赤ちゃんのころだと、例えば生後0カ月と10カ月では体の大きさ、できることがまったくと言っていいほど異なります。1歳、2歳と年齢を重ねるにつれ、その差は徐々に縮まってくるように感じるものの、やはり背の大きさ、できること、言語数などなど、生まれ月によって大きく差があることを実感します。
一般的に、1月1日〜4月1日生まれを早生まれとし、6歳の誕生日を迎えて間もないころに小学校へ上がることになっています。一方、4月2日生まれ以降の遅生まれの子は、7歳に近づいた状態で小学校へ入学します。では、実際に早生まれは不利なのでしょうか?
データでは“不利”という結果が
2007年に発表された「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」と「『OECD 生徒の学習到達度調査』 (PISA)」から導き出された「誕生日と学業成績・最終学歴」という論文では、小学校、中学校、高校とも早生まれより遅生まれの数学・理科の平均点の方が高い、という結果が出ました。
2015年度に実施された「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」でも、早生まれの方が平均点が高いという結果が出ています。さらに、「誕生日と学業成績・最終学歴」ではこの差が最終学歴まで持ち越されている、ともしています。
早生まれで活躍している有名人は?
しかし、早生まれで活躍している人ももちろんたくさんいます。
物理学者・ノーベル賞受賞の湯川秀樹さん(1月生まれ)、ユニクロの柳井正さん(2月生まれ)、楽天の三木谷浩史さん(3月生まれ)などなど……。名だたる顔ぶれが、早生まれであるながらも活躍しています。
決めつけをおこなわないことが大切
「誕生日と学業成績・最終学歴」には、以下のように記されています。
「この論文の発見は早生まれの児童・生徒の知的能力が劣るということではない。 本来ならば生まれ月による学力差はないはずなのに, たまたま早生まれであったがゆえに, ハンディキャップを背負ってしまう児童・生徒がいて, そのハンディキャップが学力差, ひいては最終学歴の差に帰着してしまっているという現実を指摘しているに過ぎない。 この結果から, 幼少期の些細な成績の違いによって勉強ができる, できないという決めつけを行うことの危険性を読み取ってもらいたい。」(「誕生日と学業成績・最終学歴」より抜粋)
このように、“早生まれ=知的能力が劣る”、と決めつけないように注意する必要があります。
データだけを見ると、“早生まれは不利”という結論になってしまいがちです。しかし、早生まれの子は、幼いころに遅生まれの子よりできることが少ないがために“できない子”と早々にレッテルを貼られて、同学年から離脱せざるを得なくなってしまうことが危険であることを示唆しているものとも言えます。親としてはそうならないように、しっかりと補佐していきたいものです。
※参考:労働政策研究・研修機構「特集●時代を背負う労働者 誕生日と学業成績・最終学歴」、国際教育到達度評価学会(IEA)「TIMSS 2015 INTERNATIONAL RESULTS IN MATHEMATICS」