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無痛分娩の良さは痛みの軽減だけじゃない!?メリット・デメリットを解説

この記事では、無痛分娩について医師監修のもと、解説します。無痛分娩とは、麻酔の薬を使って陣痛の痛みを少なくするお産の方法です。基本的には、お母さんの意識がある状態でおこなわれます。陣痛の痛みは少なくなりますが、おなかが張っていることはわかりますので、いきむことはお母さんがしていきます。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師天神尚子 先生
産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長

日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。
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無痛分娩を予定している妊婦さんのイメージ

 

お産を経験したことのある人から話を聞いて、痛みに耐えることができるのか心配になり、痛みを少なくしてくれる「無痛分娩」に興味がある方も多いのではないでしょうか。今回は、「無痛分娩」のメリットやデメリット、費用などについてお話ししていきたいと思います。

 

無痛分娩とは

無痛分娩とは、麻酔の薬を使って陣痛の痛みを少なくするお産の方法です。

 

基本的には、お母さんの意識がある状態でおこなわれます。陣痛の痛みは少なくなりますが、おなかが張っていることはわかりますので、いきむことはお母さんがしていきます。

 

麻酔を使用してお産することには変わりないのですが、まったく痛みを取り除くわけではないということから、「和痛分娩」と表現している産院もあります。ただ、無痛分娩と和痛分娩の明確な違いについて定義されていないため、同義語として使われることが多くあります。

 

無痛分娩の麻酔の種類(硬膜外麻酔・静脈麻酔・陰部神経ブロック)

■硬膜外(こうまくがい)麻酔

背中に痛み止めの注射をしたあと、硬膜外腔という場所に細いチューブのカテーテルを入れて麻酔の薬を流していきます。その後の麻酔の薬を管理する方法は産院によって違います。

 

1つ目の管理方法は、シリンジポンプという器械を使い、決められた麻酔薬の量を持続的に流していく方法です。持続的に流していくことで常に麻酔薬が体の中に入っている状態になります。

 

2つ目は、PCEA(patient-controlled epidural analgesia)という器械を使って麻酔薬を管理するものです。痛みが強くなったときに、お母さん自身がボタンを押すと麻酔薬が自動的に投与されます。

 

■静脈麻酔

硬膜外麻酔は、出血しやすい人や、針を刺す部分が感染している、極度の脱水を起こしている場合は使うことができません。その場合、静脈麻酔が使われることがあり、点滴で麻酔薬を投与していきます。

 

■陰部神経ブロック

陰部神経ブロックは、子宮の入り口が全部開き、赤ちゃんの頭が徐々に下がってきたことを確認しておこなわれます。坐骨棘(ざこつきょく)という骨の後下側、腟壁の中にある神経に局所麻酔をしていきます。そうすると赤ちゃんが最後に通る場所の緊張が緩み、柔らかくなるといわれています。

 

硬膜外麻酔では、麻酔薬が胎盤を通過しないので赤ちゃんへの影響はないですが、静脈麻酔ですと胎盤を通って、赤ちゃんへ移行してしまいます。場合によって、生まれた赤ちゃんが「スリーピングベイビー(赤ちゃんに麻酔が効いてしまい、呼吸がうまくできなくなる)」と呼ばれる状態になりますが、薬の影響がなくなると元気になっていきます。

 

無痛分娩の流れ

産院によって、陣痛が来てから入院して無痛分娩をおこなう場合と前日に入院し、計画分娩をおこなう場合があります。

 

計画分娩では、一般的に前日に入院し、子宮頸管が開いていない場合は、ラミナリア(海藻で作られている棒状のもので、子宮の入り口に入れるとゆっくりとふくらみ子宮の入り口を広げてくれるもの)やバルーン挿入など、子宮頸管を広げる処置をおこなうことがあります。そして翌日、陣痛促進剤を使って誘発分娩をおこないます。

 

いつ麻酔薬を使うかは、産院や医師によって違いますので、事前に確認をしておくといいかもしれません。硬膜外麻酔は前日にカテーテルを挿入する産院もあれば、子宮口が開いてきた時点でカテーテルを入れるなどさまざまです。最近では、妊婦さんが要望した時期に合わせて硬膜外麻酔を挿入するようです。

 

硬膜外麻酔や静脈麻酔をおこなう際は分娩室で経過を見ていきます。分娩監視装置を装着して陣痛やおなかの中の赤ちゃんの状態をモニタリングするだけでなく、お母さんにも心電図モニターなどを装着して全身状態を観察しながら、お産の経過を見ていきます。

 

無痛分娩のメリット・デメリット

お産の痛みを軽減してくれる無痛分娩ですが、それ以外にもメリットがありますし、デメリットもあります。

 

メリット

・痛みを少なくすることができる
・痛みが少なくなることから陣痛中の体力を温存することができ、産後の回復が早くなる
・痛みでお産を覚えていないということもなく、自分でいきんで産める
・緊急帝王切開へとなったときも、硬膜外麻酔をしているとスムーズに麻酔をかけることができる

 

デメリット

・薬剤の副作用が出る可能性がある
・子宮の入り口が開いてから、お産が長くなりやすい
・吸引分娩や鉗子分娩という器械を使ってのお産になりやすく、会陰切開や会陰裂傷の傷が大きくなったり出血が多くなったりする恐れがある

 

無痛分娩の費用

無痛分娩は保険適応ではないため、麻酔の分の費用は自己負担となります。無痛分娩の費用は、産院によってさまざまで、数万~20万円ぐらいです。

 

また前日入院することや子宮頸管を広げる処置、陣痛促進剤を使った場合などは、その分が加算されますので、気になる方は大体の値段を確認しておくといいと思います。

 

まとめ

無痛分娩は、お産の痛みを少なくする分娩方法ですが、副作用が出る場合もあります。気になる方は、きちんと医師から説明を受け、納得をしたうえで無痛分娩をおこなうかどうかを決めていきましょう

 

 

◆関連動画 出産ドキュメンタリー

 

 

 

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