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更年期に起こるデリケートゾーンの痛み。市販薬は使ってOK? 受診の目安は?【医師監修】

ある日突然起こる、デリケートゾーンの痛み。場所が場所だけに、受診せずにまずは自分で何とかできないか考える人は多いかもしれません。でも素人の自己判断は、これまた場所が場所だけに心配なもの。そこで、産婦人科医の駒形依子先生に、更年期世代に見られるデリケートゾーンの痛みや不快感があるときのセルフケアと受診の目安について聞きました。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師駒形依子 先生
産婦人科 | こまがた医院院長

東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。
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更年期世代に多いのは傷?炎症?

更年期に多いのは「萎縮性腟炎」

デリケートゾーンに痛みを感じるとき、その原因は「傷」か「炎症」になります。そして40代以降の女性であれば「炎症」が多いと駒形先生は言います。

 

「40代以降の女性に起きるデリケートゾーンの痛みは、腟が炎症を起こす萎縮性腟炎(いしゅくせいちつえん)であることが多いです。女性ホルモンの分泌が低下することで腟組織の潤いがなくなり、分泌液も低下するため腟内が乾燥します。乾燥することで少しの刺激でも痛みを感じやすくなります。皮膚がひきつれるような痛みが多いようです。

 

また、雑菌の侵入も痛みの原因となります。腟内には常在菌が多数あり、外部からの雑菌から腟を守っていますが、腟内が乾燥することで常在菌のバランスが崩れ、雑菌が侵入しやすくなります。雑菌が侵入して炎症を起こすことで痛みを引き起こしてしまうのです」(駒形先生)。

 

「萎縮性腟炎」に市販薬は使える?

股間バツ

 

市販薬はないのでまずは保湿を

萎縮性腟炎に市販薬はあるのでしょうか。

 

市販薬はありません。ただ、萎縮性腟炎の場合、痛みだけで婦人科を受診する人はほとんどいません。婦人科を受診する方の多くは痛みとともに出血症状がある場合がほとんどです。少しの刺激で腟がこすれて出血し、不正出血を心配して来院します。クリニックによっては、炎症がひどい場合は腟に直接入れて炎症を鎮める、腟錠を処方するところもあります」(駒形先生)。

 

出血はなく、痛みだけの場合はどうすれば良いのでしょうか。

 

「まず試してほしいのが、陰部の保湿です。お風呂上がりに、毎日フェイスケアで使っている化粧水の残りをやさしく塗り込むだけでOKです。このとき大切なのは外側だけを保湿すること。腟の中まで化粧水をつけると雑菌が繁殖する原因になるので絶対にやめましょう

 

また、外側からの刺激と雑菌の侵入を防ぐことも有効です。スキニーパンツパンスト、ガードルなど肌に密着する衣類は陰部にあたることで刺激になりやすいので避けたほうが良いでしょう。

 

また、通気性の悪い化繊のパンツ紙のおりものシートはムレて雑菌が繁殖しやすくなるので避けましょう。自宅以外のシャワートイレ陰部の内部をごしごし洗うのも危険です。陰部を洗うときにはやさしく、外側だけを洗うようにしましょう」(駒形先生)。

 

 

「傷」の場合はどうする?

脱毛女性

 

市販薬でぶり返すようなら至急受診を

あまり多くはないということですが、「傷」の場合、市販薬は使えるのでしょうか。

 

カミソリなどムダ毛処理による傷

抗菌作用のある抗生物質が有効です。市販薬であれば「ゲンタシン」「オロナイン」などで様子を見ても良いです。「リンデロンVG」も抗生物質ですがステロイド外用薬なので、塗り続けると皮膚が薄くなることがあります。数回使ってぶり返すようなら受診しましょう」(駒形先生)

 

性交渉による摩擦の傷

市販の抗生物質やステロイド剤では悪化する可能性があるので絶対に避けましょう。抗生物質を内服すると腟内の常在菌もいなくなるためカンジタ症になりやすくなったり、雑菌が増えやすくなったりしてしまいます。ステロイド剤は間違って使うとカンジタ症やヘルペスの悪化や雑菌の繁殖、皮膚が薄くなるため、むやみに使うのはやめてください。

 

萎縮性腟炎が原因となっていることも多いので、陰部の外側を保湿してケアすることが有効です。性交渉による傷は体位の問題もあります。パートナーとの話し合いも大切です」(駒形先生)。

 

まれではあるものの性感染症の可能性も

陰部に痛みがある場合、傷や炎症以外にも原因があるのでしょうか。

 

「40代、50代ではまれですが陰部が痛む性感染症があります。代表的なものは性器ヘルペスです。性行為によりウイルス感染することで発症し、激しい痛みと腹痛、高熱が出ることがあります。市販薬はないので、婦人科か泌尿器科をなるべく早く受診してください」(駒形先生)。

 

まとめ

結論は、カミソリによるムダ毛処理でできた傷以外は、市販薬は基本的に使えないということです。40代、50代女性で陰部に痛みがある場合、まず考えられるのは萎縮性膣炎ということ。日常生活に支障がなく、少し気になる程度の痛みであれば、まずは保湿から始めてみてはいかがでしょうか。

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

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取材・文/岩崎みどり

ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重あごが悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。

 

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