家事をしっかりおこなうことが運動になる
――健康維持には体を動かすことが大切だといわれています。老けない体をつくるには、どのような運動をするのが良いのでしょうか?
白澤先生 運動は日常生活の中でおこなう動きをスムーズにするために必要なことです。
運動と聞くと腕立て伏せや腹筋のような動作をイメージしがちですが、例えば主婦の方が料理や掃除をするときに、腕立て伏せや腹筋をするときのような筋肉の使い方は必要ないですよね? 腕立て伏せや腹筋ではなく、雑巾がけをする、布団の上げ下げをする、洗濯物を物干し竿に干す、といった家事をしっかりとおこなうことが運動になる、と考えるのが良いと思います。
――ジムに通って体を動かすような運動はしなくても良い、ということでしょうか?
白澤先生 筋トレやジムのマシーンを使って運動をすると、日常生活では使わないような余計な筋肉がついてしまうんですね。私のクリニックにはそうした患者さんが少なくなく、余計な筋肉を落とすのに苦労しているんです。
――余計な筋肉というのは、例えばどういう状態のことなのでしょうか?
白澤先生 私のクリニックで一番苦労しているのは、ゴルフに熱心な患者さんです。そうした患者さんは、ゴルフの飛距離を伸ばすために打ちっぱなしに通ったり、自宅でスイングの練習をしています。
その患者さんがプロのゴルファーなら、話は別です。ゴルフの成績を伸ばすためには、特殊なトレーニングをして必要な筋肉をつけなければなりません。でも、普通の会社員の方は仕事でゴルフをするわけではありませんから、余計な筋肉をつける必要はないんです。
――余計な筋肉がつくと、体にはどのような弊害が生じるのでしょうか?
白澤先生 筋肉が緊張し、関節が変形するので、腰痛や肩の痛み、首の痛みといった症状が表れます。
外での運動には神社やお寺の階段の昇り降りがおすすめ
――一般的には健康維持のための方法としてウォーキングが推奨されていますが、歩くことは問題ないでしょうか?
白澤先生 歩くこと自体には問題はないです。ただ、靴には気を付けてください。というのも、くるぶしから下の部分の足には26個の骨があり、左右合わせて52個です。私たちの体全体の骨の数が250個ですから、そのうち5分の1の骨が足に集中していることになります。これは、くるぶしから下の足がそれだけ重要なパーツであるということに他なりません。
ですから、足の機能をしっかりと使えるような靴を履くことが大切です。特にハイヒールや革靴は足の自然な動きを妨げてしまいますから、スニーカーのような歩きやすい靴で歩くことが大切です。
――歩くこと以外に先生のおすすめの運動がありましたら教えてください。
白澤先生 階段の昇り降りですね。階段といってもマンションなどの均一的なものではなく、神社やお寺にある石段のようなイレギュラーな階段のことです。路面の傾きが微妙に違う階段を昇り降りする際に、足首や膝関節、股関節がどれくらい柔軟に対応できるか。イレギュラーな階段を昇り降りすることで、筋肉と骨格を動かすための動きが脳の中でプログラムされるんですね。同様の効果が期待できるトレッキングも良い運動方法です。
自分に必要な情報を自分で選ぶことが大切
――体に良いいとわかってはいても、これまでの思考習慣や生活習慣をなかなか変えられない……。そんな悩みを抱える読者に向けて、白澤先生から改めてお言葉をお願いします。
白澤先生 今日までの新型コロナやワクチン行政を見るだけでも、政府が本当に国民を守っているのか、私は非常に疑わしいと考えています。現在の医療制度が新型コロナに対応できなかったことを、政府は素直に認めるべきです。実際に、自宅療養中に重症化して救急車を呼んでも受け入れられる病院がないといった事態が起こっています。
政府に頼ることもできず、新型コロナや世界的に不安定な情勢でストレスフルな生活の中、私は病気や老化の予防は何よりも重要なことではないかと考えています。病気や老化の予防には遺伝的な要因もありますが、実は、多くの場合は知識によってカバーすることができます。
どういう食べ物をとるのか、どんな運動をするのか、どのようにして自分の体を自分で調整するのか。
世の中にはたくさんの情報があふれていますが、知識があれば自分の体に必要な情報を選択できます。これから先の人生を有意義に過ごすためにも有用な知識を身につけて、健康で老けない生活を実践してもらいたいと願っています。
<著書>
『「一生老けない」にいいこと超大全』白澤卓二/監修 宝島社 1000円+税
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!