赤ちゃんが離乳食や幼児食を食べる時期には、食物アレルギーはもちろん、小さな子ども特有の食中毒を起こしたり、窒息する可能性がある食品にも気を付ける必要があります。今回は、離乳食から幼児食の時期に食べさせてはいけない食品や、注意して食べさせる必要のある食品についてお伝えします。
はちみつは1歳を過ぎてから!
ボツリヌス症とは、ボツリヌス菌という細菌がつくる毒素によって起きる中毒症状のことです。1歳未満の赤ちゃんがボツリヌス菌の芽胞(カビの胞子のようなもの)を食べると、つくられた毒素によって、ボツリヌス菌による症状を起こすことがあります。これが、乳児ボツリヌス症です。症状はさまざまですが、便秘や鳴き声が変わって元気がなくなったり、重症になると呼吸困難になることもあります。
市販されているはちみつの場合、包装前に加熱処理が行われていないため、ボツリヌス菌の芽胞が含まれていることがあります。ボツリヌス菌の芽胞は熱に強く、通常の加熱調理では死滅しません。1歳未満の赤ちゃんの離乳食にはちみつを使うことは、絶対に避けましょう。
きな粉やナッツ類は気管に入らないように!
大豆を炒って粉にしたきな粉は、消化吸収もいいので離乳食初期のころから使うことができます。ただし、きな粉が粉末の状態のままだと、赤ちゃんの気管に粉が入り、赤ちゃんがむせることがあります。きな粉は、必ず湿らせた状態で赤ちゃんにあげましょう。
また、ナッツ類は、赤ちゃんがかまずにそのまま飲み込んだり、吸い込むことがあります。細かく刻んだり、すりつぶしてからあげるようにしましょう。
おもちはのどにつまるので注意!
正月に食べるおもちや白玉だんごの場合、のどにつまらせて窒息する危険性があります。とくに奥歯がしっかり生えそろう2歳ぐらいまでは、そのままの状態で赤ちゃんにあげるのはNG。小さく刻んだり、歯茎でかんでつぶせるぐらいのやわらかさにしたものを、赤ちゃんに食べさせるようにしましょう。
白玉だんごと同じぐらいの大きさのミニトマトも要注意。のどにつまらせて窒息する危険性があるため、赤ちゃんが丸飲みしないように、刻んだものをあげるようにしましょう。
もちをのどに詰まらせることによる窒息事故は、乳幼児期にも多く発生します。「ちょっと心配だな」と思うような食品を食べさせるときは、必ず大人が赤ちゃんのそばにいること。食べる様子を、そっと見守るようにしましょう。
※参考文献、資料
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
「食物アレルギー診療ガイドライン2016」(協和企画)
「食物アレルギーの栄養指導」(医歯薬出版株式会社)
「図解食物アレルギーの悩みを解消する!最新治療と正しい知識」(日東書院)
「食物アレルギーをこわがらない!はじめての離乳食」(主婦の友社)
著者:管理栄養士 富田チヤコ
管理栄養士で一男一女の母。大学卒業後、専業主婦時代に離乳食作りから食の重要性に気付き、管理栄養士・フードコーディネーター・消費生活コンサルタントの資格を取得。書籍や女性誌の栄養監修など、主に健康と食のジャンルを中心にフードライターとして活動中。