こんにちは!助産師のREIKOです。3月16日、厚生労働省は不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての調査結果を発表し、働きながら不妊治療をおこなっている方の現状が浮き彫りとなりました。
厚生労働省がおこなった調査とは?
今回、厚生労働省は、企業アンケート調査、企業ヒアリング調査、労働者アンケートの3つの調査をおこないました。
この調査で、不妊治療と仕事の両立に関する実態や問題点、企業における両立支援の状況などの把握と分析をおこなうのが目的ということです。
不妊治療をしたことがあると答えた人の割合は12%
男女労働者2,060 人を対象におこなわれたアンケート調査で、「不妊治療の経験がある」と回答した方は、265人(12%)、「近い将来予定している」と回答した方は33人(2%)でした。
男女別でみてみると、アンケートに回答した男性1,098人中、治療したことがある男性は89人(8%)、近い将来予定している男性は10人(0.9%)でした。そして、女性の場合は、アンケートに回答した女性962人中、治療したことがある女性は176人(18%)、近い将来予定している女性は23人(2.4%)でした。
回答者は男性の方が多かったにもかかわらず、不妊治療をおこなっている、あるいは近い将来予定している方は女性の方が多いという結果になりました。
不妊治療と仕事の両立は難しい
不妊治療をしたことがあると答えた方のうち、不妊治療と仕事が「両立できず仕事を辞めた」と回答した方は42人(16%)でした。また、不妊治療と仕事が「両立できず不妊治療をやめた 」と回答した方は29人(11%)、不妊治療と仕事が「両立できずに雇用形態を変えた」と回答した方が21人(8%)いました。
一方、不妊治療と仕事を「両立している」と回答した方の87%が、「両立が難しい」と回答していました。その理由として、通院回数の多さや精神的負担、仕事の日程調整の難しさなどが上位にあがっていました。
不妊治療と仕事の両立のために
不妊治療と仕事を両立する上で利用した制度について、119人(40%)の方が「年次有給休暇」と回答していました。
また、不妊治療と仕事を両立する上で会社や組織に希望する制度は、「不妊治療のための休暇制度」「柔軟な勤務を可能とする制度」「有給休暇など現状ある制度を取りやすい環境作り」などが上位を占めていました。
有給休暇を利用しながら、不妊治療をおこなっている方も多くいらっしゃいましたが、有給休暇は日数が限られていたり事前に申請が必要だったりと、臨機応変にお休みがとれないというケースも多いのではないでしょうか。不妊治療と仕事を両立していくためには、本人たちだけでは解決できないこともあると思います。次回は、企業側に焦点をあてた、調査結果についてみていきたいと思います。
※出典:厚生労働省「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査研究事業 調査結果報告書」
著者:助産師 REIKO
医療短期大学専攻科卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。