クックパッドベビーをご覧のみなさん、こんにちは!助産師のREIKOです。
8月5日からブラジルのリオデジャネイロで五輪・パラリンピックが始まりますね。リオデジャネイロ五輪には世界の200以上の国と地域から10,000人を超える選手が参加するそうです。
しかし、ジカウイルス感染症への心配を理由に不参加を表明した選手もいましたね。ジカウイルス感染症って聞くと「?」って思う方もいらっしゃるかもしれません。「ジカ熱」のほうが聞いたことある言葉かもしれませんね。
ジカ熱というと、「妊婦さんがジカ熱にかかると、おなかの赤ちゃんが小頭症になる」といったニュースを耳にしたこともあると思います。そんなニュースを聞くと、「日本に住んでいて、ジカ熱にかかる恐れはあるの?」なんて心配になりますよね。
そこで今回は、「ジカウイルス感染症(ジカ熱)」についてお話ししたいと思います。
ジカウイルス感染症って?
ジカウイルス感染症の原因は、ジカウイルスというウイルスです。ジカウイルスを持った「蚊」がヒトを刺して感染します。
ジカウイルスを媒介する蚊は「ネッタイシマカ」と「ヒトスジシマカ」であることが確認されていて、日本には「ヒトスジシマカ」が生息しています。最近、この蚊による感染以外にも、性行為で感染するということが明らかになりました。
ジカウイルスに感染した方すべてが、ジカウイルス感染症を発症するわけではなく、8割の方は発症しないそうです。発症するまでの期間は2~12日で、軽度の発熱(38.5℃以上の発熱は稀)、結膜炎、発疹、関節痛、筋肉痛、頭痛、だるさなどがみられます。
小頭症ってどんな病気?
妊婦さんがジカウイルスに感染すると、母体からおなかの中の赤ちゃんに感染して、小頭症を発症するリスクがあります。
小頭症は、赤ちゃんの頭が小さく生まれてくる、または生まれてから頭の成長が止まってしまう状態のことをいいます。
生まれたときに症状がない場合も、てんかん、脳性麻痺、学習障害、難聴、視覚障害などが起こる可能性もありますが、まったく正常に成長する場合もあるそうです。
ジカウイルス感染症、日本は大丈夫?
南米などで流行しているジカウイルス感染症ですが、日本の現状はどうなのでしょうか?厚生労働省によると日本国内で感染したというケースはありませんが、海外で感染し、日本で発症した例が10例あるとのことです。
日本国内での感染の危険性については、ウイルスを媒介する蚊が生息しているので、ゼロとは言い切れないようですが、蚊は冬を越えられないので、万が一感染した人がいたとしても大流行に至ることはないと考えられています。
五輪が開催されるリオデジャネイロも今の季節は冬。気温が下がるにつれて感染者も減少してきていて、観光客もあまり心配してる様子ではないとのことですよ。
ジカウイルス感染症を予防するには?
感染の機会が少ないといえども、ゼロではないというならやはり予防が必要ですよね。現在、ジカウイルス感染症の予防薬や治療薬はありません。私たちができることといえば、以下の6つのような予防法があります。
【ジカウイルス感染症の予防法】
■蚊を発生させる環境を作らない(植木鉢の下のお皿、空き缶、外に出しっぱなしのビニールシートなど外に水が溜まっているような場所は注意!)
■蚊に刺されやすいような場所、茂みのある公園、木陰、竹林、墓地などは避ける
■長袖、長ズボンを着用する、虫よけスプレーをする
■本人だけでなく、身近な方が流行国から帰国した場合は、症状が出ないか注意する
■妊娠している場合は、流行地域の渡航を避ける
■性行為の際はコンドームを使用する
ジカウイルス感染症は発症しても症状が軽いとされていますが、妊婦さんが感染して赤ちゃんに影響があるとなると、また話は違ってきます。日本での感染の恐れは今のところ低いとはいえ、ゼロではないということで、今できることをして予防できるといいですね。
ジカウイルス感染症に関して、妊婦さん用の相談窓口が各都道府県に設置されています。気になる方は相談してみてくださいね。(TEXT:助産師 REIKO)