妊娠中、飛行機に乗ってもいい?ダメ?ママや赤ちゃんへの影響は!?

2018/11/16 19:00
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この記事では妊娠中に飛行機に乗ることについて、専門家監修のもと解説します。妊娠中も体調が良好で、かつ、出産予定日間近でなければ飛行機に乗ることは可能です。ただし一般的には、予測不可能な事態に備え、避けられるならば避けたほうが良いといわれています。
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空港にいる妊婦さんのイメージ

 

妊娠中に飛行機の利用を検討している人も多いことでしょう。しかし、妊娠中の飛行機の利用はママの体や赤ちゃんへの影響が心配という方もいらっしゃるかもしれません。実際のところ、妊娠中でも飛行機は乗っていいのでしょうか? また、乗る際はどのような点に注意すればよいのでしょうか? 今回は妊娠中の飛行機の利用についてご説明します。

 

妊娠中に飛行機に乗ってもいい?

妊娠中でも帰省や仕事、旅行などで飛行機を利用する方もいらっしゃると思います。なかには空路での移動を避けるべきかどうか、迷っている妊婦さんもいるかもしれません。実際のところ、妊娠中に飛行機に乗ってもよいのでしょうか?

 

妊娠中も体調が良好で、かつ、出産予定日間近でなければ飛行機に乗ることは可能です。ただし一般的には、予測不可能な事態に備え、避けられるならば避けた方がよいといわれています。法律などで禁止されてはいないものの、多くの産院で空路の利用を慎重に検討するよう指導しています。

 

実家が遠方にある場合など、飛行機を利用せざるを得ない場合もあるでしょう。あるいは、妊娠中の思い出作りにと、旅行を検討している人もいるかもしれません。妊娠中に飛行機に乗る場合は、時期と体調を考慮して、慎重に検討する必要があります。利用目的に関わらず、リスクがあること、乗ることができない場合があることを、理解しておきましょう。

 

妊娠中に飛行機に乗ることによるリスク

妊娠中の空の旅は、いくつかのリスクが伴います。また、妊娠週数によっては飛行機に乗れない時期も存在します。

 

妊娠中の飛行機・3つの懸念点

妊娠の経過が順調な場合であっても、妊娠中は何が起こるか分かりません。飛行機に乗っている間やその前後ににママ、あるいはおなかの赤ちゃんに異変が起こる可能性もあります。その理由として、次の3つのリスクが挙げられます。

 

・普段と違う環境下に置かれることによるリスク
いつもとは異なる環境下で、知らず知らずのうちにママは緊張してしまうかもしれません。過度な緊張や興奮によって、おなかの張りなど、体調に異変をきたす恐れがあります。

 

・長時間拘束されることのリスク
電車とは異なり、飛行機は一度離陸したら途中で降りることができません。体調に異変が起きても、その場で対処しなければなりません。

 

・医療的処置が遅れる可能性
万が一、緊急事態に陥った際に適切な処置を受けられない、あるいは、処置が遅れる恐れがあります。

 

妊婦さんが飛行機に乗れる時期・乗れない時期

妊娠の週数によっては飛行機に乗れない時期、避けることが望ましい時期があります。

 

●妊娠超初期~初期(妊娠1~4カ月)は「できれば避けたい」時期
妊娠超初期~初期は、出血や下腹痛、おなかが張るなどの切迫流産の兆候がなく、超音波でおなかの赤ちゃんの心拍が確認できていれば、搭乗可能だといわれています。しかし、この時期は、出血・下腹部の痛みなど、突然の症状が起こりやすい時期です。また、つわりが始まる時期でもあり、なかには一切前触れもなく、嘔吐などの症状が出現する人もいます。長時間の移動には不向きな時期といえるでしょう。

 

●妊娠中期(妊娠5~7カ月)は「比較的安全な」時期
胎盤が完成し、いわゆる安定期にさしかかる妊娠中期は、もっとも移動に適した時期だといわれています。飛行機に乗る必要がある場合はこの時期に計画するとよいでしょう。里帰り出産を計画されている方も、この時期をおすすめします。

 

●妊娠後期(妊娠8~9カ月)は「できれば避けたい」時期
妊娠後期は早産のリスクがあがります。さらに、おなかも張りやすく、ママも体調を崩しやすい時期です。万が一の事を考えると、避けたい時期です。

 

●出産予定日28日前~(妊娠10カ月)は「もっとも避けたい」時期
国内の大手航空会社2社(日本航空・全日空)の規則によると、搭乗は可能ですが、診断書の持参が必要です。この時期は、突然お産が始まる可能性も十分にあるため、もっとも避けたい時期です。

