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『コウノドリ』意外と知らない「不育症」とは?第9話を振り返る【後編】

こんにちは!助産師のREIKOです。TBS系金曜ドラマ『コウノドリ』の第9話の振り返り 前編では、星野 源さん演じる四宮先生と塩見省三さん演じる四宮先生のお父さま、晃志郎とのエピソードから地域の産科医療についてお話させていただきました。今回は、もうひとつのエピソード「不育症」について解説したいと思います。

 

こんにちは!助産師のREIKOです。TBS系金曜ドラマ『コウノドリ』の第9話の振り返り 前編では、星野 源さん演じる四宮先生と塩見省三さん演じる四宮先生のお父さま、晃志郎とのエピソードから地域の産科医療についてお話させていただきました。今回は、もうひとつのエピソード「不育症」について解説したいと思います。

 

「不育症ですか?」

野波麻帆さん演じる過去2回の流産経験がある妊婦、篠原沙月が、綾野 剛さん演じるサクラの外来に診察に訪れます。超音波検査の結果、胎児心拍は確認できず、流産という診断が。沙月は「3回も流産するなんて私のせいですか?」と自分を責め、自分は不育症なのではないかとサクラに尋ねます。

 

「不育症」とは、妊娠はするものの、流産や死産を繰り返して赤ちゃんを抱くことができない場合をいいます。2回以上流産を繰り返す場合を「反復流産」、3回以上流産を繰り返す場合を「習慣流産」といいます。不育症に関して、何回以上流産や死産になると不育症であるという明確な定義はありませんが、2回以上の流産や死産の既往があれば不育症として扱われることが多いようです。またそれぞれの頻度は、1回の流産が約15%、習慣流産が1~2%、不育症が5%程度と推定されています。

 

不育症の原因は?

自分が不育症なのではないかという沙月は、不育症の検査を希望します。一般的に、2回以上流産してしまった段階で、不妊症の検査や治療を始めることが多いようです。

 

不育症の主な原因として考えられているものに、ご夫婦の染色体異常、子宮奇形、高リン脂質抗体症候群があります。そのほかにも、胎児の染色体異常、糖尿病などの内分泌異常があります。そして、不妊症の原因の多くは胎児の染色体異常、ついで原因不明で、夫婦を調べて不育症の原因が判明するものは約3割といわれています。

 

不育症の検査では、これらの原因がないかどうか、血液検査や超音波検査などをおこなっていきます。
 

検査の結果は?

沙月の不育症の検査結果は、どれも異常なし。不育症の原因がわかって治療した場合も、原因不明で治療しなかった場合も妊娠できる確率は同じとサクラはいいます。

 

「不安ですよね……」というサクラに対し、沙月は「妊娠してないってことがわかると、少しホッとする自分がいて。赤ちゃんが宿ることがこわくて。こんなんじゃ母親になる資格ないですよね」と胸の内を明かし、子ども好きな夫にも申し訳ないといいます。

 

それに対して高橋光臣さん演じる沙月の夫・修一も、なにもしてあげられなくて……と沙月にいいます。修一も沙月に寄り添おうと沙月を励ましたり、沙月が好きなBABYの曲を電子ピアノで練習したりしていましたね。こころもからだも傷ついている女性をどう支えていったらいいのか、悩む男性も多いかと思います。傷ついた女性に元気になってもらいたい、前を向いてもらいたいと思うかもしれませんが、まずは女性の気持ちに寄り添い、共感していくことが大切なのではないかと思います。

 

「忘れなくていい」

不育症の検査を前に、吉田 羊さん演じる助産師の小松留美子と話をする沙月。沙月は病院のロビーにいた子どもを見て、1人目の子が無事に生まれていればあのくらいだった、いろいろ忘れられなくて……といいました。また、修一がサクラのもとを訪れたとき、自分の役目は忘れさせてあげることなんでしょうけど……といいました。

 

それぞれ状況は違いますが、小松さんもサクラも発した言葉は同じでした。”忘れなくていい”。無理に忘れようとすればするほど苦しくなると思います。悲しみと向き合い、悲しい気持ちを表出できるような場所や、その悲しい気持ちにただ寄り添ってくれる存在が大切なのではないかと私は思っています。それは妻に限らず夫にも言えることのように感じます。

 

「本当につらい経験をした2人だからこそ、大丈夫! だって篠原さんにはこんな近くに世界一の味方がいるじゃないですか!」。サクラのように容易には「大丈夫!」となかなかいえませんが、篠原夫婦と向き合い寄り添っているサクラだからこその言葉だったのではないでしょうか。

 


その後、沙月のおなかに新しい命が宿りました。まだまだ心配は尽きないとは思いますが、篠原夫妻がこの赤ちゃんを抱っこできるといいなと思いました。そして、『コウノドリ』も残すところあと2回! 四宮先生の選択も気になりますが、第10回は出生前診断がテーマのようです。こちらもいろいろ考えさせられるテーマですが、放送を楽しみに待ちたいと思います。


著者:助産師 REIKO

医療短期大学専攻科卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

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