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陣痛ってどうなの?! 陣痛の流れや病院に行くタイミングを解説します!

この記事では、専門家監修のもと、正常な陣痛、陣痛の流れ、病院に行くタイミングについて解説しています。これからお産を迎えるという方は、予習しておきましょう!

陣痛のイメージ

 

臨月に入ると「あともう少しで赤ちゃんに会える!」とワクワクしている人も多いはずです。その反面、「陣痛ってどんなものだろう?」と不安になることもあるでしょう。少しでも安心して、前向きな気持ちで出産に臨むためには、陣痛のことを予め知っておくことが大切です。今回は陣痛について、陣痛の流れや痛みの強さ、また陣痛が起こったときの対処法や病院に行くタイミングについて紹介していきます。

 

陣痛と陣痛周期について

陣痛は、医学的には繰り返し起こる子宮筋の収縮をいいますが、一般的には子宮の収縮に伴う痛みのことを指しています。子宮の収縮はずっと続くものではなく、収縮して痛みを感じる時期(陣痛発作)と収縮が収まり、痛みが落ち着く時期(陣痛間欠)が交互に訪れます。この陣痛発作と陣痛間欠を合わせたものが「陣痛周期」です。

 

正常の陣痛について

正常な陣痛の場合、お産が進むにつれて陣痛が徐々に強くなり(子宮内圧の上昇) 、発作は長く続き、陣痛周期は短くなっていきます。陣痛が、短い周期で繰り返すことによって子宮口が広がり、赤ちゃんが子宮から出て狭い骨盤や産道を通過するのを助けてくれるのです。

 

「子宮口全開大」という子宮口が10cm開くころの陣痛周期は2分、そのうち発作は1分ほどになります。一方、痛みが弱く、陣痛周期が長くなると「微弱陣痛」と呼ばれる状態となり、分娩が進まなくなることがあります。逆に、子宮の収縮が強くなりすぎたり、陣痛周期が短くなりすぎたりすると「過強陣痛」となって子宮破裂や胎児機能不全などのリスクが高くなります。陣痛は適度な強さや適切な周期で繰り返すことが重要です。
 

子宮口開大度と子宮内圧、陣痛周期、持続時間の図

 

陣痛の流れについて

陣痛は「出産のときに起こるもの」というイメージがありませんか。確かに、出産のときの陣痛は赤ちゃんを産むために欠かせないものです。しかし、出産の準備として妊娠中に起こるものやお産が終わった産褥期(さんじょくき)に起こるものもあり、それぞれ異なる役割を果たしています。陣痛を時期によって「妊娠陣痛」「分娩陣痛」「後陣痛(こうじんつう)」の3つに分け、順に見ていきます。

 

妊娠陣痛

妊娠中に起こる子宮収縮は通常、収縮が弱いのでそれほど痛みとしては感じないでしょう。ただし、妊娠陣痛のうち、前駆陣痛(ぜんくじんつう)は強い痛みを感じることもあるので、「お産が始まったと思った!」と勘違いしてしまう人も少なくありません。

 

・前駆陣痛(分娩の前兆)
前駆陣痛とは、本格的な陣痛(分娩陣痛)が始まる前、一般的には臨月に入り分娩が近づいた時期にみられる陣痛です。前駆陣痛は分娩陣痛と違い、周期が不規則で、痛みも強くなったり、弱くなったりして、多くはしばらくすると収まってしまいます。また、前駆陣痛の場合、多くはおしるし(粘っこい少量の出血)がなく、腰の痛みをあまり感じないなどの点も分娩陣痛と異なる点です。

 

前駆陣痛は痛みの感じ方も、前駆陣痛から分娩になるまでの時間も個人差があり、前駆陣痛が始まって数日で分娩になった人もいれば、1週間以上かかったという人もいます。すぐに分娩につながらないとしても、前駆陣痛は子宮収縮の練習として役立ち、さらに、子宮の出口あたりを軟らかくするなど、お母さんの体を分娩に適した状態にしてくれるものです。

 

分娩陣痛

分娩の開始から出産を終える(分娩終了)までの間に起こる陣痛のことです。分娩陣痛は、分娩第1期から第3期までの段階ごとに役割が異なります。

 

1.開口期陣痛(分娩第1期) 
陣痛が規則的になり、1時間に6回以上、または陣痛周期が10分以内になったら分娩の開始です。分娩開始から子宮口全開大までを分娩第1期と呼んでいます。

 

開口期陣痛 は弱い子宮収縮で、発作が短く、間欠の方が長い陣痛周期で始まり、次第に発作が長く、陣痛周期は短くなっていくのが一般的な流れです。開口期陣痛が徐々に強くなり、繰り返し起こることによって子宮口が開いていきます。

 

分娩第1期は、分娩期の中でもっとも長い期間です。個人差が大きいのですが、平均すると初産婦は10~12時間程度かかり、経産婦でも4~6時間ほどかかります。そのため、消化のよいものを少し食べ、陣痛が落ち着いている間には少しでもリラックスできるように工夫して体力を温存することが重要です。また、分娩が進み赤ちゃんが下りてくると、思わずいきみたくなります。そのときは呼吸に集中し、できるだけいきみを逃しましょう。 

 

2.娩出期陣痛(分娩第2期)
分娩第2期は、子宮口が全開大になってから赤ちゃんが生まれるまでの期間です。分娩第2期も強い陣痛が長く続き、短い時間に何度も繰り返します。また、娩出期陣痛(べんしゅつきじんつう)とともに腹圧がかかることで、赤ちゃんを押し出すための大きな力となってくれます。分娩第2期の娩出期陣痛を乗り越えれば、いよいよ赤ちゃんの誕生です。

 

分娩第2期にかかる時間は第1期に比べて短く、初産婦は1時間半~2時間程度、経産婦は30分~1時間程度です。 

 

