どんなに気をつけていても、子育て中の疲れやストレスは少しずつたまっていってしまうもの。その都度、発散できればいいのですが、忙しくて思うように感情のコントロールができないことだってあります。
今回は、そんな急なイライラに対する応急処置の方法を考えていきましょう。
身近にいる人からイライラは伝染する?
実は“イライラ”はとても伝染しやすい感情なんです。自分は機嫌よく過ごしていたのに、家族の誰かがイライラとしていると、それが伝わってきて嫌な気持ちになった覚えはありませんか?
あるいは、子どもがしつこくぐずって、つい「どうしたいの!?」と大きな声で応戦してしまうようなとき。これも本来は自分から発生した“怒り”ではなく、子どもの感情を受け取って一緒に怒ってしまっているものです。
この「誰かのせいでイライラしている」状態は、自分の感情の主導権を誰かに奪われてしまっているということでもあります。共感能力が高いとも言えますが、その誰かと自分の感情にきちんと線引きをすることが必要です。
イヤイヤ期を過ぎても……成長の過程に「反抗」はつきもの
子どもはまだ感情のコントロールがうまくありません。反抗やぐずりをまともに受け止めずに、「成長の段階だから」「そういう年ごろだから」と考えることで、楽になるときもあります。親まで一緒になって不機嫌にならないようにしましょう。
ただ、そのときに気を付けたいのは、子どもをあしらっているように感じさせないこと。目を見て向き合って話をすれば、そんなふうに感じさせなくて済むのではないでしょうか。
今にも怒りが溢れ出しそう! 衝動を静めましょう
感情のコントロールがいつもうまくいくわけではありません。日ごろから気を付けているつもりでも、子どもや誰かから、言われたくないことや心ない言葉をかけられたとき……。ふとした瞬間に、怒りが溢れ出てしまうことも。
怒りの限界が襲ってきたとき、まずは自分を静める習慣を身につけましょう。衝動的な怒りの感情は6秒でおさまるといわれています。怒鳴って後悔する前に、まずは6秒をやり過ごしましょう。
・吐く息を意識して。呼吸リラクゼーション
怒ると無意識のうちに呼吸が浅くなります。とくに「つい怒鳴ってしまう」という人は、怒鳴る代わりにゆっくり息を吐くことを意識してください。
・怒りの反射を遅らせるグラウンディング
怒りが溢れると次々とイライラを膨らませる言葉が浮かんできます。そんなとき、あえて目の前に見えているほかの物に意識を集中させます。ペンやコップ、自分の爪でもOK。意識を1点に集中させてやり過ごす方法です。
そのほかにも、いったんその場から離れる「タイムアウト」や、自分が安心できる言葉を用意しておく「コーピングマンドラ」などの方法があります。瞬間的に怒りが溢れてしまいそうなとき、自分に合った方法を知っておくと、とっさのときに役立ちます。
篠 真希先生からのアドバイス!
子どもといると、クールダウンする間をとることさえ難しいときも多いでしょう。怒りを爆発させないためには、過去のことを考えたり(「また? 毎日言ってるのに!」)未来のことを心配したり(「いつになったら自分でできるの?」)せずに、「今、目の前のこと」だけに集中するようにするといいですよ。
ここまでイライラの正体や回避の方法、応急処置などをお伝えしてきました。シリーズ最後となる次回は、実際に子育て中のママにアンケートを実施。どんなときにイライラと感じるのか? 自己流イライラ解消法など、リアルな意見をお届けします。(TEXT:いずみかな)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会1期生。アンガーマネジメントファシリテーター。大学卒業後、総合商社秘書室勤務。その後、7年にわたる海外での子育て経験を経て、アンガーマネジメントを学ぶ。日本で初めて「母親のためのアンガーマネジメント講座」を開催。著書に『子育てのイライラ・怒りにもう振り回されない本』(すばる舎)など。