離乳食が始まってしばらくすると「手づかみ食べ」が始まります。育児書などにも「手づかみ食べは成長において重要」との記述があり、当然のようにわが子もするものだと思っていました。ところが、私の息子は1歳になっても手づかみ食べをしなかったのです。
手づかみ食べをせず不安な日々
1歳を過ぎ、周りの赤ちゃんはどんどん手づかみ食べを始めていました。手でつかんで、時にはぐちゃぐちゃにしながらも食べることを楽しんでいるように見えて、どうして息子は自分で食べようとしないのだろう、成長に問題があるのだろうかとヤキモキしていました。
ベビーせんべいなどのおやつはちゃんと手で持って食べます。ところが食卓について離乳食を前にすると、手を出そうとしないのです。手で食べるように促してもポイと放り投げたり、イヤイヤと拒否されたり。おなかが空いていないわけではなく、私がスプーンによそって口元に持っていくとパクパクと食べてくれました。
とにかく息子に手づかみで食べてほしい、自分の手でパクパクと食べるところが見てみたい! その一心で、小さく丸めてつかみやすくしたり、息子の好きなキャラクターの形にしたりと、あれこれ試しました。それでも効果はありませんでした。
保健師さんの意外なアドバイス
ついに子育て支援センターの保健師さんに相談に行きました。息子に手づかみ食べをさせるためのアドバイスが欲しかったのです。ところが保健師さんからは「本人がしたくないなら、させなくていいのよ」と、意外なひと言が。
保健師さんが言うには、赤ちゃんにも個性があり、食べることが大好きな子もいれば、まったく興味を示さない子もいる。甘えん坊で、自分で食べるよりも食べさせてもらうのが好きな子もいる。お母さんに食べさせてもらってちゃんと栄養を摂っているなら、手づかみ食べにこだわらなくてもいい、とのことでした。「手づかみ食べをさせなくてはいけない」と、思い込んでいた私にとっては目が覚めるような思いでした。
成長してどうなかったというと……
その後、手づかみ食べをさせることは諦め、私がアーンと食べさせる日々が続きました。スプーンやフォークを使えるようになっても食べるスピードは遅く、こちらが食べるように促さないと食事が終わらないほど。
イライラしたこともは何度もありましたが、そのたびに保健師さんの言葉を思い出し、「これもこの子の個性。食べるのに時間はかかっても必要な栄養を摂れているならよしとしよう」と割り切ってきました。
そして6歳になった今も、相変わらず食事には消極的です。食も細いし、おなかが空いたから仕方なく食べるかといった感じで、同じ年頃の男の子のようにガツガツと食べる姿は見たことがありません。赤ちゃんのうちから個性はいろいろ。当たり前ですが、みんなが育児書通りに育つわけではないので、あれほど悩む必要はなかったと今になって実感しています。
一児の男の子を育てるワーキングマザー。病気ネタやママ友ネタなど、ペンネームでリアルな体験談を執筆中。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。