ママ友たちと子どもを連れて、日帰り旅行に行く計画を立てた私。しかし、夫は「専業主婦の仕事をほったらかして旅行に行くっていうのか!?」と激怒。
「俺が毎日必死で働いているのに、妻が遊びに行くなんて……」「せっかくの休日に親父の介護を俺にさせるなんて妻失格だ!」とまで言われて、私はママ友たちに不参加を伝えようとしたのですが……?
気づきを与えてくれたママ友
ちょうど一人のママ友から、メッセージが届きました。
「旅行楽しみだよね!」
「ごめんね…息子も楽しみにしてたんだけど、夫がどうしても許してくれなくて……」
「ちょっと詳しく旦那さんのこと聞かせてくれない?」
「え?」
私は聞かれるがままに、夫の言動を話しました。すると、ママ友は「いやいやいやいや」「ありえない!」と言い出したのです。
「でも、夫が仕事してくれてるから、私は生活できるわけだし……そんな夫に義父の介護をまかせて旅行はやっぱりダメだよね……」と言うと、ママ友は「それはおかしい!」と言ったのです。
「旦那さんの考え方、古すぎるよ」「完全に旦那さんに毒されちゃってるのね……」「専業主婦だって休む権利はあるのよ」
そして、「私、最近あなたの顔色が目に見えて悪くなってるのが気になってたの……」「リフレッシュになればと思って、この旅行を計画したのよ?」「ご家庭のことに口を出すのは野暮だと思うけど、少しずつでいいから自分の時間を作ってみない?」と言ってくれたママ友。どうやらママ友たちみんなで私のために計画を立ててくれたようです。
私は涙を堪えながら「ありがとう」「でも、今回はごめんね……次は絶対に参加したい!また誘ってくれるとうれしいな!」と言いました。ママ友の言葉で、いかに自分がおかしな生活を送っているかにようやく気づかされたのです。
緊急搬送された妻
1週間後――。
「おい、どこにいるんだ!」「俺の昼飯はまだか?」「まさか俺に黙ってママ友旅行に出かけてないだろうな!?」という夫からの立て続けのメッセージの通知音で目を覚ました私。
どうやら私は買い物中に倒れたらしく、そのまま救急車で病院に運ばれたようです。ナースコールを押して、すぐに家に帰りたい旨をお医者さんと看護師さんに伝えたのですが、「まだ顔色が悪いし、この状態では家に帰せない」と首を横に振られました。
私は夫に「しばらく入院が必要みたいなの」「着替えを持って来て、入院の手続きをしてくれない?」「あと、息子とお義父さんのお世話も……」と連絡。しかし、夫は「はぁ?ふざけんな!それは全部お前の仕事だろ!」「なんで俺がやらなきゃいけないんだよ!」とまともに取り合ってくれません。
妻が過労で倒れたというのに、少しも心配してくれない夫。さすがの私もがっかりしました。
1時間後――。
病院にいる私のもとに、夫からバイク便が届きました。口ではあんなこと言ってもやっぱり心配してくれたのかな?と思いつつ、やけに薄い中身を開けてみると……。
そこに入っていたのは、記入済みの離婚届でした。
そして、「届いたか?」「お前は嫁失格だからな!」「家事育児介護を旦那様に押しつけてくるお前とは、これでお別れだ!」と、まるで見計らったかのように届いた夫からのメッセージ。
「過労ごときで入院してないで家のことやれよ!」「旦那様の世話ができない嫁は失格!離婚しろ」
思わず私は「いいの?やったー!」と返してしまいました。ママ友と話してから、離婚について調べていた私。渡りに船とばかりに、離婚届を見て大喜びしたのです。
「さてと、まずは養育費と……あと財産分与のことも話し合わなきゃね!」と切り出すと、夫は「ま、まさかお前は本当に離婚するつもりなのか?」「俺たち長年連れ添ってきたじゃないか……」と言ってきました。
「その長年連れ添ってきた妻を過労に追い込む旦那はいらないの」「実は、ママ友に頼んで離婚に強い弁護士さんを紹介してもらってるんだよね」「だからさっさと手続き進めましょ?」
夫からの解放
1週間後――。
退院した私は、すぐさま離婚届を役所に提出。そして、私と息子の荷物をまとめて、元夫と元義父と暮らした家を後にしました。
「おい、どこにいるんだ!?」「家に帰ったらお前と息子の荷物はないし、親父はひとりだし……」と焦って電話してきた元夫。
「あ、もう気づいたんだ!」「お察しのとおり、退院して離婚届も提出してきました!」「これで私たちはもう他人です!」とはきはきと答える私。元夫は私に気圧されたのか、今さらになって「ま、待ってくれ、俺が悪かった」と謝ってきました。
「それに、離婚して後悔するのはお前のほうだぞ?」「ずっと育児と介護だけの専業主婦だったくせに、どうやって生活していくつもりだ?」「子どもに貧しい思いをさせるのか?」
しかし、私はすでに仕事が決まっているのです。入院中にママ友たちにことの次第を話した私。ママ友の一人が私の持っている資格を活かせる仕事を紹介してくれたので、お金に困ることはありません。
「私は育児と仕事の両立がんばるから、あなたは介護と仕事の両立がんばって!」「それじゃ、さよなら!」とだけ言って、私は電話を切りました。
その後――。
元夫は介護と家事、そして仕事をうまく両立させることができなかったようで、あっという間に生活は破綻。出世街道から外れ、窓際職に異動となったそうです。未だに「俺は本当に最低な男だった」「どうか戻ってきてくれ」とメッセージが届きますが、すべて無視しています。
私はママ友が紹介してくれた仕事に就き、息子と楽しく暮らしています。あのとき、私の洗脳を解いてくれたママ友たちには頭が上がりません。今度のママ友たちとの旅行には無事息子と一緒に参加できそうなので、親子そろってとても楽しみにしています!
【取材時期:2024年10月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。