シングルマザー・シングルファーザーの世帯(以下、ひとり親世帯)は厚生労働省の調査によると2016年時点で約142万世帯いると推計されています。ひとりで子育てと労働をする負担を軽減するためにも、様々な施策がとられています。「子育て・生活支援策」「就業支援策」「養育費確保支援」「経済的支援」の4つの柱がありますが、今回は「経済的支援」についてお伝えします。
全国一律の制度は主に2つ
児童扶養手当
18歳までの子ども※を養育しているひとり親世帯の母、父、祖父母等が一定の所得以下の場合に支給される手当です。対象の子どもが1人の場合、1カ月あたり43,160円~10,180円支給されます。2人目、3人目以降は金額が異なります。平成22年からは父子家庭も対象となり、約94万人がこの手当を受給しています。手当を受けるには、お住まいの市区町村の児童・こどもの福祉担当部署での手続きが必要です。
※正確には、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子ども、障害のある場合は20歳未満
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
ひとり親の経済的自立の助成と生活意欲の助長を図るために、以下の12種類の貸付をおこなっています。
①事業開始資金、②事業継続資金、③修学資金、④技能習得資金、⑤修業資金、⑥就職支度資金、⑦医療介護資金、⑧生活資金、⑨住宅資金、⑩転宅資金、⑪就学支度資金、⑫結婚資金
借り入れできる金額や返済期間は種類のよって異なります。また、保証人が設定できる場合は無利子で借りられます。借り入れをする場合には、お住まいの市区町村の福祉担当部署、または都道府県の福祉事務所でのお手続きが必要です。
新型コロナウイルスに対する対策も確認
新型コロナウイルスに対するひとり親世帯臨時特別給付金もあるので、こちらも確認しておきましょう。
全国一律のひとり親世帯臨時特別給付金
低所得のひとり親世帯について、新型コロナウイルス感染症の影響による子育て負担の増加や収入の減少に対する支援をおこなうための「ひとり親世帯臨時特別給付金」の制度が実施されます。基本給付の対象者は、以下(1)~(3)のいずれかの要件に該当する人で、1世帯5万円、第2子以降1人につき3万円支給されます。なお、(2)(3)に該当する方は市区町村窓口での申請が必要です。
(1)令和2年6月分の児童扶養手当が支給される人、
(2)公的年金等を受けていることにより児童扶養手当の支給を受けていない人、
(3)新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変するなど、収入が児童扶養手当を受給している方と同じ水準となっている方
さらに追加給付もあります。上記(1)(2)に該当する人で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変し、収入が減少した人が対象者で、1世帯5万円が支給されます。7月中旬に案内が送付され、8月中に支給をおこなう予定となっています。7月13日現在の内容ですので、詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。
自治体独自のひとり親世帯臨時特別給付金
すべての自治体でおこなっているわけではありませんが、上記2の国の制度とは別に、ひとり親の支援を独自でおこなっている自治体があります。その中でいくつかをご紹介します。主な自治体は厚木市(1世帯5万円)、横浜市・熊本市・蟹江町(1世帯2万円)、江津市(子ども1人3万円)等がホームページ上で公表しています。これ以外にも実施している自治体や、すでに支給を完了している自治体もあります。お住まいの自治体のホームページや広報紙を確認しましょう。
上記の給付金だけですべての生活費や教育費を賄うことはできませんが、新型コロナウイルスの影響で収入減や支出増になった家計にプラスになる制度です。中には申請が必要なものもありますので、該当になりそうな人はしっかり確認することをおすすめします。