 

●出産予定日を含めた7日前(妊娠10カ月)は「実質乗れない」時期
国内線では出産予定日を含め7日前からは、診断書の持参に加えて、主治医の同行が必要です。国際線では出産予定日を含め14日以内となります。つまり、この時期は、よほどのことがない限り、実質、搭乗ができない時期にあたります。


ママや赤ちゃんに与える影響

飛行機に乗るとママの体や赤ちゃんにどのような影響があるのでしょうか?具体的な症状をご紹介します。

 

母体への影響

●「ロングフライト症候群」のおそれ
「エコノミークラス症候群」ということばを1度は耳にしたことがあるという人は多いかと思います。現在では、「ロングフライト症候群」に改名されているそうですが、妊婦さんは、このロングフライト症候群を発症しやすくなっているのです。ロングフライト症候群は、深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症をあわせた病態をいいます。

 

妊娠中は、出産に備えて血が固まりやすく、血栓ができやすいとされています。このことに加え、機内で同じ姿勢を取り続けることで血流が悪くなり、ふくらはぎの奥にある静脈(深部静脈)に血栓ができると、「深部静脈血栓症」を発症してしまう恐れがあります。

 

深部静脈血栓症を発症した方の足は腫れ、経過とともにむくみも生じてきます。そして、場合によっては、血栓が肺に飛び、「肺血栓塞栓症」を引き起こすおそれもあります。肺血栓塞栓症を発症すると、突然の胸痛、呼吸困難、失神などがみられ、緊急の対応が必要になります。

 

●ロングフライト症候群の予防対策
・着圧ソックスを着用する
・長時間、同じ姿勢でいることは避け、つま先やかかとの上下運動をしたり、足首を回したり、ふくらはぎや太ももを軽くもんでマッサージしたりする
・腹式呼吸をおこなう
・水分をこまめに摂る

 

おなかの赤ちゃんへの影響

●被ばくのリスク
はるか上空を飛行することにより、ふだん陸で生活しているときに比べ、浴びる放射線量は少し上がります。放射線と聞くとおなかの中の赤ちゃんへの影響を心配される方も多いかもしれません。特に、妊娠初期は、おなかの中で赤ちゃんが体を形成する時期でもあるので、なおさら心配だと思います。


しかし、環境省によると、1回のフライトでの放射線量はごくわずかであり、さらにそのことが、おなかの赤ちゃんへ及ぼす影響は明らかになっていません。フライトアテンダントなど、頻繁に乗る人を除けば、通常は問題ないとされています。

 

飛行機に乗る際に必要なもの・注意点

備えあれば憂いなし。空の旅を快適に過ごすために、妊婦さんが持参すべきアイテムや注意点をまとめました。

 

●必携アイテム
・母子手帳
・健康保険証
・(出産予定日を含む28日前の搭乗の場合)診断書


●あると便利なグッズ
・着圧ストッキング:脚の静脈の血流停滞を防ぎ、深部静脈血栓症を予防する効果があるといわれています
・つわり対策グッズ:嘔吐した際に使用するビニール袋、ウェットティッシュ、タオルなど
・生理用ナプキン:万が一、出血などがあった際に使用します
・衣服:体温調整のために、上着やストールを持ち歩きましょう

 

●妊娠中の空の旅の注意点
次の点に注意して準備・行動しましょう。


・航空会社にも事前に連絡する
座席位置を入り口付近や通路側にするなど、配慮してもらえる場合があります。また、安全面からも、事前に妊娠中であることを申し出ましょう。


・当日はくれぐれも無理をしない
空港や機内で体調不良を訴えるのは、気が引けるかもしれません。しかし、非常事態を回避するためにも、体調が悪くなったら早めに申し出ましょう。

 

まとめ

妊娠中であっても帰省や旅行などで飛行機を利用する機会があるかもしれません。こちらでご紹介した注意点を参考に、妊娠中の飛行機の利用は慎重に検討しましょう。空路を利用する場合は事前準備をしっかりとしておき、周囲の人にも協力してもらうことが大切です。ママと赤ちゃんの体調を優先で行動しましょう。

 


監修者:助産師Aya

保健大学を卒業後、大学病院周産期医療センターNICUにて勤務。主に、超低出生体重児の人工呼吸器装着児のケア、ママへの母乳ケア、家族ケアなどに携わる。約10年勤務後、夫の転勤を機に退職。現在子育て奮闘中。


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