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厳格だった父が認知症に。たったひとりで介護をしていた母が電話口で泣いていて

闘病中だった父が他界しました。「あのときこう判断していれば」「もう少し長生きしてほしかった……」などさまざまな思いは尽きませんが、きっとそのときがいつだったとしても、思いは変わらないんだろうなとも思います。とはいえ、突然訪れた「親の介護」という現実に、何の知識もない私はあたふたするばかりでした。これは私が介護について何をどうしたらいいのかわからず、誰に聞いたら良いのかさえ知らずに右往左往した体験談です。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師駒形依子 先生
産婦人科 | こまがた医院院長

東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。
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認知症の父を介護する母

晩年の父は、ひとりで立ち上がったり動いたりすることが困難な状態でした。体を起こすこともできなかったので、トイレに間に合わずその場で小便をしてしまうことがありました。

 

それ以外にも夜中に突然目を覚まし「たばこの灰が落ちたから探せ!」と母を起こすこともありました。母が今まで寝ていたことを説明しても理解してもらえず「探せ!」と怒鳴る始末……。

 

昔の厳格な父からは想像もできない話を母からたくさん聞きました。これが認知症の一環だとは考えつかなかったし、まさか自分の父親が認知症を患うとは、夢にも思っていませんでした。

 

ただこのころの私は、父が理不尽なことばかり言うので実家を避けて連絡を取っていませんでした。

 

母の悲痛な訴え

電話口で泣く母のイメージ

 

父が体調不良から入院することになり連絡をもらった私は、電話口で泣きながらひと月前からの出来事を話す母に驚きました。

 

母の涙にそれだけ大変な介護をしていたのだと悟りました。申し訳ない気持ちからまずは母の負担を減らすため、何ができるかを考えますが何をどうすべきなのかわかりません。

 

ネットで調べるものの明確な答えは得られず、わらをもすがる思いで介護士として働く友だちに相談しました。父の行動は認知症の疑いもあると聞かされ「早めに介護保険を受ける手続きをしたほうがいい」と教えてくれました。

 

「まずは市役所の福祉課に聞いてみて」と聞き早速電話。すると、両親が暮らす住所地にある「地域包括支援センターが相談窓口になっている」と電話番号を教えてくれました。

 

「地域包括支援センター」は初めて聞く名前でした。いろいろな感情が心の中をグルグルする中で、頼れる場所があるのにそれを知っている人はどのくらいいるのかな……と思いました。

 

また、介護に無関心だった自分にもいら立ちました。

 

 

父は認知症だった

認知症アンケートと認知症の文字イメージ

 

私の知識の中で認知症は「物忘れ」というイメージだけでした。

 

ご飯を食べたこと、銀行の暗証番号、家までの道などを忘れてしまう。その程度だっただけに、「物忘れ」の症状がなかった父が認知症だとは夢にも思いませんでした。

 

それに父が介護保険の対象になるとも思いませんでした。

 

父の言動は祖母と同じように、年を重ねるごとに我が強くなってきただけだと捉えていたからです。もしかすると長年心臓を患っていたので、体が思うように動かせないもどかしさもあり怒りっぽくなっていたのかもしれませんが、今となっては聞くこともできません。

 

病院からは「入院すると認知症は進行しやすい」と説明されていました。本当にその通りで2カ月後には私のことも「誰やったか?」と聞くほど、父の認知症は急速に進行しました。

 

ただ、母が「毎日眠れるようになった」と言ってくれたことに、唯一救われていました。

 

まとめ

私がもっと早く母が介護していることに気付いていたら……「地域包括支援センター」の存在をもっと早く知っていたら……と思うことはたくさんあります。でも、1人でも多くの人が「地域包括支援センター」の存在を知り、何かあったときに活用できれば、母のように苦しむ人が減るのではないかと思います。相談できる場所があることを知っただけでもラクになったと、母が言っていました。

 

今は、同じ後悔をしないようまめに母と連絡を取り、近況を報告し合っています。

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

イラスト/sawawa

 

 

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著者:日向 くらげ

一昨年に離婚。飲食業界の会社に勤めて28年。趣味は旅行と温泉巡り。

 

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