出産するなら無痛分娩
痛みやつらいことを避けたい私は、妊娠前から出産するなら無痛分娩と決めていました。子宮口が開き始めると、私はいよいよ出産が近づいてきたと思い、「そろそろ無痛分娩の麻酔をしてもらえるんでしょうか?」と先生に聞きました。そして、専用の部屋へ移動し、針を刺す段階になったとき、なんと麻酔科の先生が、「刺せません。無痛分娩はできません」と言ったのです。
私は妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)が腰にも出ていて、ちょうど麻酔針を刺す箇所にも湿疹跡ありました。たしかに、妊婦健診のときそれを見た先生から、「状況によっては無痛分娩ができない」という説明は受けていました。そして今回は、感染のリスクが高くなるので、無痛分娩はあきらめてくださいとのことでした。
スポ根魂復活!
人生初の陣痛という対処しきれない痛みの中、私は悟りました。この痛みから一刻も早く逃れるためには、この医療チームの指示を的確にこなすしかないと。その瞬間、小中高と運動部で、顧問から受けた指示を理解して実行するスポ根魂が復活。
通常分娩をこなすべく、助産師さんが「はい、いきんでー、斜め右下に力を入れて!」と言えばその通りにして、助産師さんに褒められるたびにやる気を出し、文字通り的確に指示をこなすアスリートと化しました。
先生、何時の方向に何針ですか?
無事出産し、無痛分娩希望の、痛みに弱そうな妊婦の私が、冷静に医療指示をこなすアスリートと化したことで、現場では不思議な感動が生まれていました。
出産後、会陰縫合を受ける際も、「先生、何時の方向に何針ですか? 」と聞く私に、3時に5針、6時にも2箇所、3針ずついきます」と笑いながら答えてくれた先生。陣痛や分娩よりも会陰縫合が痛いという私に、先生は子どもの名前について聞いてくれて気を紛らわせてくれました。
出産後の振り返りで…
その後、出産後の振り返りを助産師さんが丁寧にしてくださいました。希望していた無痛分娩はできなかったけれど、正しい判断と的確なサポートをしてくれた医療チームのおかげで、痛みに弱い私も出産できたと思いました。正しい判断をしてくれた医療チームと生まれてきてくれた子どもに感謝をして、子育て中もこの体験を心に刻んで過ごしています。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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監修/助産師 松田玲子
著者:山田 花子
2022年生まれの女の子のママ。
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