2020年に入り急騰している貴金属の「金」ですが、2020年1月には1グラム5000円代が中心でしたが、8月には7000円代と4割ほど価格が上がっています。最近では、子どもの教育費や老後資金として購入や積立を検討している人も増えているようです。しかし、預貯金や株式とも異なる特長がある「金」ですので、金投資のメリットや注意点等についてお伝えします。
金投資って何?どこでできるの?
金投資は、直接的または間接的に「金」を購入し、必要なタイミングで現金化する投資です。主な方法は以下の3種類です。
【1】金の現物(ゴールドバー、金貨など)
【2】純金積立
【3】金に投資する証券(ETFや投資信託など)
【1】金の現物(ゴールドバー、金貨など)
貴金属の販売店や一部の百貨店、宝飾店などで購入できます。見た目では本物かどうか、純度(金の割合)がどの程度かわからないことも多いので、信用できるお店を選びましょう。また、金貨や宝飾品の場合は、「金」そのものの価格にデザイン料や加工料が上乗せされていますので、「金」そのものを購入したい場合はインゴットやバーなどの地金がいいでしょう。
【2】純金積立
貴金属の販売会社や証券会社で口座を設定し、毎月銀行口座などから設定した金額が差し引かれ、定期的に購入することができます。定期預金や投資信託を毎月積み立てする形に似ています。また、定期積立している場合でも、一括で購入できるケースがほとんどです。
【3】金に投資する証券(ETFや投資信託など)
株式や投資信託を購入するのと同じように、証券会社で一括または積立で購入する方法です。投資対象が会社の株式や債券などではなく、金の相場に連動する形のものです。購入・積立方法は株式や投資信託と同じになります。
金投資のメリット
金投資のメリットは主に2つあります。株式や通貨、債券と比べて、価値が保ちやすいため、安全資産とも呼ばれる「金」は運用や積立初心者に向いていると言われています。
「金」そのものに価値があるので、価値が0にならない
株式に運用する場合は、会社が倒産すれば価値が0になることもありますが、「金」は埋蔵量にも限度があり、「金」そのものに価値があるので、価値が0になりません。そのため、株価が下がったり、社会情勢が不安になったりすると購入する人が増え、価格が上がりやすくなります。2020年に金価格が上昇したのも新型コロナウイルスで経済が不安定になったことが一因と思われます。
「金」の価値は世界共通
「現金」の場合は、発行している国などの信用性がないと価値が下がる場合があります(過去にハイパーインフレで紙幣の価値がほぼ0になった例があります)。しかし、「金」はそのものに価値があるので、どの国でも大きな価格差がなく売買できます。
金投資の注意点
価格が2020年の1月から8月にかけて上昇し、価値が0にならない「金」ですが、注意点もいくつかあります。主に以下の3つです。
利息・配当などはありません
預金の場合は利息、債券の場合は利子、株式の場合は配当が受け取れることがありますが、「金」は置いておくだけでは何も生みだしませんので、定期的に利息や配当などが欲しい場合には金投資は向いていません。「金」で収益を上げるには、安いときに買って高く売ることが必要です。
「金」の価格は上下します
価値は0にはなりませんが、需要と供給で値段が上下します。株価が下がり、安全資産を求める人が多ければ値段が上がり、経済が上向きで株式の人気が高まれば、利息・配当の無い「金」の人気が下がり、値段も下がる可能性があります。また、「金」はドルで取引されているため、ドルと円の為替相場の影響も受けます。
現物は盗難や紛失のリスクがあります
ゴールドバーや金貨、宝飾品等の「金」の現物は、ものとして存在しますので、時計や宝石等の価値のあるものと同様、盗難や紛失のリスクがあります。手元に置いておく必要がなければ、純金積立や金に投資する証券で口座管理したほうが安全性は高いと言えるでしょう。
新型コロナウイルスの影響もあり、安全資産として注目が高まった金投資ですが、注意点で上げた内容も踏まえると、一般的な家計の場合は預貯金が中心で、運用する場合にも利子や配当が受けられる株式や債券、投資信託が最初に考える選択肢と思います。これに金投資をプラスする場合には、ある程度の範囲内(資産や積立額の5%~20%程度を目安に)を上限にするといいでしょう。急な価格上昇やテレビや雑誌の話題に惑わされず、適切な範囲で金投資を検討する機会にしていただければと思います。