新年度まで残り1カ月になりましたが、新年度に合わせてお引越しを考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
親御さんの職場やお子さんの学校の近くなどの理由で選ばれる方も多いと思いますが、都道府県や市区町村の境でどちらにしようか選べる方は、行政サービスの違いもお引越し先を選ぶ材料として考えてみてはいかがでしょうか。
都道府県・市区町村のサービスは差があるものも
都道府県・市区町村のサービス(以下、行政サービス)は、お住まいの場所によって異なるものと全国一律なものがあります。国の制度である「児童手当」は第1子・第2子であれば、3歳未満までが月額15,000円、3歳以上中学生までが月額10,000円です。しかし、第3子以降や所得制限で金額が異なることがあります。とはいえ、全国一律の制度ですので、お住まいの場所で金額が変わることはありません。
お子さんの医療費を助成してくれる「乳幼児・子ども医療費助成」は、どのお住まいの地域でもありますが、名称や自己負担金額、対象年齢は市区町村によって異なります。
一例として、隣り合っている東京都大田区と神奈川県川崎市の通院時の医療費助成は、大田区は中学生卒業まで無料ですが、川崎市は小学校3年生修了時までが無料(平成29年4月からは小学校4年生~6年生は自己負担500円の助成開始予定)となり、対象年齢が異なります。
このように同じ制度でも、内容が異なるものは比較してお住まいの場所を決めるひとつの材料にしてもいいと思います。
子育てに関する行政サービスの異なる主な内容
待機児童の人数や保育園の受け入れ状況など、対象年齢や金額だけでは比較できない行政サービスもありますが、今回はポイントとして取り上げませんので、ご了承ください。以下は都道府県・市区町村によって異なる基準がある主な行政サービスです。
1.乳幼児・子ども医療費助成
(1)通院の場合 ①対象年齢 ②自己負担金額 ③親の所得制限
(2)入院の場合 ①対象年齢 ②自己負担金額 ③親の所得制限 ④入院時の食事費用負担の有無
2.私立幼稚園の補助金
①補助金額 ②入園料や保育料・授業料のどこまで対象になるか ③親の所得制限
3.保育料補助金(認定保育園・認証保育園等)
①対象の保育園の種類(認定・認証のみか認可外も含まれるか) ②補助金額 ③親の所得制限
4.妊婦健診費助成
①回数 ②対象検査項目 ③助成上限額 ④その他の条件(助産院が対象になるか、里帰り出産の可否など)
そのほか、私立高校の生徒に関する助成、ひとり親に対する助成、出産祝い金等の独自のサービスなど、出産前から高校・大学生に渡るまでそれぞれの都道府県・市区町村ごとに内容や対象が異なる行政サービスも少なくありません。
とくに年度の替わる4月以降に新たな取り組みを予定している都道府県・市区町村もありますので、広報やホームページ等年度末・年度初めには確認するといいでしょう。都道府県・市区町村も少しずつではありますが、サービス内容で選ぶ時代になりつつあるようです。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。