50歳代に総コレステロール値は急上昇
上の表は厚生労働省が2000年に実施した「第5次循環器疾患基礎調査」の中の「性・年齢階級別 総コレステロール値の分布(割合)」です。グラフの黄色い部分に注目してください。これは、脂質異常症の基準である総コレステロール値220mg/dl以上の人の割合です。
40代が22.6%であるのに対し、50代になると44.4%と、約2倍も脂質異常症の基準値を超えている女性が増えていることがわかります。これはなぜなのでしょうか。
コレステロール値の上昇は閉経後の体と深く関係
50歳代に総コレステロール値が上昇する割合が増えるのは、閉経と深く関係があると駒形先生は言います。
「コレステロールは体に必要なホルモンの原料でもありますが、閉経後はエストロゲンを生成する量が激減するため、何もしないとコレステロールが過剰になってしまいます。
閉経前の更年期前期から、コレステロール値は少しずつ増える人が多くなります。それまでの数値より上がっていることがわかったら、脂質異常症の予備軍の可能性があります」(駒形先生)。
脂質異常症を放置すると…
「総コレステロールが高いということは、細胞に運ばれず血液中に残ってしまったコレステロールが多いということになります。取り残されたコレステロールが血管の壁にくっついて血流が悪くなり、動脈硬化を引き起こしてしまうこともあります。
動脈硬化が進行してしまえばさらに血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などの血管系の疾患のリスクが上がります。
コレステロール値は、値そのものに異常があったとしても自覚症状が表れることがほとんどありません。ですから、定期的に健康診断や検査をおこなったり、自主的に生活習慣に気を付けることが大切なのです」(駒形先生)。
食生活で特に注意したいことは?
現在は脂質異常症の基準値を超えていなくても、閉経に向かうにあたり、これまでと同じ生活をしているとリスクが高まってしまいます。
「まず気を付けて欲しいのが食生活です。よく、体のことを考えて揚げ物は控えているという方を見るのですが、揚げ物を毎日食べる人はほとんどいないと思います。むしろ大切なのは、
毎日何げなく口にしているものに脂肪が含まれているのを知ることです。
特に多いのが、乳脂肪を多くとり過ぎているパターン。朝はトースト、昼はピザ、間食にクッキー、ドリンクはカフェオレ……といった場合、かなりの乳脂肪をとっています。パンやお菓子を手作りする方はわかると思いますが、かなりのバターやマーガリンを使用しているからです。
一切とってはいけないということではなく、毎日食べているものに乳脂肪が多く含まれていることを意識して、頻度を減らすだけでも効果があると思います」(駒形先生)。
まとめ
体が大きく変化する50代女性。これまでの生活習慣で問題なかったことが、問題が出てくる可能性があるということです。コレステロールの値が気になるという方は、毎日食べている食品を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。
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