスターをご覧ください。

 

制度の改定や、社会状況の変化により、特別養子縁組という仕組み、制度がどんどん変化してきました。また、それに関わる専門家も増えてきました。今回取材させていただいたアクロスジャパンさんは、妊娠したけどどうしても育てることが難しい妊婦さんや、家庭を必要とする子どもの養親さんとなりたいご夫婦への育成事業に力をいれていらっしゃるようで、養親実習に実際参加し、研修の充実さを見させていただきました。産婦人科さんが妊婦さんにおこなう母親学級の内容と比べても、より具体的で詳しく、実践的だと思いました。小川代表がおっしゃっているように、よりたくさんの幸せな家庭を作れる仕組みをうまく活用していく世の中になっていけばと思います。

ベビーカレンダー記事制作の取り組み
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      養親教室というものがあることを初めて知りました。養子縁組をこれからする方達にも、幸せがたくさんありますように。
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      こういう制度について考えると、心が温かくなりますね。特別養子縁組は、本当に素晴らしい架け橋だと思います。こういうのもっと広まるといいな、って思います☺

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