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甘いものの摂りすぎは妊娠糖尿病につながる!?原因や治療方法を解説!

この記事では妊娠糖尿病について、医師監修のもと、解説します。妊娠中のお母さんの体では、赤ちゃんに糖を届けるため、血糖をコントロールするインスリンの働きを抑えるホルモンが分泌されているため、血糖値が下がりにくい状態が続きます。そのため、甘いものや炭水化物をたくさん摂りすぎると、血糖値が上がりすぎ、妊娠糖尿病になってしまうのです。

妊娠糖尿病の妊婦さんのイメージ

 

妊娠中はさまざまな理由で血糖値が上がりやすく、妊娠前に糖尿病の兆候が全くなかった方でも、妊娠してから糖尿病の症状が現れることがあります。ここでは、こうした妊娠糖尿病の原因や検査方法、治療法を紹介していきます。

 

妊娠糖尿病とは?

妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見された糖代謝の異常で、検査上「明らかな糖尿病」の基準値には至っていない状態のことです。妊娠前から糖尿病と診断されていたケースや、妊娠中に初めて診断された糖代謝異常でも検査値から「明らかな糖尿病」と診断された場合は、「妊娠糖尿病」とは呼びません。「明らかな糖尿病」の場合、妊娠糖尿病より厳重に血糖のコントロールが必要となります。

 

次になぜ妊娠中は、血糖値が上がりやすいかについてお話していきます。通常私たちが食事をすると、血糖値が上がります。そして、膵臓(すいぞう)からインスリンというホルモンが分泌され、血糖値が上がりすぎないようにコントロールされています。ところが妊娠中のお母さんの体では、赤ちゃんに糖を届けるため、血糖をコントロールするインスリンの働きを抑えるホルモンが分泌されているため、血糖値が下がりにくい状態が続きます。そのため、甘いものや炭水化物をたくさん摂りすぎると、血糖値が上がりすぎ、妊娠糖尿病になってしまうのです。

 

妊娠糖尿病の検査方法について

妊娠糖尿病の検査は、妊婦健診で必ず受けることになっています。この検査は、妊娠初期と妊娠中期の妊婦健診の2回行われます。最初の検査は随時血糖法で、妊娠中期は随時血糖法経口ブドウ糖負荷試験(50gGCT)という検査で行います。これらの検査で基準値を外れた場合、空腹時経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)という検査を行ない、妊娠糖尿病が診断されます。

 

■随時血糖法
食後からの時間を決めずに採血して、血糖値を測る検査です。受ける施設によって違いますが、多くの場合100mg/dL以上で陽性と判断されます。

 

■経口ブドウ糖負荷試験(50gGCT)
食事の時間に関係なく50gのブドウ糖を摂取して、1時間後の血糖値を計る検査です。140mg/dL以上で陽性と判断されます。

 

■空腹時経口ブドウ糖負荷試験(75gOGCT)
検査まで10時間以上絶食し、空腹の状態で75gのブドウ糖を摂取する検査です。ブドウ糖を摂る前、摂取1時間後、2時間後の3回の数値を測ります。次のうち1つでも該当すれば陽性と判断されます。

 

1)空腹時の血糖値:92mg/dL以上
2)1時間値:180mg/dL以上
3)2時間値:153mg/dL以上

 

妊娠糖尿病と診断され、分娩が終わった後は、産後6~12週間後に再び糖負荷試験を行って、血糖が正常に戻ったかどうかの確認が必要になります。

 

妊娠糖尿病の治療方法について

妊娠糖尿病の治療法は、まず食事や運動療法を行い、それらで改善されない場合にはインスリン療法を行います。

 

食事療法

主治医や管理栄養士の指導のもと、血糖値が急激に上がらないようにコントロールしていきます。具体的には1日の食事を4~6回に分ける、分食という方法を取ります。また、血糖値の上昇が緩やかな食品を選ぶことも重要です。血糖値の目標は次のとおりです。

 

1)早朝空腹時:95mg/dL以下
2)食前:100mg/dL以下
3)食事2時間後:120mg/dL以下

 

妊娠中は赤ちゃんへの栄養も必要なのですが、総カロリーが高くなりすぎないようにしなくてはいけません。主治医や管理栄養士と相談しながら、適切なエネルギー量や栄養バランスを保てるようにしましょう。

 

運動療法

血糖値コントロールに効果的な運動ですが、不適切な運動は体に負荷がかかりすぎるので逆効果です。必ず主治医に相談して行うようにしましょう。

 

有効な運動はウォーキングやヨガ、体操、エアロビクスなどの有酸素運動です。食後1~2時間で行うのがよいです。1日の運動時間は30~40分、1週間に3~4回を目安にしてください。また、もし運動中に気分が悪くなったら、すぐに中止しましょう。

 

インスリン療法

インスリン療法は、食事療法や運動療法で血糖値が改善されなかった場合に行います。インスリンを1日に4~5回注射で投与する方法や、持続的に注入される方法があります。

 

妊娠糖尿病が赤ちゃんに与える影響と注意点

糖は、胎盤を通して赤ちゃんにも運ばれるため、お母さんが高血糖だと赤ちゃんも血糖が高くなります。そのため巨大児となりやすく、それに伴う難産や胎児機能不全が起こりやすくなります。

 

流・早産も起こりやすく、またいろいろな器官の発達異常を伴う先天奇形が起こることもあります。そして、生まれた赤ちゃんには、低血糖、血が多くなる(多血症)、黄疸などの影響が出る可能性があります。さらには、赤ちゃんの将来的な糖尿病やメタボリックシンドロームの発症に関係があるとも言われています。こうした赤ちゃんへの悪影響から妊娠中は、食事や運動、インスリンでの血糖値コントロールが非常に重要です。

 

まとめ

妊娠糖尿病は目立った自覚症状はないことが多いですが、赤ちゃんへの影響も大きいので、妊婦健診で妊娠糖尿病を発症していることがあきらかになったら、食事療法や運動療法、インスリン療法を行って、適切な血糖コントロールを行うことが大切です。また妊娠糖尿病になった方は、なっていない方に比べて将来糖尿病になりやすいと言われているので、産後も定期的に内科検診を受けましょう。

 


京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士。

 

※参考:日本産婦人科学会「妊娠糖尿病」〈 http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/ninshintonyobyo.html 〉、国立国際医療研究センター糖尿病情報センター「妊娠と糖尿病」〈 http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/080/030/13.html 〉、国立成育医療研究センター「妊娠と妊娠糖尿病 Part2」〈 https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/perinatal/bosei/bosei-jsdp_2.html 〉

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