現在、日本の赤ちゃんの栄養は「母乳のみ」「母乳・粉ミルク混合」「粉ミルクのみ」の選択肢がありますが、2018年8月8日に法令改正され、近々「乳児用液体ミルク」が販売される見込みとなっています。この乳児用液体ミルクがママたちにとって、メリットが多いみたい。そこで、製品化を進行中の江崎グリコ株式会社の担当者にお話を聞いてきました！
「乳児用液体ミルク」ってどんなもの？メリットは？
粉ミルクと同様の栄養成分でできている液体のミルクのことです。特徴として下記のとおりです。
・粉ミルクと同様の栄養成分
・新生児から飲ませられる
・お湯や水に溶かす・薄める必要なし
・温める必要なし
・常温で保存可能
・開封前なら、半年から1年ほど保存可能
・紙パックに入っているものが多く、主に哺乳瓶に入れ替えて飲ませる
欧州では女性の社会進出などを背景に、1970年代から普及しています。手を洗ったら、消毒済みの哺乳瓶に移すだけで授乳を始められるため、今までの授乳をラクにしてくれるのがメリット。余裕ができた分、赤ちゃんと直接向き合う時間が増やせます。海外で販売されている乳児用液体ミルク（コップ1杯分）の価格は、一般的に粉ミルク（コップ1杯分）の約2～3倍です。
調乳方法の間違いによる過量投与・栄養不足がない為、いつでも適切な栄養分を与える事ができます。調乳不要なので、不慣れなパパや、おじいちゃん・おばあちゃんでも、赤ちゃんに適切な栄養を与えられ、しかも衛生的です。
乳児用液体ミルクを製品化するきっかけは？
当社は、創業以来、「おいしさと健康」の企業理念を込めた製品と活動を展開し、母と子の健康増進に取り組んでまいりました。その中で、2016年4月の熊本地震や昨今の甚大な被害を及ぼす災害を目の当たりにし、当社の事業を通じ、社会に貢献できることは何かを考えた際、災害弱者である赤ちゃんの命をつなぐ「乳児用液体ミルク」の必要性強く感じ、着手しました。
日本のママはフィンランドのママより1時間も睡眠時間が短い！
世界で初めて液体ミルクが作られたフィンランドでは、母乳代替ミルクの約9割が液体ミルクです。生後4カ月の赤ちゃんを持つフィンランド人のママと、日本人のママでは睡眠時間が1時間程度も差があるそうです。赤ちゃんにとって母乳が最良の栄養ではありますが、液体ミルクは、深夜の授乳にも役立つので、ママの心の余裕を生み出すことにもつながると考えています。
今後の見通しを教えてください！
当社の試作品は、現在紙パック容器を予定していますが、災害時に清潔な哺乳瓶が手元に無いシーンを想定し、（行政より認可された場合は）自治体や小売りで、市販の使い捨て哺乳瓶も一緒に備蓄や販売を提案していきたいと考えています。
また、自治体等と連携し、商品だけでなく、液体ミルクの正しい使用方法を普及・啓発し、誰もが正しく使える環境づくりを行っていきたいと考えています。具体的には、当社が参画している「文京区 プロテクトベイビーコンソーシアム」では、来春より両親学級などで、液体ミルクに関する資料の配布や、正しい使用方法の普及・啓発が実施される予定です。
ママたちへメッセージ
災害大国である日本にあって、災害時に母親にとってもストレスがかかり、母乳が出なくなることも少なくありません。災害弱者である赤ちゃんの命をつなぐことは、「乳児用液体ミルク」の大切な役割の１つだと考えています。赤ちゃんを災害から守る社会の実現を目指して、自治体等と連携し、「乳児用液体ミルク」に関するハンドブックの作成・配布や、は両親学級での講習などを通じて、正しい知識や使い方を普及・啓発していきたいと思います。
ありがとうございました！ ママたちの育児の負担を大きく軽減してくれそうな「乳児用液体ミルク」。発売されるのが楽しみです！
取材協力／江崎グリコ株式会社
※写真の液体ミルクはサンプルです
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