台風のシーズンが終わりつつありますが、「火災保険で家の修理ができますよ!」と勧誘を受けたことはありませんか?しかし、家の修理のすべてが保険でできるわけではありません。
数年前から増加傾向にある住宅修理のトラブルに巻き込まれないように、火災保険の内容と補償範囲についてご説明します。
1.損害保険は偶然で急激に起きた事故や災害が支払い対象
損害保険は、火災保険や自動車保険などの“もの”に対して、偶然で急激に起こった事故や災害などで損害を受けたときに支払われる保険のことです。そのため、火災保険で家の修理ができるのは、急激に起こった火災や自然災害などに対して損害を受けた場合です。
老朽化や経年劣化で修理が必要になったとしても、偶然で急激な災害ではないため、原則火災保険の対象とはなりません。修理業者によっては、「古くて傷んだところも台風のせいにして、保険金を請求しましょう」という事例もあるようですが、実際の理由と異なる理由で保険金を請求すると、保険金詐欺に該当する可能性もありますので、絶対にウソの理由で保険を請求することがないようにしましょう。
保険金の手続きや支払いをするのは修理業者ではなく保険会社ですので、修理をする前に保険会社に損害の状況や保険の請求ができるかどうかを確認するようにしましょう。
2.保険金の支払い対象は保険証券を確認
“火災保険”は、住宅に対する災害・事故に対する保険の総称で、実際には火災以外の災害を対象とする保険もあります。一般的な火災保険でも多くの場合、火災だけでなく、落雷、風災、雪災なども対象となりますし、補償範囲を広げた保険に加入している場合は、水災、盗難、建物外部からの物質の落下や衝突なども対象となることもあります。
また、地震・津波・噴火についての損害は、火災保険と合わせて契約する地震保険に加入している場合に保障の対象となります。
火災保険については、住宅を購入したり、新しい賃貸物件に入居したりする際に加入しますが、加入時には内容を確認したうえで手続きをしたものの、しばらくしてその内容を忘れてしまうケースも少なくありません。地震保険に加入している人は、10月~11月に年末調整・確定申告に使う控除証明の通知が届きます。この機会に合わせて、ご自身の加入している火災保険・地震保険の内容を確認する機会にしていただければと思います。
また、修理業者とトラブルになった場合、なりそうな場合はお住まいの都道府県の消費生活センターに相談してみてください。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。