結婚が決まり、挙式までにはさまざまな段取りを踏んでいきますが、その中に「ブライダルチェック」というものがあるのを知っていますか? その名称からは花嫁さんが何かチェックをするように思えますが、実は男性、女性双方が妊娠が可能であるかどうか身体的機能のチェックをおこなうというものです。今回は、ブライダルチェックの内容について解説します。
ブライダルチェックとは何?
現在、医療技術の進歩によって、おなかの中の赤ちゃんの様子や出生前の赤ちゃんの遺伝子的な異常の有無を確認することができるようになりましたが、その前段階の、正常な妊娠が可能であるかどうかを検査することも可能となっています。このような結婚前に受ける検査を「ブライダルチェック」と言います。
ブライダルチェックの検査内容
女性がブライダルチェックを受ける場合には、全身の健康状態はもちろん、子宮や卵巣の状態、そして性感染症などについても検査します。内診などの検査もありますので、やはり一般的な内科よりは婦人科のほうが受診に適しているでしょう。
問診
診察を受ける前に問診票(初経の年齢や毎月の生理やおりものの様子、月経痛や不正出血の有無、出血量、既往歴、これまで妊娠したことがあるかどうかなど)に記入します。その内容に沿って基本的な問診がおこなわれます。
診察
問診後に内診をおこないます。はじめは視診によって、外性器などに見た目の異常がないかどうかを確認します。
次に腟の状態を調べ、おりものの状態やポリープの有無を確認します。その際におりものや子宮頚管の分泌物を採取し、これらの検体の顕微鏡検査や培養検査をおこなって、淋病やクラミジア、そして腟カンジダ症や腟トリコモナス症などの性感染症を発症していないか、あるいは子宮頸がんの可能性はないかを検査します。
そして内診によって腟や子宮に異常がないかを確認し、最後に経腟超音波検査で子宮や卵巣の状態をチェックします。
採血
血液検査では貧血の有無や肝臓や腎臓の機能が正常かどうかをみます。また風疹の抗体を持っているか、B型肝炎やC型肝炎、梅毒やHIVなどに感染していないかも検査します。さらに妊娠に関連するホルモンの値などもチェックします。
このように基本的には、問診→内診→血液検査という流れになります。
なお、施設によっては乳がん検査などもおこなっている所もありますので、事前にどのような検査内容なのかを問い合わせておくとよいでしょう。
検査自体は1時間もかからずに終わりますが、一部の血液検査や培養検査などの結果が出るまでには1週間ほどかかります。その際に何らかの病気が見つかり、治療の必要性が出てくる場合もありますので、もしブライダルチェックを受けたいと思っているのなら結婚式の日程が決まった段階で早めに受診することをおすすめします。
ブライダルチェックの費用
ブライダルチェックで受ける検査は、保険適用外となります。費用は医療機関により違いがありますので、事前に確認をしましょう。
男性のブライダルチェックについて
ブライダルチェックは女性だけがおこなうものではありません。
結婚後に不妊に悩んだ際には、まずは女性のほうからその原因を探っていく傾向にありますが、男性側の問題の場合もありますので、結婚前に男性もブライダルチェックを受けることも大切です。
血液検査や性器の視診などは女性の場合と同じですが、男性の場合は精子の状態を診る検査があります。メンズクリニックあるいは泌尿器科を選ぶとよいでしょう。費用は事前に医療機関に問い合わせて確認をするのがよいでしょう。
まとめ
結婚がすぐに子どもを持つことを目的にしているわけではありませんが、妊娠の可能性を知るために、ブライダルチェックを活用してみてもいいと思います。
順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂大学医学部附属静岡病院総合周産期母子医療センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。