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出産のとき、助産師が馬乗りに!?クリステレル胎児圧出法って?

この記事では、助産師のREIKOさんがクリステレル胎児圧出法について解説しています。クリステレル胎児圧出法はママの子宮底を圧迫して赤ちゃんが出てくることを助ける手技。おこなうか否かは産院の方針によっても異なるようです。

この記事の監修者
監修者プロファイル

助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
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出産と新生児のイメージ

 

こんにちは! 助産師のREIKOです。「出産のときに助産師が馬乗りになって、おなかを押された」なんていう、お産の体験談を目にしたことがあるかもしれません。なんて壮絶! 自分もそうなったらどうしよう……と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

お産に欠かせない3つの要素

お産がスムーズに進むか否かは、娩出力(べんしゅつりょく)・産道・娩出物(べんしゅつぶつ)の3つの要素が関係しています。

 

娩出力

娩出力というのは、赤ちゃんを押し出す力です。これは、陣痛と腹圧。陣痛が弱ければ子宮口も開きませんし、ママのいきみが弱かったら赤ちゃんを押し出すこともできません。

 

産道

産道はおなかの中の赤ちゃんが通ってくる道。骨産道(こつさんどう)と軟産道(なんさんどう)に分けられます。骨産道は骨盤、軟産道は子宮の下の部分から膣、外陰部をいいます。骨盤が狭かったり、子宮口がやわらかくなかったりすると、おなかの中の赤ちゃんは出てこられません。

 

娩出物

娩出物には、おなかの中の赤ちゃん、胎盤、臍の緒、羊水、赤ちゃんを包んでいる膜(卵膜)が含まれます。赤ちゃんの頭がママの骨盤よりも大きかったら帝王切開の適応となってしまいますし、おなかの中の赤ちゃんの向きや産道を降りてくるときの姿勢などはお産に大きな影響を及ぼすことがあります。

 

娩出力が弱いと……

子宮口が全開大となったらいきみ始めますが、助産師は陣痛のピークに合わせていきむようにママをリードしていきます。しかし、ママが初めてのお産だったり、疲労困憊でなかなかうまくいきめないこともあります。

 

そのような状況では、陣痛の強さ、ママの疲労度、おなかの中の赤ちゃんの状態などを見極めて、その後の方針を検討していく必要があります。その結果、陣痛促進剤を使ったり、吸引分娩や鉗子分娩に切り替えたりすることもあります。

 

「あと少し!」のときは?

あと少しで赤ちゃんが生まれそうなのに、なかなか出てこない……といったとき、医師から「おなか押して!」と言われることがあります。これはママの子宮底を圧迫して、赤ちゃんが出てくるのを助けるもので、「クリステレル胎児圧出法」といいます。

 

クリステレル胎児圧出法は、1867年、Kristeller(クリステレル)が初めて提唱した技術で、多くの産院でおこなわれている手技ですが、どのような状況になったらおこなうのかなど、明確に定まっていないのが現状です。そのため、クリステレル胎児圧出法をおこなうかどうかは産院の方針によっても異なります。

 

産婦人科診療ガイドラインでの変更点

2017年、産婦人科診療ガイドラインの改定がなされました。そのなかで、クリステレル胎児圧出法施行時の注意点が新たに追加されています。

 

その背景には、クリステレル胎児圧出法の実施状況実態調査の結果、子宮破裂や膀胱破裂などの事例報告や、クリステレル胎児圧出法を繰り返しおこなったことが胎児機能不全を進行させた可能性があるなどの事例などがあるようです。

 

産婦人科診療ガイドラインでは、クリステレル胎児圧出法は、急速遂娩が必要なとき、つまり、ママやおなかの中の赤ちゃんの状態が悪く、一刻も早くお産を終わらせたいときの「補助的手段」として実施することが推奨されています。

 

馬乗りはアリ!?

クリステレル胎児圧出法をおこなう際、分娩台に上がっておこなうと過度の圧力がかかる可能性があるので、産婦の横に立っておこなうことも提言されているようです。

 

私が働いていた病院では、ママの横に立って、片手でくいっとおなかを押すと赤ちゃんがぐんぐん降りてくるという魔法のような手を持った女医さんがいました。女医さん自身、それほど力を入れていないと話していました。

 

 

しかし、この女医さんのような人ばかりでないのが現状。クリステレル胎児圧出法をおこなうとなったとき、分娩台に上がって、馬乗りになるなどして助産師がおなかを押すということもあると思います。

 

その際には、全体重をかけない、おなかを押す方向に注意する、圧迫の回数など、じゅうぶんに考慮しておこなわれるものだと私は考えます。ママと赤ちゃんを助けるための方法が、不利益を与えるようなものにならないようにしたいと思っています。

 

 

◆関連動画 出産ドキュメンタリー

 

 

 

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