同乗した男性は、身の上話を語り始めた。
妊娠した妻は、つわりで体調が悪く休職。仕事をしていないから、せめて家のことくらいはやろうと無理をしてしまうので、つわりが落ち着くまで実家に帰ってもらっていた矢先の出来事だったという。
不測の事態に戸惑っているのは、みんな同じ。でも、彼の妻が実家に帰った理由は「妻へのやさしさ」だった。
その後、彼に「妻が実家に帰っていた理由」を問われた夫。その答えは……?!
「俺から逃げてたんです」妻が帰ったワケを伝えて……
「倉田さんの奥さんたちも実家へ帰省中だったんですか?」
「俺から逃げてたんです」
夫は男性の言葉を遮るように言った。
「子どもに関心を持たず、自分のことばっかりで、愛想尽かされてしまいました。妻はもう離婚したいそうです」
被災して、家にいられずこれから避難するという非常事態でも、妻は「大丈夫」と言い、「いますぐに助けに来てほしい」「そばにいてほしい」なんて頼ることもなかった。真剣に離婚を考えているくらいだから、もしかしたら、本当に来てほしくないのかもしれない。
「これは、俺のエゴなのかもしれません」
妻たちの待つ場所へ向かっている……このこと自体、自分のエゴなのかもしれない。それでも、今は行動したい。家族のもとへ行きたい。さらに夫の思いは溢れて……。
ちなきちさんの最新投稿は、SNSやブログから更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。
-
前の話を読む349話
「妻の気持ちを考えたら…」同乗する男性のやさしい思いを聞き、夫はますます後悔の念に駆られて #僕と帰ってこない妻 349
-
次の話を読む351話
「もう1回チャンスあるかも」離婚したいという妻に考え直してほしい…自己中な自分に嫌気が差して #僕と帰ってこない妻 351
-
最初から読む1話
「しばらく帰りません」妻が子どもを連れて家出。飲み会のあと帰宅すると置き手紙が… #僕と帰ってこない妻 1