太ももの骨を骨折した人の5年生存率は2人に1人!健康における骨の大切さ【医師解説】

仕事に出かける、買い物に行く、食事をする、余暇を楽しむなど、私たちは普段、当たり前のように自由に体を動かしています。しかし、ひとたび骨折をしてしまうと、そうした自由がままならなくなってしまいます。『医者が考案した骨粗しょう症を防ぐ1分間骨たたき』の著者であり、骨の専門医でもある中村光伸先生に骨の大切さについてお聞きしました。

この記事の監修者

医師中村 光伸先生

光伸メディカルクリニック院長。医学博士。整形外科医の知見から骨の仕組み、体の動かし方を活かした骨のトレーニングを提唱する骨の専門医。骨の強化と全身の機能回復を両立する「骨たたき」を考案。若々しい体を取り戻す「リバースエイジング」の専門家としてメディアにも多数出演。著書に『医者が考案した骨粗しょう症を防ぐ1分間骨たたき』(アスコム)。

 

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健康で一番大切なのは「骨」

――中村先生は骨の専門医でいらっしゃいますが、健康において骨はどのような役割を果たしているのでしょうか?

 

中村先生 元気で長生きをするために、健康診断を受けたり、食事や運動に気をつけている方はたくさんいらっしゃると思います。もちろん、健診を受けて病気を早期発見することは大切ですし、バランスのいい食事や適度な運動は健康維持には欠かせません。

 

しかし私は、健康において何よりも大切なのは「骨」だと考えています。

 

例えば、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手は時速160㎞以上のボールを投げますが、あの投球のベースにあるのは骨なんです。

 

――野球のボールは筋肉を使って投げているようなイメージがあるのですが、骨がベースというのはどのような意味なのでしょうか?

 

中村先生 時速160㎞の速球は、体を弓のようにしならせて使うことで初めて実現します。体を弓だとすると骨は弓自体で、筋肉は弓を引く役割です。つまり、筋肉によって骨をしならせて投げるわけですが、骨が弱いと途中でボキッと折れてしまうんです。大谷選手が時速160㎞超えの速球を投げられる根底には、強い骨があるんです。

 

一流アスリートも一般の人も基本的な体の作りや機能は同じですから、骨の大切さはすべての人に当てはまることでもあります。

 

40歳を過ぎると骨は急激に弱くなる

階段上がる時足が痛むイメージ

 

――骨には硬くて丈夫という印象がありますが、強い骨があるということは弱い骨もあるということでしょうか?

 

中村先生 骨というのは生まれた瞬間から成長し、20歳までが成長時期で、一般的に男女とも20歳前後が骨量のピークとなります。その後、40歳ごろまでは一定の骨量を維持し続けますが、40歳を過ぎると骨を作る代謝バランスが崩れて男女とも骨量が減少します。つまり、骨が弱くなるということです。特に女性の場合は閉経を迎えるころから骨量が急激に減少します。

 

――それはなぜなのでしょうか?

 

中村先生 女性ホルモンの一種であるエストロゲンには、古い骨が溶かして壊される「骨吸収」を緩やかにして、骨からカルシウムが流出するのを抑制する働きがあります。閉経すると女性ホルモンの分泌が低下しますから、閉経後の10年で女性の骨量は15~20%も減少するといわれています。さらに、60代の女性の多くは若いころの80%前後まで骨量が低下することがわかっています。

 

骨折が原因で死に至ることもある

骨粗しょう症のイメージ

 

――骨量が減るということは、骨粗しょう症になるということでしょうか?

 

中村先生 そうです。健康な骨は中身がしっかりと詰まっていますが、骨粗しょう症になった骨は隙間だらけのスカスカの状態です。ですから、つまずく、転ぶ、くしゃみをするといった日常のささいな動作で簡単につぶれて圧迫骨折を起こしてしまうんです。

 

――圧迫骨折を起こすとどうなるのでしょうか?

 

中村先生 一番多いのは背中の圧迫骨折ですが、骨粗しょう症の場合は背骨の骨折は痛みを感じにくいんです。そのため、いつ骨折したのかわからない人も多く、「いつの間にか骨折」とも呼ばれています。骨折に気付かずに放置しているうちに、別の部分が次々と骨折をする「ドミノ骨折」を引き起こすこともあります。

 

――圧迫骨折やドミノ骨折は治るのでしょうか?

 

中村先生 治すことはできます。ただし、以前と同じ状態まで治すことは難しいのが現実です。

 

実は、背骨がつぶれる圧迫骨折を起こした人は、その後の5年生存率が約80というデータがあります。つまり、5人に1人は5年以内に亡くなってしまうということです。

 

太ももの大腿骨を骨折した場合はさらに低くなり、5年生存率は50です。2人に1人は5年以内に亡くなるといわれています。

 

――なぜ、骨折が原因で亡くなってしまうのでしょうか?

 

中村先生 人間の体は動くことで生命を維持するような仕組みになっているからです。健康な人でも寝たままの状態が1週間続くと筋肉が10~15%落ち、その結果、転倒しやすくなって再度、骨折をしてしまいます。こうした悪循環に陥って寝たきりの状態になると内臓機能も筋力も低下し、死に至ってしまうと考えられます。骨粗しょう症は単なる老化現象ではなく、命に関わることもある怖い病気なんです。

 

次回は、見た目年齢と骨の老化の関係についてうかがいます。

 

 

<著書>

 

『医者が考案した骨粗しょう症を防ぐ1分間骨たたき』中村光伸/著 アスコム 1300円+税

 

『医者が考案した骨粗しょう症を防ぐ1分間骨たたき』中村光伸/著 アスコム 1300円+税

 

 

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    この記事の著者

    ライター熊谷あづさ

    ライター。1971年宮城県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、会社員を経てライターに転身。週刊誌や月刊誌、健康誌を中心に医療・健康、食、本、人物インタビューなどの取材・執筆を手がける。著書に『ニャン生訓』(集英社インターナショナル)。

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