「これ以上仲をこじれさせたくないと思って黙っていたけど、もう無理!」「せっかく大学にまで入って、大企業で働いてたのに、育児も中途半端なんて……なんて情けない子なのかしら!?」と母。しかし、そんなことを言われても、私には思い当たる節がなくて……?
母親が見かけた夫の姿
「毎日子どもを預けて遊び回るなんて最低よ!」
「旦那に娘を押し付けて、専業主婦のあなたは何してるのよ!母親失格だわ!」
「は?娘ならここにいるけど」
「え?」
ようやく少し落ち着きを取り戻した母。「でも、さっき郊外のアウトレットで旦那を見かけたわよ」「赤ちゃんを抱っこしながら歩いてて……」と言う母に、私も何が何だかわかりません。
しかし、私が産んだ娘は私の腕の中に。私は大企業を退職して専業主婦になりましたが、夫に娘を預けて遊び回ったりなんかしていません。
とりあえず母をなだめて、私は会社に行っているはずの夫に連絡することにしました。
苦しい言い訳
10分後――。
私が夫に電話をかけても、なかなか出てくれなかった夫。しばらくして、夫から「仕事で手が離せなくてごめんな、どうした?」と折り返しの連絡がありました。
「会社にいるの?あなたがアウトレットで赤ちゃんを抱っこしてたって聞いたんだけど」「本当に会社にいるのか、会社のほうに電話して確認してもいい?」
「それだけはやめてくれ!!」と夫。「アウトレットにいるのは認める!でもこの子は会社の先輩の子どもなんだよ」「奥さんが体調不良で子どもの世話が難しいらしくてさ……でも先輩は大事なプロジェクトのリーダーで休めない。だから俺が有休を使って協力することにしたんだ」と苦しい言い訳を繰り広げました。
「そんなことで部下に有休を使わせるの?それはそれでおかしくない?」「やっぱり一度あなたの会社に電話して確認してみるわ」と言うと、「お、おい、ふざけんなよ!」と夫。
「俺が説明してやってるのに信じないのか!会社も仕事がたくさんあって忙しいんだ。お前の対応で余計な仕事を増やすんじゃねぇ!」とキレる夫に、私はますます怪しさを覚えました。
「じゃあ今、一緒にアウトレットにいる女の人も会社の人かしら?」
そう聞くと、夫は私の言葉が想定外だったようで、戸惑っているようでした。
「アウトレットにいるあんたを見かけたのは、うちのお母さんよ」「若い女性と合流したあんたの写真と動画を撮影してくれたわ」「で、あらためて聞くけど、この人も会社の人なのかしら?」
「え、えっと……」と口ごもる夫に、私はさらに畳みかけました。
「期待されてる先輩とはいえ、たった1人の社員の子どものために……2人も社員をつけるなんて、あなたの会社ってずいぶんと子育てに理解があるのねぇ」「あなたは育休なんて1日も取ってはくれなかったけど!」
「それは今、関係ない話だろ!」と逆ギレしだした夫に、「じゃあ関係ある話をしましょうか」「手始めに、女性が誰なのか教えてくれる?それと、赤ちゃんが誰の子どもなのかも教えてちょうだい」「答えられないなら、会社に電話するわ」と私。
「……すみませんでした!」「一緒にいる女性は浮気相手です!赤ちゃんは俺と浮気相手の子どもです!」「全部認めるから会社にだけは連絡しないでください!」
無責任な夫の末路
「この子が産まれて、今日で半年で……ハーフバースデーをやりたいから買い物に付き合えって出勤中に呼び出されたんだよ」と、ついに真実を話し始めた夫。
隠し子が産まれて半年ということは、私が妊娠している間に浮気していたということです。「つわりがきついとかで、お前が俺の相手をしてくれないから……さみしくなっちゃって、つい」と言う夫に、嫌悪感を覚えた私。
「最低すぎるわ」「私、娘を連れてこの家から出ていくから」「どうぞ浮気相手たちと家族ごっこを楽しんで!」
そして、アウトレットから車を飛ばしてきてくれた母と合流。荷物をまとめて、娘を連れて、私は久しぶりに実家へ帰ることになったのです。
3時間後――。
久々の実家でのんびりお茶を飲んでいた私のもとに、「今どこにいるんだ!?」「帰ってきたら荷物もないし、離婚届が置かれてるし!」「娘を連れてどこに行ったんだよ!?」と夫から連絡が。
「お母さんと和解して、実家に戻ったの」「私は浮気をするような人……しかも浮気相手と子どもをつくるような人とは婚姻関係を続けたくありませんので」ときっぱりと言うと、夫は「俺、離婚なんてしたくないよ……」と涙声。
「俺だって被害者なんだ!俺はお前が妊娠中のときだけの遊びのつもりだったのに!」「なのに、勝手に妊娠して、勝手に産んで!そのくせ父親役を頼まれて、俺だって迷惑してるんだ!」「もういっそ、お前からあの女に『家族の邪魔をするな』って言ってやってくれよ!」
あまりに無責任な夫の発言に、私は思わず言葉を失いました。そもそも、妊娠なんて男女2人がそろわないとできないのです。自分でやることやっておいて、被害者面するなんて……。
「お前だって妊娠して仕事を退職して専業主婦になっただろ!?」「俺と離婚したら子どもなんて育てられないぞ」とまで言ってきた夫に、私は深くため息をつきました。
「いつ何が起きるかなんてわからないから、退職した会社とはまだつながってるし、いつでも再就職したいときは言ってくれって言われてるの」「母もできる限り協力してくれるって言ってくれてるし、まずは在宅から復帰するつもりだったのよ」「浮気男なんていないほうが幸せだわ。というわけで離婚届の記入よろしくね」
その後――。
私は弁護士を立てて、娘の養育費と慰謝料を元夫に請求。元夫は浮気相手とすぐに再婚したようですが、その直後から浮気相手は家事も育児もせず遊びまわっているのだとか……。元夫からは何度も復縁したいと連絡が来ますが、スルーしています。
母とは何度も話し合い、お互いのわだかまりを解きました。今は、孫にメロメロな母のサポートを受けながら、3人で楽しく暮らしています。
【取材時期:2024年12月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。