世界でも指折りの豊かな国、日本。だけど、厚生労働省の発表によると、日本で暮らす子どもの13.9%が貧困状態に陥っています。そんな家庭に食品を届ける「こども宅食」が今年、東京都文京区でスタート。自治体と民間団体が協働で運営することやふるさと納税で支援ができるなど、今までにない取り組みとして注目を集めています。
月10kgの米やレトルト食品を無料で届ける
「こども宅食」とは、18歳以下の子どもがいる低所得世帯に無料で食品を届けることで、子どもたちの食事を支援する取り組み。文京区、認定NPO法人フローレンス、NPO法人キッズドアなど民官6団体による協働事業で、今年10月から本格的にスタートします。
支援の対象となるのは、文京区で児童扶養手当または就学援助を受給している約1000世帯で、初年度はその中から抽選で150世帯を選びます。届ける食品は、米、レトルト食品、飲料、お菓子など約10kg分。それを最初の半年は2カ月に一度、来年4月からは月に一度、自宅まで直接配送します。
初年度こそ150世帯に絞られるものの、いずれは支援を必要とする約1000世帯すべてに届け、さらに全国の自治体へと活動を広げていくことを目指すといいます。
LINEで申し込みや生活相談を受け付け
子どもの貧困支援といえば、子ども向けの無料の食堂「こども食堂」が全国各地で展開されています。フローレンスでも過去に同様の取り組みを行っていましたが、本当に支援を必要としている子どもたちに情報が届かない、あるいは周囲の目を気にして足を運べないなどの課題がありました。
その反省を生かし、「こども宅食」では支援の申し込みにLINEを活用します。文京区から対象の全世帯に手紙を配布。そこに記載されているQRコードをLINEで読み取れば、わざわざ区役所に足を運ばなくても申し込みができるのです。平日に休みが取れないママやパパには便利ですね。
また、食品をスタッフが直接家庭へ届けることで保護者の悩みを早い段階でキャッチしたり、LINEで生活相談を受け付けることも想定しており、最終的には「貧困家庭にとっての新しいセーフティネットになりたい」とフローレンスの担当者は話します。
ふるさと納税で全国どこにいても支援が可能
「こども宅食」の取り組みは、ふるさと納税を使い、全国どこにいても支援をすることが可能です。一般的なふるさと納税とは違い返礼品はありませんが、そのぶん、集まった寄付金はすべて「こども宅食」の運営に使われます。 ふるさと納税を申し込めるのは、年内いっぱいだそう。
▪️興味のある方はこちらのサイトをチェック
https://www.furusato-tax.jp/gcf/155
この取り組みにより、本当に必要としている家庭に支援が届き、たくさんの子どもたちがじゅうぶんな食事を取れるようになるといいですね。そして将来的に全国に広まることを願っています。(TEXT:妹尾香雪)