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「子どもが欲しい」で頭がいっぱいだった。ハッとされられた夫の言葉とは? #3

不妊治療体験者の声を取材した連載、第3回目となる今回は、妊活2カ月で不妊治療を始め、その4カ月後にタイミング法で授かった女性の物語をお届けします。ケース3、小林夏美さんの(29・仮名)の場合。奇跡の妊娠で医師や看護師も拍手、無事に出産を迎えるまで。

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医師杉山 力一先生
産婦人科 | 杉山産婦人科 理事長

平成10年、北九州セントマザーに国内留学し体外受精の基礎を学び、平成12年に杉山レディスクリニックを開院。平成19年、産婦人科総合施設杉山産婦人科としてリニューアル。現在は杉山産婦人科グループ3院の理事長を務める。また、政府へ不妊治療助成金の増額を求め、菅総理との話し合いをするなど精力的に活動する。監修著書『男の子女の子が欲しい!あかちゃんの産み分けがわかる本』(主婦の友社)など多数。
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「子どもが欲しい」で頭がいっぱいだった。ハッとされられた夫の言葉とは? #3

 

不妊治療体験者の声を取材した連載、第3回目となる今回は、妊活2カ月で不妊治療を始め、その4カ月後にタイミング法で授かった女性の物語をお届けします。ケース3、小林夏美さんの(29・仮名)の場合。

 

27歳で13歳年上の夫と結婚。妊活に非協力な夫は、自然に任せたいから通院はしてほしくないと言う。夫に内緒で検査を行うと、「単角単頚」と呼ばれる珍しい先天性の子宮奇形だと発覚。果たして、妊娠は叶う……!?

新たな不妊専門クリニックへ、医師の言葉が励みに

考え方を変えれば、妊娠の可能性がゼロではないということでもあった。きっと今の医療の技術でなんとかなる。妊活に非協力だった夫は、検査結果を聞いて「これからはやれることは一緒に頑張ろう」と協力を誓ってくれた。

 

新たに職場近くの不妊治療専門のクリニックへ通うことになった。最初の受診から紹介を繰り返し、5軒目にたどり着いたクリニックだった。そこで出会った50代の女性医師は「まだまだよ!」と明るく励ましてくれた。

 

「これまでの検査結果がすべてじゃないから。あせらないで。一般的な治療を始めるわよ」と。

 

その明るさがうれしかった。「先生との相性がいい!ここは当たりかも!」と直感した。この医師との出会いが、うつむきがちだった夏美さんの考え方を変えてくれた。

 

夫がすぐには検査を承諾してくれず……

治療を始めるにあたって、夫の検査が必要になった。夏美さんが住む東京都では、不妊検査や治療にかかる費用の一部に対し、助成金が出る(対象者のみ。詳しくは「東京都福祉保健局」へ)。


夏美さん夫妻の場合、夫も検査を受ければ約5万円の助成金が出る。夫は子作りに協力するとは言ったものの、いざ自分の検査となると、なかなか一歩が踏み出せない。


「1週間考えさせてくれ」

 

夫なりに考えた末、検査を受けることを決断。夫側に問題はなかった。

 

医師と夫の言葉で吹っ切れた未来像

でもすぐには授からない。わかってはいたが、現実を目の当たりすると落ち込む。夫に泣きすがると、非協力的だと思っていた夫から思いもしなかった心のうちを聞いた。

 

「俺は子どもが欲しくて夏美と結婚したんじゃなくて、夏美と一緒にいたいから結婚した。最終的に子どもができなくても俺は良いけど、夏美が子どもを望むなら一緒に病院に行こう」

 

はっとさせられた。

子どもが欲しくて、頭がいっぱいになっていた。

 

「そっか。この人と結婚したいから結婚したんだったよな。このまま2人の生活もいいな」と素直に思えた。

 

「子どもが欲しい」で頭がいっぱいだった。ハッとされられた夫の言葉とは? #3

 

医師の明るい励ましと、夫の言葉のおかげで、夏美さんは吹っ切れるようになった。荒んでいた心はポジティブに。「このまま2人暮らしなら、豪華な旅行も行けるかも」と新たな未来を思い描けるようになった。

 

休日は2人で鎌倉の海へドライブに行き、神社を巡っては2人の幸せな未来を願った。でも諦めたわけではなかった。「最後の1回」という条件付きで、子授けで有名な神社で祈祷してもらったり、ネットで調べた真偽不明のおまじないをこっそり試したり。

 

でも、どんな生き方になっても、行く先の道には明るい未来が待っている気がした。

奇跡の妊娠で医師や看護師も拍手、無事に出産

そろそろ人工授精も視野に入れていた矢先のこと。生理が3週間来ていないことに気づいた。強めの花粉症の薬を飲んでいたので、そのせいだと思っていた。一本だけ残っていた検査薬を試すと、陽性反応が出た。

 

「びっくりして家で思わず叫んじゃいました。すぐに検査薬を、スマホで写真を撮って、夫や母に送っちゃいました」

 

クリニックで調べてもらうと、既に胎嚢が確認できた。

 

「先生も看護師さんたちも、拍手して喜んでくれたんです。本当にうれしくてうれしくて。しばらくにやにやが止まりませんでした」

 

「子どもが欲しい」で頭がいっぱいだった。ハッとされられた夫の言葉とは? #3

 

その後、大学病院に転院。子宮が小さいことから懸念されていた妊娠経過も順調だった。小さかった子宮は一般の妊婦と同じように膨らみ、立派に命を育んだ。

 

2020年11月、逆子による予定帝王切開で、約2,600グラムの元気な女の子を出産。産後も順調に過ごしている。

妊活から2カ月で不妊の検査と治療を開始し、治療から4カ月で授かった夏美さん。

 

「私の場合は、早めに検査して本当によかったです。それからいい先生との出会いも大きかった。夫の言葉で気持ちを前向きに切り替えられたことも良かったと思います」と振り返る。

 

現在、生後4カ月のわが子の寝顔に癒される日々を送っている。

 

「すやすや気持ちよさそうに眠ってる顔を見ていると、力が湧いてきます。育児が大変でもがんばれるなって。2人目も授かったらうれしいけど、あせらないでやっていこうかな」
 

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    ライター大楽眞衣子

    社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーランスに。専業主婦歴7年、PTA経験豊富。子育てや食育、女性の生き方に関する記事を雑誌やWEBで執筆中。大学で児童学を学ぶ。静岡県在住、昆虫好き、3兄弟の母。

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