救急車で搬送されて、検査中に眠らせておく薬が切れたとき、ハナは泣いて叫んで暴れました。特に髄液を採取したときは本当に痛そうで、毛布を使って押さえている看護師さんたちも大変そうでした。
しかしハナは私を見ることも、「ママ」と呼ぶこともありませんでした。意味のある言葉を話さず、泣き喚くだけ。「もしかして私のこともわからなくなってしまったのか? 話せなくなってしまったのか?」と不安でいっぱいになりながら、検査が終わるのをひたすら待ちました。
娘が脳症になったとき #4
弱々しい、どこか調子の狂った声でしたが、ハナに「ママ」と言われたときは本当にうれしくて、堪え切れず号泣してしまいました。
毎日何度も何度も「ママ」と呼ばれてきて、それが当たり前で、時には「うるさいなあ」と思っていたくせに、このときのひと言は本当に特別でした。
娘はちゃんと私のことをわかっている。今は検査で疲れてボロボロになっているけど、数日しっかり休めば元気になる。いや、もしかしたら明日には元気になって、またうるさいくらいペラペラしゃべっているかもしれない。そう思いました。
しかし、私が想像していたように事は簡単に進まなかったのです。
-
前の話を読む3話
「命に別状は?」「…わかりません」医師のまさかの言葉に絶句し…【娘が脳症になったとき #3】
-
次の話を読む5話
24時間の付き添いスタート。入院中もっとも辛かったのはまさかの……。【娘が脳症になったとき #5】
-
最初から読む1話
始まりは突然の嘔吐。ただの風邪かと思っていたら…。【娘が脳症になったとき #1】