3.後産期陣痛(分娩第3期)
分娩第3期は赤ちゃんが誕生してから、胎盤や臍帯、卵膜などが出るまでの期間をいいます。後産期(こうさんき)陣痛は娩出期陣痛に比べれば弱い陣痛ですが、胎盤などの娩出に役立ちます。分娩第3期にかかる時間は初産婦では15~30分程度、経産婦の場合は10~20分ほどです。

 

後陣痛

産褥期に起こる不規則な陣痛のことです。

 

・後陣痛(産褥期) 
産褥期のはじめ、産褥2~3日までに起こる不規則な子宮収縮のことを後陣痛(こうじんつう)と呼びます。後陣痛は子宮を元の大きさに戻し(子宮復古/しきゅうふっこ)、また、子宮の胎盤が剥がれた部分からの出血を止めるうえで重要なものです。

 

初産婦さんよりも経産婦さんの方が痛みを強く感じる傾向があります。経産婦さんの子宮は初産婦さんより大きくなる傾向があるので、元に戻すのに強い収縮が必要になるのが1つの理由です。

 

陣痛がきたときの対応について

初めての出産の場合、「陣痛がきたらどうしよう」と不安がよぎるときもあるでしょう。正常な陣痛なら、強い陣痛が急にくるわけではないので落ち着いて行動することが大切です。

 

なかには、慌てて病院に連絡したところ「初産で家も近いようだし、シャワーや軽い食事を済ませてから5分くらいの間隔になったら来てくださいね」といわれ、焦りすぎの自分に気づいたという方もいます。お産の経過はさまざまなので早く進む方もいますが、いずれにしても落ち着いて出産に臨むことが重要です。

 

「陣痛かな?」と思うような痛みが現れたら、まず陣痛の間隔を測りましょう。痛みが始まった時間と痛みが続く時間をメモして、陣痛がどのくらいの間隔で来ているかを測ってください。病院に連絡をしたときに、「いつごろから規則的になったか」「現在、どのくらいの間隔か」などを聞かれるので、メモをしておくと落ち着いて答えられます。また、里帰り出産などで遠くにいる旦那さんの立ち会いを希望している場合は、距離にもよりますが陣痛が規則的に起こるようになったら早めに連絡しておくとよいでしょう。

 

<注意してほしいこと>
陣痛の痛みだけでなく、おなかの張り具合や出血、破水などにも注意しましょう。急な激痛や持続的な痛み、おなかが板のように硬くなった場合、また、おしるし(産徴)が月経よりも多い、血液の塊が出た、胎動を感じなくなったなどの場合はすぐに受診してください。

 

破水が起こったときも陣痛の間隔が短くなるのを待たずに、すぐに病院に連絡して診てもらいましょう。入浴やシャワーを控え、大きめの清潔なナプキンを当てて感染を防ぐ必要があります。

 

もし、前駆陣痛だけで気になる症状もなければ普段通りに過ごし、睡眠をしっかりとって出産に必要な体力を備えておきましょう。また、前駆陣痛はお産が近づいているサインです。遠出は控えたほうが良いでしょう。

 

陣痛が始まってから病院に行くタイミングについて

陣痛が始まってから分娩になるまでの時間は初産婦さんと経産婦さんで異なります。病院から「早めに来るように」など、特に指示を受けていなければ以下の時間が1つの目安です。

 

〇初産婦さんの場合:陣痛の間隔が10分おき

〇経産婦さんの場合:陣痛の間隔が15分おき

 

なお、病院で開催している母親学級や妊娠健診の際に、入院の目安や陣痛の連絡をする際に伝えてほしいことなどを説明してくれたり、配布された資料やホームページに記載してあったりします。念のため、確認しておきましょう。

 

<早めに受診する必要があるのは?>
以下のような場合には、早めの受診をおすすめします。

 

・病院から遠く離れた場所に住んでいる
・病院に行くまでに時間がかかりそうなとき(通勤ラッシュ時など)
・「子宮口が開き始めている」と言われている
・経産婦で陣痛から分娩までの時間が短かった
・逆子(骨盤位)の場合
・妊娠糖尿病などの妊娠合併症がある
・「帝王切開になる可能性もある」と言われた
・前回の分娩が帝王切開だった
・子宮筋腫の核出術をしたことがある
・胎盤の位置が低いと言われた など

 

まとめ

初めての出産が近づくと、「陣痛にちゃんと気がつくかな?」「すごく痛かったらどうしよう?」と、いろいろなことが心配になるでしょう。

 

経験したことがなく、しかも生命の誕生という特別なできごとに臨むのですから不安になると思います。不安になったら誰かとおしゃべりしたり、呼吸法の練習をしたりしながら出産の日を待ちましょう。

 

陣痛のために痛みがあるのはつらいことですが、陣痛の波を一つひとつ乗り越えることで赤ちゃんの誕生へと一歩、一歩、近づいていきます。 病院に行くときは「ママも頑張るから、一緒に頑張ろうね」と赤ちゃんに話しかけるなど、自分を勇気づける言葉を意識して出産に臨むと良いでしょう。

 


監修者:助産師・心理士 Miyumi

国立医療短大助産専攻科を卒業し、大学病院の周産母子部や助産専攻科の助手として働いた後、母性心理を学ぶために大学院で心理学を専攻。大学院修了後は、主に国立大学で精神看護の講師として教育に携わり、妊産褥婦の心理や家族支援などをテーマに研究をしていました。現在はこころとからだの健康相談室を開業し、社会保険労務士の資格も活かして育児と仕事の両立支援なども行っています。

 

※参考:『病気がみえるvol.10 産科』(メディックメディア)

 

 

◆関連動画 出産ドキュメンタリー

 

 

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